物語思考からWeb3xアート思考でネット社会の歪みを癒やす(後編)
こんにちは!
今日は、以前やった、IT評論家の尾原さんとの対談の後編をアップします。めっちゃ楽しい対談だったんですが、かなりあっちにいったりこっちにいったりしています。
前編
中編
社会彫刻とWeb3
けんすう:あとは、都市伝説のNFTをやりたいんですけど。「Twitterで、みんながその話をしなくなったら消えちゃう」をやりたいんですよ。
尾原:おお! それはすごく良いニオイがするなぁ。
けんすう:「口裂け女」って、みんなが言っているから存在するのであって、みんなが言わなくなったら存在しないじゃないですか。ということは、「NFT上でも消えるよね」ってなっていると、けっこうおもしろいんじゃないかなと思っていて。都市伝説だと、わりとエンタメ要素が強いんですけど。
尾原:ディズニーの『リメンバー・ミー』みたいにすると、追悼の感じになるよね。
けんすう:そうですね。例えば「ウクライナの国旗のNFTを、寄付にします。ただし、みんながウクライナの問題について話さなくなったら、これは価値がなくなるので消えます」と言われると......。
尾原:その話って、社会彫刻的にすごく意味があって。3ヶ月前くらいに、イーロン・マスクが「Current things(カレント・シングス)」と投稿したら、めっちゃ炎上したという話があります。
「Current of things=みんな、最近のネタをツイートするよね」と揶揄して、「最近のことばっかりじゃん、俺たち」という投稿をしたら、おもしろいことに「私たちがウクライナの話を真剣に言っているのに、お前は何を言うんだ!」みたいな感じで(炎上して)。
イーロン・マスクは「〇〇のことを言っている」とは言っていないのに、周りの人たちが「私が今真剣に思っていることを、なんてこの人はヒドいことを言うんだ!」みたいに勝手に炎上したという、とてもおもしろい現象なんです。
けんすう:これね、有名な「みんなの忘れたニュースBOT」(です)。
尾原:知らねぇよ(笑)。
けんすう:知らないんですか? これ、めっちゃおもしろくて。「みんながウクライナについて話さなくなって31日が経ちました」って、グラフで出るんですよ。
つまり、30日前はみんなけっこう話していたことが、ほとんど話さなくなってから30日経った時に、自動ツイートするという。
尾原:すごい! それはすばらしい社会彫刻だね。
けんすう:そうなんです。
けんすう:昔話題になったもので、今話されなくなったものを自動ツイートすることによって、みんなが超思い出すんです(笑)。
尾原:もう1回思い出して、「それはトレンドだからみんなが語ったことなのか、本当にこれは語り尽くすべきなのか?」という、振り返りのタイミングを与えてくれているわけだよね。
けんすう:そうですね。多くのTweetがRTされているんで、やっぱり思い出しているんでしょうね。
尾原:「ツイートしなくなったら消滅するNFT」って、さっき言ったように社会彫刻性を帯びていて。
つまり何かというと、NFTを買う時は「これはバズるんだけど、長く語り継がれるものかどうか?」を投資基準にするわけじゃん。それって、みんながファーストインターネットのトレンドからトレンドに飛びつく中で、「長く語り継がれるものを選んで、そこを買う」という投資判断をした人が儲かるという。
「飛びつくことがインターネットじゃなくて、長く続くことがインターネットだ」という意思表示になるので、すごく社会彫刻性を帯びるから、はっきり言ってめっちゃ儲かると思うぞ。
それはグローバルローンチでやるべきだし、「イーロン・マスクがフォローしている人が、ツイートしてくれそうなところ」の距離を図って、イーロン・マスクの目につくように頑張れば、イーロン・マスク、絶対にツイートするぞ。
けんすう:(笑)。ありますよね。
けんすう:吉野家の「生娘をシャブ漬け戦略」発言って、僕もこれを見るまでしばらく忘れてましたけど、やっぱりみんなもぜんぜん話していないんだなという。
尾原:今言ったように、「知らないうちに、自分たちが歪んでしまっていること」があって。「トークンで儲かるから」という理屈の中で、知らないうちに歪んでしまっていることに対して、僕たちが反省を促す行為が社会彫刻なんですよ。
けんすう:なるほど。
尾原:社会彫刻というのは、ちょっと耳慣れない言葉なんですけど。何かというと、みんなが考えたほうが良いことを、アートのデモとかフラッシュモブとか参加型のアートにすることによって、「ふだん考えないけど、考えるべきこと」を提案していくものです。
社会彫刻はWeb3とすごく相性が良いし、僕たちが知らない間に歪んでいることを、20世紀、21世紀の最大の歪みである「投資によって儲けたい」という資本主義を皮肉りながら、インターネットの歪みを皮肉る。それはものすごく社会彫刻性を帯びるので、確実にグローバルでウケる。
けんすう:その歪みをなくすために、金銭欲みたいな話があって、歪みがなくなる。
尾原:そうそう。
けんすう:でも、さっきの「お金を持っていると文字が大きくなる掲示板」の拡張ネタで思ったのは、「お金を持っていない人の意見でも、応援したいと思ってお金を払えば大きくなる」とかにすると、良くないですか?
尾原:確かに。逆にね。
けんすう:「イーロン・マスクとお金を持っていない人が議論しているけど、イーロン・マスクじゃなくて、こっちが正しいじゃん」ってみんなが思うと、追加課金して(文字が)大きくなる。
そうすると、「お金持ちの意見とか偉い人の意見が大きいと思っていたけど、俺ら変えられるじゃん」という感覚が出るのではないかと。
尾原:さらに、その仕組み自体を買収できるようにしておくと、「イーロン・マスクが買収する」という壮大なコメディが完成する。
けんすう:(笑)。そうですね、大炎上して終わる。
尾原:「イーロン・マスクがTwitterの次に買収したのは、Twitterのイーロン・マスクを批判するアートTwitterでした」と(笑)。もしくは、ジャック・ドーシーが買収してくれる。
「歪みを、儲けたい気持ちでなくす」という、二重のアイロニー(ですよね)。
クラレッタのスカートを直す
けんすう:「クラレッタのスカートを直す」という言葉があって。
尾原:それは何なのよ。本当によくネタが出てくる(笑)。
けんすう:(笑)。ムッソリーニの恋人が、クラレッタって人なんですけど。第二次世界大戦が終わるくらいに銃殺されて、広場に晒されたんです。
群衆が熱狂しちゃって、その死体を逆さに吊るしたりしていたら、クラレッタのスカートがめくれて。周りの観客は盛り上がっちゃうんですけど、椅子に登ってスカートを戻して、自分のベルトで縛ってめくれないようにしてあげた人がいて。
尾原:なるほど、そこで我に返っちゃうんだ。
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