見出し画像

#NFTの未来を語る いかにNFTはマスへと広がっていくか?石ころさんインタビュー

こんにちは!

今日は、「#NFTの未来を語る」というシリーズの対談記事をお届けします。

NFTという、最近よく見聞きするけど「なんだかよくわからないもの」について、初心者の方でも雰囲気が掴めるような企画を目指しています。

というわけで今回のゲストは、「デジダッチ」という、デジタルデトックスをテーマにしたNFTを企画している石ころさんです。

slothの詳細についてはこちら。

「デジタル断ち」がコンセプトのNFT

けんすう:NFTについてなんとなく興味を持っている人が聴いてくれて、どんな感じなのか理解できるような場になると嬉しいです。

それではまず、自己紹介をお願いします。

石ころ:私は「デジダッチ」という名前の、育てる系のNFTプロジェクトを企画・開発しています。

名前の由来は、デジタル断ちと友だちの「ダチ」を掛け合わせたもので、デジタルデトックスを助けてくれる友だちのような存在です。

プロジェクトでは、デジタルデトックスに励むことでキャラクターが育ち、サボるとペナルティがあるような、NFTコレクションとスマホアプリを組み合わせたものを作っています。

けんすう:いいですね。ところで、NFTはデジタルなものですが、なぜデジタル断ちをコンセプトに選んだのですか?

石ころ:私自身が、デジタル断ちしなきゃな、という問題を抱えていたんです。

まさにナマケモノのように、すぐTwitterやTikTokを見てしまうんです。それは自分の怠け癖のせいだと思っていたんですが、実際はSNSを作っている側がユーザーを中毒にさせる仕組みを作っていますよね。

SNSが自分を怠け者にさせていると気づいたんですけど、現状だと対抗策がほとんどないことも分かって。

そこで、中毒にさせる側とバランスを取りながらデジタルと向き合うサービスが必要だと考え、このプロジェクトを始めました。

確かにNFT自体はデジタルなので矛盾しているように思えますが、キャラクターを育てるためにデジタルデトックスに励むというコンセプトで、いいんじゃないかなと。

けんすう:依存症を引き起こすようなサービスに対抗するというアイデアは素晴らしいですね。

SNSは確かに依存させる仕組みがあるし、そういった内容が書かれている本をいくつか読んだことがあります。専門家の中には、その仕組みを麻薬に近いと評している人もいますね。

デジタルデトックスは大切です。本当にハマりすぎて、生活が壊れることもあるので、いいですね。

石ころ:そうですね、僕も夜中にスマホばかりいじって寝られなかったりする時期があったので、本当に生活が壊れちゃうなと感じて。

けんすう:そうですね。僕もTwitterなどをなるべく使わないようにしているので、よく分かります。一日8時間以内と決めています。

石ころ:めちゃくちゃやっているじゃないですか。

けんすう:それで、このアプリはまだリリースされていないんですか?

石ころ:まだリリースはしていません。NFTもまだブロックチェーン上に誕生していないので、これからです。

正確な日にちは未定なんですけど、今年のどこかでリリースを予定しています。

けんすう:なるほど。プロジェクト的には、どうなると一番嬉しいんですか?

石ころ:最近のNFTの風潮で、価格が上がらないといけないという考え方があると思いますが、もちろん、NFTにするからには皆が欲しいと思えるものになって価格が上がるほうが嬉しいです。

一方で、私たちが提供したいスマホサービスの体験も大切で、例えば、このNFTサービスを使って勉強に集中できて合格できましたとか、在宅勤務中に生産性が上がりましたみたいな報告があれば、成功だと思います。

けんすう:興味深いですね。スマホアプリとNFTを組み合わせたサービスは、まだ少ないですから。

石ころ:そうですね、STEPNくらいでしょうか。

けんすう:ありがとうございます。また後ほど、しっかりお伺いしていきます。

僕からも簡単に自己紹介をさせていただくと、けんすうと申しまして、アルという会社を経営しています。その会社ではクリエイティブ活動を加速させることを目指しており、最近ではNFTがクリエイティブ活動のキーになると考えていて、取り組んでいます。

