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『イシューから始めよ』を読んで、仕事に取り組む順序を意識できるようになった話

こんにちは!

今日は、flierさんという本の要約サイトで、『イシューから始めよ』という本を紹介したインタビューの書き起こし記事を掲載します。

僕が仕事をする上で、とても大きな影響があった本について紹介しているので、ぜひ読んでみてください!

今日の記事は、flierさんのサイトで動画で見ることもできます。

けんすうさんって何者ですか?

けんすう:普通にサービスを作る人ぐらいのイメージでいますね。インターネットサービスとかを企画して作って出してみて、お客さんの反応見てわちゃわちゃするのが好きみたいなのが、一番の軸になってるところだと思います。

人の脳の中にある、素晴らしい創造性を引き出したいというか、日本にいる優秀なクリエイターの人とかが、やっぱり正当に評価されてなかったりとか、きちんとビジネスになってなかったりするのを解決したいなっていうところが、一番根本のイシューになりますね。

イシューを見極める重要性を広く指し示す一冊

けんすう:『イシューからはじめよ』という本を紹介させていただきます。この本は自分でビジネスを始めて1年ぐらい経って、まだ20代とかでビジネス経験とかもない中で、なんとか会社を成長させなきゃいけないっていうときに、非常に良さそうなビジネス書があるというので、買った記憶があります。

けんすう:本の内容をめちゃくちゃざっくり言うと、「課題」に対する「解決」の質をあげようではなくて、そもそも「その課題に取り組むべきか?っていうのが大事だよね」ということが書かれてる本です。

これによって、横軸に「イシュー」の質があって、縦軸に解決の「解」の質があるみたいなマトリックスを常に頭の中に持てるようになりました。

まず、イシューの質を上げてから、解の質を上げようみたいな順番を意識できるようになったというのが、一番大きなところです。

たとえば、会社の例で言うと、「売り上げが伸びない」っていう時に、売り上げが伸びないから、これは「受注数が足りないんだ」みたいに考えて、「受注数上げるには、とにかくアタック数を増やさないといけない」。

「だから人を10倍にして10倍のお客さんにアタックしよう」みたいにやってしまうと、本当にイシューがそれなのか?を決める前に動いてしまっていて、コストが跳ね上がってしまったりするんです。

やっぱり何かうまくいってない時にイシューを探さなきゃいけないっていう瞬間が来ますし、意外とそれは、うまくいってないと思った時には、解決法まで頭の中で考えちゃってたりすると、イシューがおろそかになってるみたいことがあるので、途中で気づいてイシューに戻るみたいな、そういうケースもありますね。

どうやってイシューを見極めている?

けんすう:抽象と具体を行ったり来たりするっていうのをやっておりまして。トヨタさんとかで有名なのが、「5Whys」と言ったりしますが、5回「なぜ?」を繰り返して、本当の課題は何かを探してみるとか。

具体例を見つつ、それを最大限まで抽象化した時にどうなるか?みたいなことを見たりしながら、本当に取り組むべき課題がこれかな?というのを見極めるようにしていますね。

インターネット業界におけるイシューの傾向は?

けんすう:インターネットに関して言うと、やっぱり社会のベースとなるような技術が多いっていうのが前提としてあると思うんですね。

たとえばインターネットを使って、ものを売ってもいいし、先生が生徒を探してもいいしっていうあらゆる使い方ができるので、世界に関するあらゆる課題が対象になるっていうのが、ちょっと他の業界と違うところかなと思っていたりします。

にもかかわらず、解決の質に関しては、日々技術がアップデートされるので、いろんな手法が出てくるというのがあるので、どうしてもインターネット業界の人の傾向でいうと、課題の「解決法」とか、そちらの方に目が向きやすかったりするんですね。

そのため、世の中のあらゆることを課題の対象にしているにもかかわらず、解決法がどんどんアップデートされるので、先ほどのマトリックスで言うと、イシューの質と解の質のマトリックスがこうごちゃごちゃになって、「こういう新しい技術があるから、この課題解決ができるんじゃないかみたいな?」みたいな、解決法からイシューを探してしまったりとか、そういうことがあるなと思っています。

