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#NFTの未来を語る NFTはいかに盛り上がっていくか?のぶめいさんインタビュー

こんにちは!

今日は、「#NFTの未来を語る」というシリーズの対談記事をお届けします。

NFTという、最近よく見聞きするけど「なんだかよくわからないもの」について、初心者の方でも雰囲気が掴めるような企画を目指しています。

というわけで今回のゲストは、書籍『Web3.0の教科書』を今年1月に出版したのぶめいさんです。

slothの詳細についてはこちら。

こちらの対談は、Twitterスペースでの録音を聴くこともできます。

“現場感”のあるWeb3の情報を発信

のぶめい:はじめまして、よろしくお願いします。今日はご招待いただきまして、ありがとうございます。

けんすう:こちらこそ、ありがとうございます。よろしくお願いします。

のぶめい:誘ってもらってびっくりって感じだったんですけど。

けんすう:本当ですか?のぶめいさんは有名な方ですし、本も売れているので、そういったお誘いは多いかなと思っていました。

のぶめい:呼ばれたら行くタイプではあるのですが、それほど多くはありませんね。たまにある程度です。

けんすう:出版自体は、どういう経緯でお話が来たのですか?

のぶめい:前々から「本を出したいんですよね」っていろんな人に言っていた結果、出版社の方とつながれて。メルマガを2年間ぐらい書いていたおかげで、出させてもらえましたね。

けんすう:素晴らしいですね。私も読みました、とても良かったです!

のぶめい:1年ぐらいかかりましたが、出来上がったときはやばいものを作ってしまったなと思いました。

けんすう:300ページぐらいありますもんね。本題に戻ると、今日は「NFTの未来を語る」ということで、のぶめいさんに来ていただいて、いろいろお話を聞きたいと思っています。

ここで自己紹介しておくと、クリエイターのためのサービスを作っている会社の代表をやっている、けんすうと申します。最近は、NFTやWeb3系に力を入れていて、slothというナマケモノをテーマにした着せ替えのNFTを作っています。

これは、企業やクリエイターとコラボして、いろんなデザイナーさんにナマケモノに着せる衣装を作ってもらっていて、そのうちユーザーが勝手に作って売れるようにしようと思っています。

slothというコンテンツの上に乗っかる形で、デザイナーさんや、企業さんがNFTを売れる仕組みにできるようになるといいなと考えております。よろしくお願いします。

けんすう:それでは、のぶめいさんも初めてお会いする方もいらっしゃると思うので、どのような活動をしているのか簡単にご紹介いただけますか?

のぶめい:よろしくお願いします、のぶめいと申します。仕事は、SUSHI TOP MARKETINGという会社で、NFTの配布や企画などを主に行っています。

個人の活動としては、Web3やNFT、DeFi(※ブロックチェーンを基盤にした金融サービス)に関してメルマガを書いています。毎日、実は2年間ほど書き続けていて、今年の1月にその内容をまとめた『Web3.0の教科書』を出版して、販売しています。

けんすう:よろしくお願いいたします。この本はとても面白くて、なんというか現場感があり、概念だけじゃなくて、NFTの仕組みが具体的に分かるのが良いと思いました。

のぶめい:ありがとうございます。冒頭には「Web3とは」とかの杓子定規的な話もありますが、私がメインで深く書いているのは、NFTやブロックチェーンゲームなどの話で、7章、8章ぐらいが一番厚みがあります。

DeFiやステーブルコインなどのいろんな領域についても書いていますが、7章、8章が一番読みごたえがあるんじゃないかと思います。

けんすう:分かります。筆が走っている感じが伝わりますね。

のぶめい:実は、投機的なNFTには興味がなくて、それ以外の分野に焦点を当てているので、そこに気づいてもらうためにいろいろと書いています。

けんすう:まさに思ったのが、多くのファンを抱えるコンテンツの担当者にNFTの話をすると、「ファンのリテラシーが高いから難しいと思うんですよね」と言うけど、「それコンテンツの価値を高める努力が不足してますよね」みたいなことが書いてあって、本当にそうだと思いました。

のぶめい:そうですね。本を出す際に、出版社さんが僕の口の悪さを丁寧に直してくれているので、本だと印象が良い書き方になっているかもです。

でも、メルマガではそういう配慮はせず、率直な意見を書いていますので、そういった内容が読みたい方は、メルマガを読んでもらえればと思います。

けんすう:なるほど。ただ、結構本当にそうだなと思うことが多くて、例えば「MetaMaskは敷居が高い」と言っている企業の方がいるけど、僕はまだそこでつまずいた人には出会っていないんですよね。