現在は、slothというナマケモノをテーマにした着せ替えができるNFTを作っているところです。本体のナマケモノのキャラクターと、衣装のNFTを合成して、一つのNFTにできる仕組みです。

けんすう:NFTって、有名なプロジェクトのものを購入して、アイコン画像にするような楽しみ方をしている人が多いと思いますが、それだけだと自己表現の幅が狭いなと感じていて。

そこで、音楽好きならヘッドフォンをつけたり、ゲーム好きならゲームを手に持ったり、働くときにはスーツを着るなど、もっと自分らしい表現ができるといいなと考えて、作っています。

石ころ:私も2体お迎えしましたが、とても楽しいです。片方はレインボーカラーで、とてもかわいいですね。

けんすう:本当にありがとうございます、とても嬉しいです。

実際にNFTプロジェクトや漫画、Webサービス、有名な会社やフィットネスクラブなど、さまざまな分野の人たちとのコラボを進めています。

企業やクリエイターにとっても、NFTに参画しやすい入り口を提供したいと考えています。

また、NFT初心者のお客さんが「こんな感じで楽しめるんだ」と理解できるようなサービスにしたいと思っています。

石ころ:着せ替えアイテムの数が無限に増やせると、拡張性がとても高そうですね。

けんすう:そうですね。衣装をどんどん増やしていくことで、もっと楽しくなるのがポイントです。

また、一般ユーザーにも衣装制作を解放しようと考えていて、自分が作った衣装を売ることで「NFTって楽しいな」と感じられるような仕組みを増やしたいと思っています。

石ころ:本体の部分は完全にユニークなのですか?それとも、ある程度の重複があるのでしょうか?

けんすう:これは、完全にユニークです。自分だけのナマケモノを持ちながら、無数の着せ替えパターンを楽しめるようにしています。

石ころ:以前のmarimoプロジェクトのときは、10体くらい同じマリモが存在する感じでしたよね?

けんすう:marimoは、同じ色と形のものが10体あるというふうにしていました。

最初、形は目視で見ても全然違いが分からないんですけど、marimoは水をやりながら育てていくと大きくなっていって、最近は5.4センチくらいになっている人もいて。

リリースから半年経つんですが、少し形の違いが分かるようになってきました。

石ころ:後で見てみますね。僕も20体持っています。

けんすう:ありがとうございます、それだけ持っていただいて嬉しいです。

現状の課題は、「トレーダーばかり」なこと

石ころ:今日の配信テーマは、NFTの未来について語るということですよね。

けんすう:はい、そうです。石ころさんもかなりNFTに詳しいと思うので、今のNFTが抱える課題などについて聞いてみたいです。

石ころ:確かに、たくさんの課題があると思います。この前、海外の方のツイートで見たんですけど、今のNFTは99%の取引ボリュームが1%のトレーダーや“クジラ”と呼ばれるお金持ちによって生み出されていると言われています。

だから、トレーダーが影響力を持つと、結局トレーダーを優遇する他のマーケットプレイスに人が流れます。

NFTプロジェクトを開発している側も、フロアプライス(※最低落札価格)を上げないと文句が来たりします。

プロジェクトはホルダーを第一に考えなければダメだと言われることもあります。

けんすう:はい、はい。

石ころ:では、ホルダーのことを第一に考えた施策とは何でしょうか。多くのホルダーは価格推移を重視しているため、結局、その価格を上げていかないといけないのでしょうか。