たとえば最近だとChatGPTという、ざっくり言うとAIに自然言語で聞いて答えが返ってくるみたいなものが出ていますが、あまりにもそれがすごいので、それを使って何かやろうと思った時に、「社会にはこういう課題があるよね」という道にちょっと行きやすいんですね。

ただ、よくよく考えたら「それはそんなに課題じゃないよね」に落ち着くことって結構あるなと思ってます。

これは、ブロックチェーンとかでも同じで、ブロックチェーンを使って、たとえば地方創生しましょうってなった時に、地方創生は課題としてあるのはわかってるんですけど、解決法として無理やりブロックチェーンを使うという前提になると、イシューの方を歪めてしまったりするんですね。

ブロックチェーンで解決できるイシューを探そうというふうになるので、最終的なイシューが質が低いものになってしまうっていうことは、起こりやすいかなと思ってます。

日本人は「解から考える」のに向いている?

けんすう:日本って割と「手段を目的化する」のがすごく上手だなと思ってます。たとえば、欧米とかキリスト教圏だとミッションという概念があって、神からの使命でこの仕事をしてるみたいな感覚が強いらしいです。

そうすると、たとえばいい音楽を作りたいから、この楽器を使うみたいな発想になるんですけど、日本って初音ミクを使いたいから、初音ミクで音楽を作るみたいな方向に行きやすいんです。

アメリカとかだとハッカー文化で、目的のためだったら手段をある程度問わない、みたいな文化だと思うんですけど、日本人はオタク文化で、目的はないけど初音ミクを使いたいとか、そっちの方向に行きやすいなと。

そう思った時に、割と生成系AIの話とかでも、日本人がめちゃくちゃ研究してどんな絵が出るか?っていうのをやり続けたりとか。

バーチャルYouTuberとか初音ミクでも、人間を使わなくてコストを下げるためにVTuberを使うみたいな発想にはならなくて、VTuberでやった方が楽しいから、そっちをやるみたいな方向に行きやすいので。

日本の勝ち筋ってこのオタク文化的な手段を目的化して、どんどん性能を高めてしまうところかなと思ってるので、その意味で、今の技術進化って、日本にフィットしているんじゃないかなという話ですね。

たとえば、マイクロソフトのBingという検索エンジンの利用率が一番高いのが日本人というニュースがあったんですけど、個人単位で言うとそういう新しい技術にちゃんと飛びつく率とかが日本はすごい高いんですね。

でも組織になると合意形成が「ルール」ベースというよりか、「空気」ベースだったりして、納得してない人が10人中2人いると決まらないとかになりやすいので、そういう部分では弱いんです。

ただ、個人単位で言うと強いので、個人がエンパワーメントをしていく方向が、インターネットとか情報通信のテクノロジーだと思ってるので、そちらが強くなればなるほど、日本人が発揮する力は上がるんじゃないかなと思ってる派です。

「人類」視点でのイシューとは?

けんすう:人類とか全体で言うと、やっぱり格差問題とかが個人的には一番多くあります。

資本主義っていう“OS”を今、多くの国で使っていると思うんですけれど、資本主義の挙動的にやっぱり、格差が生まれやすいとか、数値化できるお金が目的になりやすいとか、成長し続けなきゃいけないとか、人口が多い方が有利とか、なんかいろんな要素があると思うんですけど。

これと実態が合ってなかったりとか、それを進めると不幸なことも起こるみたいな課題があるので、そこが一番大きなイシューかなと個人的には思ってます。

世界中の人が今、「ポスト資本主義」について考えてると思うんですけれども、その資本主義の経済の中ではないお金のやり取りと言うんでしょうか、たとえばクラウドファンディングで応援するために10万円払うとか、単純に頑張ってほしいからこれを買うみたいな「推し活」と呼ばれるような領域とかも含めて、そういった経済が回ってるのとかを見ると、可能性は感じますね。

たとえば、スティーブ・ジョブズっていう天才がいたから、世界が変わったというような個人のすごさではなくて、人間の主体って社会だと思ってるので、社会に知識が溜まるし、社会に才能が溜まって、社会がiPhoneみたいなものを発明しているっていう捉え方に近いので、その意味で言うと「人類」
の力は信じてるのかもしんないですね。


というわけで、前編はここまでです。後編に続きます!

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