例えば、marimoというNFTを売ったとき、4割くらいは初めてNFTに触れる人だったんですけど、MetaMaskが作れなかったという人は一人もいなくて。だから、思ったよりもそこじゃないなという印象があったりとか。

のぶめい:外野の人が勝手に考えていると、そうなるんですよね。話していて、この人はこんな話をしているけど、NFTを持ったことがないんだろうなと分かったりします。

「Flex」(※見せびらかす、格好つけるといった意味の、NFT関連のスラング)の意味とか、伝わってないんだろうなと思いながら説明したりしています。

けんすう:特に歳をとってしまうと、昔の経験と照らし合わせて、「あーあれみたいな感じね」って理解をしちゃうから、危険だなと感じたりしますね。

のぶめい:そうですね、それは自分自身にも刺さるところがあって。Web3あるあるだから、ビットコインのNFTとか、またやっているけどみたいに捉えちゃう自分がいて。

小さいサイクルが自分の中でも回ってきていたりすると感じるんですけど、まあ上の人にも気をつけてほしいですね。

けんすう:わかります。ヴィタリック(イーサリアムの共同創設者)のブログで散々議論されていて、通った道だと思って冷めた目で見てたら、見誤ることがあるんじゃないかと感じることがありますね。

のぶめい:そうですね。自分は冷めているのに、タイムラインが盛り上がっていると、乗り遅れた感じがするんですよね。

ブロックチェーンゲームでWeb3に興味を持った

けんすう:今のようなお仕事をしたり、『Web3.0の教科書』を書いたりしたのは、どういう経緯なんですか?

のぶめい:自分は新卒で広告代理店に入った人間で、テレビの視聴率の分析とかをたくさんやっていたんですね。分析や解析が好きな人間で、趣味はゲームでした。

2017〜2018年当時、ブロックチェーンゲームが出てきて、「稼げるゲームって何なん?」というところからハマっていきました。

当時、データ分析をするのが好きだったので、スクレイピングでオンチェーンデータを取ってきて機械学習で回して、「このゲームにこれぐらいETHを入れたら、損益分岐点を突破するから投資しようかな」みたいな感じで遊んでました。

けんすう:なるほど、ブロックチェーンゲームが入り口だったんですね。

のぶめい:そうですね。そのときに横ではソシャゲがすごく流行っていたんですけど、運営がガチャの不正やステータスを変えるといったことをして、爆損を被ったみたいなニュースを横目で見ていて。

フルオンチェーン(※NFTを構成する全てのデータがブロックチェーン上に記録されていること)だったら真にフェアなゲームが作れると思って、ブロックチェーンに興味を持ち始めました。

けんすう:広告代理店でテレビの視聴率を見るのと、ネットのトレンド分析って結構差があると思うんですが、分析は趣味としてやっていたんですか?

のぶめい:そうですね。8割くらいは趣味でやっていましたが、トレンド把握のためにTwitterの情報解析とかをしていました。

けんすう:なるほど。

のぶめい:会社員としてブロックチェーンゲームが来ると感じて、新規事業として提案し、2〜3年間取り組んでいた時期がありました。

ただ3年間、毎年、上司が入れ替わってしまって、少しずつビットコインとかMetaMaskとかを覚えてもらった上司が消えてしまうので、それに苦しんでいました。

けんすう:確かに、2017年から2018年くらいは、今よりも理解が難しかったですよね。

のぶめい:そうなんです。流行ってなかったんで。

けんすう:ブロックチェーンが来ると説明するだけでも大変ですよね。

のぶめい:そうですね。社内資料が数千枚くらいに積み上がっていくんですけど、3年目に入ったとき、この資料を社内に蓄積させるのはもったいないと感じて。

社内だと誰も理解できないしと、メルマガで少しずつ書き始めたのが2年前になります。

実は、書き始めた動機としては、社内に発信しても誰も読まないから外に公開しようという、怒りが原点だったというのがあります。

けんすう:面白いですね。

のぶめい:3人の上司にも言われたんですけど、「分かりやすい本とか、オリエンタルラジオの中田のあっちゃん(中田敦彦のYouTube大学)みたいに説明してよ」って言われるんですよ。なのでまずは、そういう観点で本を書いてみたっていう。

けんすう:なるほど。結局、本があるとやりやすいですよね。

のぶめい:この領域の情報を本から摂取するとか、片腹痛いわって感じなんですけど、当時は本がなかったので「じゃあ自分で書くわ」って感じです。そんな経緯で、本とメルマガを書いております。

けんすう:なるほど。これはちょっと昔話的な感じですけれども、Web2.0のときも『ウェブ進化論』という本があって、それで初めてCGMとかユーザーが投稿するっていうのを理解してもらった感覚があるんですよ。