それをやらないプロジェクト側は、Web3を理解していないと非難される空気感もあります。

例えば、Doodlesという、海外の有名なプロジェクトとか、最近ちょっと炎上していたんですよね。

けんすう:ファウンダーの方が、短期的なトレードのためにやっているのではなくて、ちゃんとブランドを作っているんだと言ったら、炎上したみたいですね。

石ころ:まさにそうです。あの事件も、今の状況を表していると思います。現状で言うと、そういうことが起こっていますよね。

けんすう:株式市場とかでも似たようなことはありますが、株式市場はもう少し、社会に対して良いことをやらないといけないという文脈が強いと思います。

NFTのほうが、フロアプライスとかに直結している感じがありますね。

石ころ:確かにそうですね。トレーダーは必ずしもいなくなるものではないし、トレーダーにも役割があると思います。

ただ、99パーセントの取引ボリュームを彼らが占めると、影響力が半端なくなります。トレーダーはいていいと思いますが、理想と言える状態ではありません。

理想としては、99パーセントの取引ボリュームを生み出すのが、リテール目的の人が占めるようになった状態です。

例えば、slothの着せ替えを楽しみたいという人がリテール目的で参加することが増えると、素晴らしいなと思います。

けんすう:そうですね。トレーダーがいると流動性が高まるので、いい面もありますが、もしトレーダーが99パーセントだと、それは良くないですよね。

石ころ:例えば、メルカリで出品している人が全員転売目的で、買う人も全員転売目的だと、中古の商品を欲しいと思っている人がほとんどいなくなってしまいます。

そんな状況になったら、もう崩壊してしまいますよね。

ゲーム×NFTの可能性

けんすう:そうですね、転売目的で買って、転売目的で売る人ばかりだと、いつか誰かが損することになります。

NFTの現状はそういった感じですが、これからの未来で良い状況になるといいですね。それに向けて、どのようなことが考えられるでしょうか。

石ころ:理想としてはもっとリテール目的の人が増えることが必要だと思いますが、それはなかなか難しい問題です。

個人的には、障壁を下げることが重要だと思います。

けんすう:うん、うん。

石ころ:リテールの人たちを呼び込みたいのですが、NFTを買う際のハードルが高いですよね。

ウォレット(※仮想通貨やNFTなどのデジタル資産を保有できるサービス)を作ったり、シードフレーズ(※ウォレットを回復するための秘密鍵)を紙に書いて保管しないといけないというのは、お年寄りや中高生には少し難しいでしょう。

パスワードを一回でもなくしたら、資産が消える可能性があるというのは怖いですよね。

だからこそ、障壁を下げることが重要です。例えば、STEPNのような「お金が稼げます」というサービスの場合は、その強力なインセンティブによって、一般の人でも障壁を乗り越えられたと思います。

けんすう:うん、うん。

石ころ:ただ、お金を稼げる以外のインパクトを出すのは簡単ではないと思うので、やはりその障壁を下げる必要があると思います。

とはいえ実際、今はそういう動きが多く出てきていると思いますし、割と近いうちにそれらの問題が解決されるのではないかと思っています。

けんすう:インターフェースや技術の問題であれば、すぐに解決していくのかもしれませんね。

石ころ:そうですね。技術的な問題が解決したら、次に必要なのはキラーコンテンツだと思います。マスを連れてくるものというか……。

これはちょっとポジショントークも入っていますが、今のPFP(※Profile Pictureの略で、アイコン用画像のこと)のブランドよりも新しいもの、インターネットサービスと紐づいたNFTが必要だと思います。

具体的には、ゲームが分かりやすい例だと思います。例えば、僕がアイコンにしているDigiDaigakuというNFTプロジェクトがあります。

ここでは、スマホのソーシャルゲームを作っていて、ウェブ上でソーシャルゲームに課金している人たちを全員引き込もうとしています。

けんすう:DigiDaigakuって、どんなゲームなんですか?

石ころ:まだ情報が限られていて、詳細は出ていませんが、スマホゲームを作っていて、MMO風のものだということが分かっています。

ファウンダーが過去にソーシャルゲームをたくさんやってきた人なので、きっとそういった感じのものになると思います。

けんすう:なるほど。僕もDigiDaigakuのNFTを1つ持っています。

石ころ:知っています。コミュニティで、けんすうさんが買ったと話題になっていました。

けんすう:あ、そうなんですか。Web3だと、バレてしまって、ちょっと恥ずかしいですね。

でも、ゲームはNFTにとって近い分野にあると思います。アイテムを持っていて嬉しいとか、持っている人が羨ましいという気持ちになりやすいですしね。

DigiDaigakuのようなゲームはエンタメですが、一方でデジダッチは生産性向上・便利ツールに見えます。なぜそちらの方向性に注目したのでしょうか?

石ころ:あー、そうですね。デジダッチは便利ツールにゲーム要素を掛け合わせた、半分エンタメ、半分便利なものみたいな感じです。

例えば『ドラゴンクエストウォーク』や『ポケモンGO』のように、ポケモンを育てるために歩いたりすると、健康にもなるという、半分エンタメのイメージを持っています。完全に便利に特化したサービスではないと思っています。

けんすう:ポケモンスリープ』なども、そういう感じですよね。

石ころ:確かに『ポケモンスリープ』も、ポケモンのキャラクターを使ったエンタメでもありながら、睡眠の効率を上げる便利アプリとして機能するサービスですね。そういうイメージに近いかもしれません。

けんすう:ポケモン系のサービスは、その辺りを丁寧に作っている印象ですね。DigiDaigaku以外のNFTプロジェクトで、未来に注目しているものはありますか?

石ころ:DigiDaigaku以外は見ていないですが、メープルストーリーを作った会社がNFTゲームに参入すると言っていたので、ゲーム系のNFTはこれから増えるかもしれませんね。

DigiDaigakuの社長が言っていたのですが、Web2.0のゲームでは、大半のユーザーが無課金で、一部の課金ユーザーがビジネスを成り立たせています。

石ころ:多額の課金をしているWeb2ゲームのクジラはNFTの価値を理解しやすく、NFTになることでアイテムを所有でき、売買が可能になることに魅力を感じるようです。

また、まずは、そういったユーザーを獲得することが重要だと考えているようです。無課金ユーザーをターゲットにする必要はないと言っていました。

けんすう:なるほど、そういう戦略なのですね。興味深いです。一方で、無課金ユーザーがいないなかで、それって成り立つものなんですかね。

石ころ:たしかに、シューティングゲームなどでは倒す相手が必要なので、多数の無課金ユーザーも必要では、という議論もされていて、無課金ユーザーが居なくても成り立つかどうかは、ゲームの種類によると思います。

NFTがあれば、データに実在性を感じられる?

けんすう:ちなみに石ころさん、NFT以前はどんなことをしていて、どういう経緯でNFTのプロジェクトを始めたんですか?

石ころ:もともと1年半前くらいに起業をして、コンシューマアプリが大好きだったので、TikTokのような凄いものを作りたく、SNS系のものや、ゲームツール系のものを実験的にいくつか作っていました。

しかし作りながら、市場の大部分がすでに埋まっているとも感じていたときに、「イーサリアムが次世代のアプリストアになる」という話を聞いて。

最初は理解できなかったんですけど、徐々にその意味が分かってきたんです。私はアプリを開発している人だったので、これはチャンスだと思って、Web3に飛び込みました。

けんすう:なるほど。Web2.0とWeb3の一番大きな違いは何ですか?

石ころ:例えばデジダッチでは、NFTを使うかどうかを検討したんです。

実際にはNFTを利用しなくても近しいことができるんですけど、NFTを使うことで、Web2.0ではできなかったゲーム体験を作れると考えたんです。

例えば……ポケモンの初代のゲームボーイ版には通信ケーブルが付いているんですけど。

まず、1989年にゲームボーイが発売され、その通信ケーブルを使って面白いことができるんじゃないかという発想から、7年後にポケモンが登場したんですよ。

最初は「デジタルデータを交換する」という発想だったらしいんですが、生き物を交換したほうが面白いということでモンスターになり、ポケモンというものが生まれたんですね。