当時、2006年ぐらいで、リクルートにいたんですけど、ちょうどリクルートもユーザー投稿やレビューって必要だよねっていう機運が高まっていて。この本がなかったら、説明ができなかった気がしますね。

よく知らない分野について海外の人が書いたブログとかを見せても、やっぱり全然分かってもらえないっていうのはありますよね。

のぶめい:そうですね。そういう側面もあるんで、同じことをやっている感じはあるんだろうなと。

あとは、同じ社内の人間が説明しても、なんか伝わらないっていうのがあるんで。

けんすう:ありますね、あれは何なんでしょうね。僕、社長なんですけど、社長でもそうですからね。

話を聞いてもらえないから、外部の人を連れてきたら、外部の人の話のほうがめっちゃ聞いてもらえるみたいな。

のぶめい:そうですね、中田のあっちゃんのようになりたい人生ですね。

けんすう:あれはまたすごい才能ですからね。

のぶめい:本を出したので、次はYouTubeをがんばらないとって思ってます。

けんすう:え、YouTubeとかもやるんですか?

のぶめい:まだやっていないんですけど、ラジオは前からやっていたりとかするんで。

最近は、本当にメルマガを書くのもかなりサボっている、5つ指ナマケモノなんで。

ただ、最近やっと日常生活が戻ってきたので、メルマガを書きつつ、新しいことも始められそうです。

けんすう:ナマケモノ!ありがとうございます。

ちょうど今後この業界でどういうことされるんだろうなっていうのが気になっていたので、お聞きしたいんですけど、まず、発信の幅を広げるっていうのがあるんですか?

のぶめい:そうですね。最近ChatGPTとかで、AIがかなり情報を集めてくれたり、収集してくれたりするんです。

僕はNotionとかで情報をデータベース的に溜めているんですけど、Notionがあるからメルマガがたくさん書けるようになったっていう側面が多分にあって。

同じように、AIのおかげで情報の収集の精度とか量とかもかなり上がったんで、メルマガを書くのがかなり楽になってきてるっていうのがありますね。

けんすう:じゃあ、それで時間的にも余裕ができたんですね。

のぶめい:そうですね。音声で録って、文字起こしして、ほぼメルマガができてるみたいな感じ。

多分、音声を録るなら動画も一緒に録れば、YouTubeもやれるだろうなって感じです。

けんすう:いいですね。もはやYouTubeで喋ったことを文字起こしして、メルマガに使うとかすれば、そんなにコストも上がらないですもんね。

ラグジュアリーな消費は、NFTで代替できる?

のぶめい:そうですね。あと、音声にNFTを仕込んだりとかもできるんで。

けんすう:なるほど?

のぶめい:音声透かしという技術で、音声をスマホとかデバイスで聴いたらNFTをもらえる仕組みとか、作れたりするんです。

何回聴いてるかとか、ロイヤリティの高いユーザーか、どうかとかがわかったりして面白いと思っています。やりたいことはたくさんあるんですけど、一個一個やっていこうかなって感じです。

けんすう:音声の中に何か仕込んで、それを専用のアプリとかで聴くと、解析してみたいな感じですか?

のぶめい:そうですね。音の裏側に透かしを入れる技術があるので、それを受け取れるスクリプトをブラウザとかに仕込んでおくんですよ。

そうすると、Webアプリとか、スマホアプリとかがどっちでもいいんですけど、それがNFT発行とか、受信のトリガーになるみたいな。

けんすう:なるほど、面白いですね。

のぶめい:そうですね。テレビの視聴率とかラジオの聴取率とかをこれで取る技術があるので、こういうのもいいかもしれません。

けんすう:ファンエコノミーみたいなところと相性がいいので、お金がない人でも、YouTubeを毎日再生して、100再生分貢献したら何かもらえるみたいなことは、皆さんやりたいというんです。

ただ、YouTubeのAPIとかでやると割と面倒だし、実装できないんですけど、それでやるとアリかもしれないですね。

のぶめい:そうなんですよね、YouTubeの情報を外から取ってきたりとか、勝手に公開できないじゃないですか。

第三者も見れるブロックチェーンとか使ってると、実は僕、Voicyでけんすうさんのチャンネルを聴いているんですよっていうのが、お世辞かどうかが分かる。

けんすう:嘘がつけなくていいですね。

のぶめい:そうなんです。そういう話をトークングラフ(※その人がどのようなトークンを保有しているか参照し、趣味嗜好を特定する仕組み)で語りたいんです。やっぱオンチェーン男子なんで、僕。ブロックチェーンに刻まれていないと、信用できないですよね。

けんすう:なるほど、オンチェーン男子。確かに、証明できることが重要というよりは、証明できる状態になることが重要だと思います。

のぶめい:そうなんですよ。

けんすう:私もいろんなツールを作ったんですが、やっぱりNFTを持っているだけだとつまらなくて、例えば100日持っているとか、ちょっと嫌な話、嫌いなNFTを手放して、こっちのNFTを買っているとか、そういう条件で絞り込めるのは面白いなと思っています。

のぶめい:そうですね。状態を自慢したいという点でいくと、僕はジンベエザメを飼いたいという夢があって、アイコンもタツノオトシゴになっていると思うんですけど、魚が好きで家にアクアリウムもあるんです。

ただ、大きい魚が欲しくても家では無理で、その究極がジンベエザメを飼うことです。で、それをけんすうさんに言って、「俺ジンベエザメ飼ってるから、大阪の海遊館まで一緒に見に行こうよ」とか冗談で言いたいんです。

けんすう:なるほど、自宅にはいないけど、その所有権を持っている状態というわけですね。

のぶめい:そう、「俺、ジンベエザメを持ってるねん」と言いたいだけ。それは、ジンベエザメの所有権をNFTとして売ってもらえと言えるんです。

けんすう:お金持ちの人が、バーとかやったりするのも、二次会で自分の店だと言うためだけに何千万円も支払っているわけですもんね。ここは誰々さんのお店らしいよと言われたいとか。

のぶめい:「ジンベエザメが欲しい」と言ってピンとこない人は、僕と相性が良いわけじゃないので。

「めっちゃええやん!」って言ってくれる人は、もうマブダチですよね。

けんすう:ジンベエザメを持っていたら、ちょっとアツいですね。

のぶめい:そういうことがNFTで実現されていくといいなと思っています。

投機を目的に集まっている人が多いDiscordサーバーで、「次のフロアプライスあがる情報は何ですか!」とか運営にメンションを飛ばすようなギスギスしたような感じではなくて、もっと楽しくクリプトをやっている感じが出てほしいんです。

けんすう:すごくいいですね。でも、実際にお金持ちがお金を使う場所って、家や別荘、車、時計、靴などに限られていますよね。

本当に好きな人にはいいと思うんですが、そうでもないのに仕方なくポルシェを買うのはつまんないなと思ってて。

同じお金を払うなら、ジンベエザメ欲しいよねというので、それが環境保全や水族館の運営に役立ったりもしますし。

のぶめい:今までジンベエザメは買えなかったですからね。

けんすう:例えば、僕らがナマケモノを飼いたいと思っても、実際に餌をあげて飼いたいわけではなく、動物園が育てるほうがいいですよね。それができないのはもったいないと思います。

のぶめい:そうですね。ラグジュアリーな消費の上位層は、NFTで代替できるようになるんじゃないかと考えています。

けんすう:好きなところにお金を使えるし、NFTだとジンベエザメをまるごと所有するのが仮に1000万円とすると、興味がある人が1万円でも買えたりするといいですね。

のぶめい:そうですね、1口だけでも楽しいと思います。そういうのがいいなと思います。

けんすう:「値段を転売して、価格が上がりそうなものを買う」という取引が全体の9割以上を超えると、ちょっと歪だと思うんですよ。

前に誰かがこのスペースで言っていたことがありますが、「買う人も売る人も転売ヤーしかいないメルカリってどうですか?」って言ってて。

確かに問題ですよねってなるので、これは馬鹿馬鹿しいけど面白いよねとか、これを買うことで何かに貢献している感があるという点をもっと増やしたいですね。

“使い道のないお金”でNFTが買われる?

のぶめい:例えばドラゴンクエストのようなゲームの世界で、ゲームの終盤になると、装備が全部揃ってしまって、お金がたくさん余ってしまいますよね。9999万円になっちゃうみたいな。

それで、お金の使い道がなくなっている状態というのが、今のNFT界隈やポイントサービスの状況に近いように思います。余っているポイントがあるけど使い道がないわけです。

NFTって蓄積することで「けんすうさんのラジオ何回も聴いていますよ」みたいにいえますけど、その貯めたポイントを消費する先として、NFTが注目されてもいいのではないでしょうか。

けんすう:なるほど。

のぶめい:つまり、今までの超ロイヤルな顧客たちは、どんなことに興味があるかが分からなかったわけですが、NFTでさまざまな消費先を用意することで、そのロイヤルな顧客の趣味や関心事が分かるようになり、ロイヤリティの高い顧客たちの関心度をさらに高めるためのツールとして、NFTを消費させることができると思います。