それで、例えば初代ポケモンの仕様を見てみますと、ポケモンにはニックネームが付けられると。

けんすう:はい、はい。

石ころ:例えば、けんすうさんが1匹のポケモンに変な名前をつけて、それを僕がもらったとします。でも、僕はその名前を変えられないんです。それは少し不便ですよね。

けんすう:変えられるほうがいいですね。

石ころ:そうです。しかし、名前が変えられないのは、開発者側の想いがあるゆえの仕様なのだと思います。それは、「そのポケモンはこの世界に1匹しか存在しないんだ」という世界観ではないかと思います。

通信ケーブルを通って移動したポケモンは、データがリセットされるわけではなく、けんすうさんが持っている1匹を僕に移しているわけですね。

そして、ポケモンのおや(親)の情報も公開されるので、最初に捕まえた人であるけんすうさんの名前とIDも分かり、受け継がれていきます。そんなノンファンジブル(代替不可能)な世界観が、ブロックチェーンのおかげで、より実現していけるんですね。

けんすう:なるほど。ポケモンはブロックチェーン上に情報は載っていないけど、それでもできていますよね。

Web2.0でも、名前は変えられないような仕様にできないんですか?

石ころ:できると思いますが、信じられるかどうかが問題だと思います。NFTを持っている人は、本当に自分のものだと、より信じられる気がします。

例えば、ポケモンにはゲーム内でトレーナーさんにポケモンを預けて旅をしている間に育ててもらう機能があります。

それは、ポケモン社側が開発した機能ですが、もし、そのポケモンがNFTになったら、今言った機能は、誰かが作ろうと思えば作れるかもしれません。

例えば「あなたのポケモンをうちで預かって、面倒を見ておきます。代わりにETHをください」というようなことができるわけです。より現実に紐付いていて、実在・所有しているような感覚になるのではないでしょうか。

このように、ブロックチェーンとNFTは、ノンファンジブルな世界観や実在感を作り出し、新しい可能性を広げることができます。

けんすう:なるほど、それは面白いですね。第三者でもそういうのをいじれるし、第三者が餌をあげたりもできると。

閉じてないっていうのが、結構大事なポイントかもしれないですね。

石ころ:そうですね。デジタルデータなのに、ブロックチェーン上で生きているかのような体験になるんじゃないかと思いますね。

けんすう:一方で、CryptoKitties(クリプトキティーズ)みたいなブロックチェーンゲームでも、オープンにしてみんなでいろいろ作ってみたけど、うまくいかなかったという印象があります。

今、うまくいっているNFTプロジェクトってあるんですかね?

石ころ:まだあまり聞かないですね。大ヒットゲームはまだ出てきてないです。

例えばDigiDaigakuがもしフォートナイトくらいの大きなゲームになったとき、DigiDaigakuのNFTを持ってる人に、うちのゲームのNFTもエアドロップ(※NFTの無料配布)するよ、みたいなことはできますよね。

そういう他の人気ゲームのユーザーを、自分のところのアイテムで囲い込むというか、ヴァンパイア・アタックと言われたりするんですけど、そういうことが相次ぐだろうという話を、DigiDaigakuのファウンダーもされていました。

「楽しむ」ユーザーを集められるかどうか

けんすう:僕もNFTを信じている側なんですけど、今日は話を盛り上げるためにあえて、ちょっと否定的なことを言っています。

技術的には可能だと思うんですけど、どれぐらいの数が出てくるかっていうのは考えていますね。

例えば、DigiDaigakuが成功して、その後もさまざまなゲームが出てきて、それぞれのゲームで100万人のNFT保有者がいるとしたら、そういう人たちに他のプロジェクトがユーティリティ(※NFT保有者に提供される付加価値)的に何か提供することがあるのか、それとも意外とないのか、みたいなところに興味があります。

例えば、ChatGPTなどの今流行りのAIなどはAPIがあるので、世界中の開発者がすぐに契約して使っていますが、特定のNFT保有者に何かを勝手に提供するような行為は、あまり行われていないですよね。

石ころ:正直、私もまだ見えていないですし、どうなるのか分からないですね。許可がないとやりづらいですし、怒られそうな感じがします。

けんすう:そうですね、マナー違反のような感覚がありますし、遠慮があるのかもしれません。

例えば他のプロジェクトの人たちがslothのNFT保有者に何か特典を提供する場合、ユーティリティが増えて喜ばれるかもしれませんが、逆にお客さんを悪用されているような感覚にもなりそうです。

石ころ:そうですね、ブロックチェーンだから誰でもそういったことができるし、誰の許可もいらないというのがWeb3の良いところだと言われている一方、結局のところ紳士協定のようなもので、半分くらいは許可が必要だと思います。

もしデジダッチがけんすうさんに何も言わずに、「slothホルダーの方に特典が付く」と言い始めたら、違和感はやっぱり感じますよね。

けんすう:違和感は感じますが、そうなったほうがいいと思うので、先にこちらから言おうと思いました。

つまり、「好きにやっていいですよ」とちゃんと宣言しておくべきですね。一方で、初心者向けと言っているから、初心者向けの詐欺などが増えてくると困るなとも思いました。

その辺、まだセキュリティ的な問題があるかもしれませんね。

デジダッチは今年中に出る予定ということですが、開発する上で一番苦労しているところはどこですか?

石ころ:NFT周りというより、むしろアプリのユーザー体験に関してのクオリティが大変です。

NFTは所有感を演出しやすいとは思いますが、アプリ側でどれだけ愛着を持たせられるか、デジタルペット的なものに対して、愛着や実在感を演出できるかが一番の課題だと思っています。

けんすう:確かに、NFT側よりもアプリ側の問題ですね。手触り感なども含めてですね。

石ころ:そうです、そうです。slothでは、難しかったポイントはありますか?

けんすう:売る場所を本当に初心者向けにし、転売する人がほとんどいない状態にするために、一度に1体ずつしか売らないとか、そういうやり方にした結果、売るのが地道で大変な作業になっています。

これを聴いている人は、ぜひ買ってみてください。以前リリースしたmarimoなどは、一般販売後、初日に1000体ほどが二次流通で取引されてましたが、slothは買った人が手放さずに持っているという感じです。

Discordなどを見ていても、買ってすぐに売るという人はほとんどいなくて、どんな服を着せたいかとか、かわいいよねといった話題が中心です。

石ころ:素晴らしいですね。Discordでも価格の話がメインではなく、どの衣装を着せようかと楽しんでいるユーザーさんが多くいるんですね。

けんすう:そうですね。感覚的にはやはり初心者で、MetaMask(※大手ウォレットサービス)に関する知識もないような方が多いです。

石ころ:すごいですね、どうやってそういった方々を集めたんですか?

けんすう:ブログを書いたり、Twitterで情報発信したり、他の人のオンラインサロンに記事を投稿したりして、NFTに興味がある方や、名前だけは聞いたことがあるという方に声をかけまくりました。

石ころ:そのおかげで、投機をメインにしないコミュニティが形成されているのは素晴らしいですね。

slothとしても、流通額をあまり気にしていないんでしょうか。

けんすう:そうですね。僕たちが目指しているのは、フロアプライスや流通額を気にしない、NFTを楽しむ方向性です。

だから、二次流通での価格はほとんど見ていませんし、slothのかわいい衣装やコラボレーションなどに力を入れています。

その点、他のNFTなども、購入したときよりも価格が下がっていたとしても、あまり執着せずに楽しみたいと思っています。

石ころ:そういった考え方は素晴らしいですね。

けんすう:ありがとうございます。一方で、売れると思った瞬間に値下がりしてしまうと、損した気持ちになってしまうことはありますね。

とはいえ、ユニクロの商品が、メルカリなどで半額くらいの値段でも売れれば、それはそれで嬉しいなとも思います。

ただ、やはりこの辺の感覚は難しいですね。

NFT初心者のハードルはどこか

石ころ:今、slothのプロジェクトは理想的な状態のように思いますが、何か運営側がコツを持っているのでしょうか。

例えば、どうやって価格だけにとらわれないコミュニティ作りをしているのでしょうか。

けんすう:答えとしては、どういうユーザーを獲得できるかが、7割くらいを占めると思っています。いい意味でのNFT初心者の方が多いからこその現状だと考えています。

NFTユーザーがNFTを売買したくなるのは、それはそれで正しいんですけど、売買するにしても、「この衣装が欲しい」と思って二次流通で販売されている商品を見て、安いものもあるなとか、レアなものは高いなとか、自分の衣装を売ってみたら、次のものを買う足しになったなとか。

そういう売買のされ方を目指す必要があると思います。

石ころ:なるほど、それは確かに重要ですね。二次流通市場の存在は、最初から強調しすぎないほうが良いのでしょうか。

けんすう:うーん、ややこしい話になってしまいますが、要はユニクロの公式サイトが、ユニクロの商品を中古で売れるメルカリを紹介していたら、ちょっと変ですよね。

だから、通常のECサイトを使うとしたら、どういう感覚になるかということを重視していますね。

石ころ:なるほど。新しい方を参加させる際、Web3特有のハードルはどのように乗り越えてもらっていますか?例えば、MetaMaskの設定などです。

けんすう:僕の感覚では、MetaMaskの設定を難しいと思う人は、事業者が想像するほどはいないと思います。

いろんな初心者の人とやり取りしていて、MetaMaskでつまずいた人はあまり見ないんです。ただ、ETHを購入するところで詰まることが多いですね。

石ころ:取引所で仮想通貨を購入するときですかね。

けんすう:そうですね、CoincheckやbitFlyerなどの取引所でETHを購入しようとしたとき、価格が変動するので、安いときに購入したほうがいいのかと迷ったりとか。

取引所では株式取引のような難しい画面が出てきて、売りと買いとかが表示されると、ハードルの高さを感じることが多いみたいです。

また、購入時に手数料が高くて、自分が損しているのではないかと不安になることもあったり、購入したETHを送金するときにつまづいたりとか。

石ころ:なるほど、それは本当にその通りですね。

さいごに

けんすう:それでは、もうそろそろお時間ですが、最後に何かお知らせや伝えておきたいことはありますか?

石ころ:デジダッチのTwitterアカウントがあるので、今日の話を聞いて興味が湧いた人がいたら、そこで情報発信をしていますので、フォローしてくれたら嬉しいです。

けんすう:おもしろいと思いますし、デジタルデトックスは本当に良いキーワードになると思いますので、注目しておいてください。

slothのほうは、いろんなところとコラボをして、初心者でも分かりやすいように販売しています。

いろんな衣装やコラボ衣装が4月以降に出てくるので、興味がある方はぜひ買ってみてください。

一般販売しているので、普通に買えますよ。3月末に着せ替えができるようになります。(※着せ替え機能は公開済みです)

石ころ:楽しみですね。

けんすう:それでは、今日はこの辺で終わりましょうか。

石ころさん、今日は本当にありがとうございました。とても勉強になりました。

石ころ:いえいえ、こちらこそ楽しかったです。ありがとうございました。


というわけで、NFTの未来について、石ころさんと話した記事でした。

きせかえできるNFT「sloth」は一般販売中です。着せ替え機能も公開しました!

衣装やアイテムを自由に着せ替えて、あなただけのslothをぜひ育ててみてください。

一般販売はこちらから。

ここから先は

0字
けんすうの視点でわかりやすくまとめた記事が毎月20本ぐらい読めます。ビジネス書1冊ぐらいの金額で様々な話題をキャッチアップできて便利です!

アル開発室

¥980 / 月

【全記事読み放題】クリエイターエコノミーの事業に挑戦しているアル社の裏側を知れるマガジンです。代表けんすうが、やっている事業の裏側やリリー…

サポートされたお金はすべて、クリエイター支援のための会社運営に使われます!