けんすう:面白いですね。今は投資しかなくて、消費がないと、投資で膨れ上がったお金の使い道がなくて、また投資に回っちゃって、ぐるぐるしているだけだよねっていうのありますね。

確かに、楽天ポイントとかずっと貯めちゃって、使い道が難しいなと思ったりします。

のぶめい:そうですね、誰がどれくらい楽天ポイントを持っているか分からないし。じゃあ、例えば、slothのおしゃれな服を3万円で買えるように、楽天に提案すればいいじゃないですか。そういう消費先だと思います。

だから、プレミアムslothとか、特定のユーザーだけが購入できるようなものとかができたら面白いですよね。

これって多分ID連携する必要もなくて、単純に楽天で3万ポイント消費したメールアドレスを教えてもらえれば、そのアドレスにミント(※NFTを購入し、生成すること)できるURLを発行してあげたら済むような気もします。

けんすう:うん、楽天ペイを使って、ポイント支払いをしたかどうかがわかるので、普通に決済として使えそうですね。

のぶめい:それ楽しそうですね。

けんすう:面白い。その観点はなかったかもしれません、消費にお金を使わせないとねっていう。

のぶめい:そうなんですよ。それが閉じた経済圏だと如実に出ますし、リアルな通貨とか経済圏でも、めちゃめちゃお金が余っているところには格差は広がってるのに使い道がないみたいな。

その選択肢としてNFTがかなり買われているっていう側面もあると思います。

けんすう:確かに、お金持ちの人は使い道がないから高いものにお金を使ってしまうんですよね。

投資してもまた増えちゃうけど、増えたお金も使える限度があるので、全然面白くないって思っちゃうらしいんですよね。数字が増えるだけっていう。

のぶめい:そうだと思いますよ。結局、数字が増えたところで、人間が究極的に楽しいと思うのは、人とのコミュニケーションや承認欲求を満たすことにあるんで。

やっぱりNFTって、マッチングアプリやなって思います。

けんすう:めっちゃ面白い。その観点から話している人をあまり見ないので、すごい目からウロコが落ちました。

のぶめい:slothに僕が今アイコンで着ているタツノトシゴの服とか、作れたりするんですかね。のぶめいメルマガポイントで買えるみたいな。

けんすう:あ、今、担当者が聴いているので、多分いいんじゃないですか。

のぶめい:やった。じゃあ、僕のメルマガ経由で何かNFTを発行できるようにしてくださいよ。

けんすう:メルマガ読者限定のNFTとかできますね。

のぶめい:そうやってコラボできるっていうのが多分、slothのいいところですよね。コラボ先って、企業だけじゃないですからね。

こうやってつながりを作っていけると非常に良いですし、これからはアーティストの服とかをUGCとして作れるようになっていくんですよね。

けんすう:そうですね、その予定です。

のぶめい:経済圏が広がってくると、楽しそうですね。ネットワーク効果が効いていくし、非常にいいですね。

けんすう:ありがとうございます、そうなんです。実は、ネットワーク効果が効かないNFTにおいて、何か作れないかっていうチャレンジでもありますね。

もっとふざけたプロジェクトが増えてほしい

けんすう:いいですね。ちなみにのぶめいさんが考える、今のNFTの課題みたいなものって、何かあったりしますか。

のぶめい:まあ、本気で答えるとウォレット問題とか難しいよねという話はあると思うんですけど、僕が個人的に思っているところでは、「みんな真面目すぎる」っていうのがあるんですよ。

もっとふざけてほしいっていう感じがあります。どういうことかっていうと、クリプト自体がもはやネタみたいな世界じゃないですか。

法定通貨に政府が介入しすぎて、資産価値が下がっていて腹立つからビットコイン作ろうぜっていう感じで、それから、1万ビットコインでピザ買えたから今日記念日にしよう(※初めてビットコインが決済利用された日を祝う「ビットコイン・ピザ・デー」のこと)って言っていたみたいな。

けんすう:そうですよね。

のぶめい:そういうノリで始まっているものなんですけど、デジタルゴールドのように価値が認められ始めて、真面目になってきているんですよね。

NFTも流行り始めて、もう2年経っていますし、最初のふざけていた時期より、みんな真面目にユーティリティ(※NFT所有者に提供される付加価値のこと)を考え始めているんですけど。

最初の心を思い出そうみたいな気持ちがありまして。もともと、みんなが面白いからやっていたんですよね。お金儲けのためだけじゃない。

儲かっているプロジェクトを参考にしてこうやるべきみたいな考えは、持続可能性がないなって思います。

けんすう:のぶめいさんが本で「ミーム文化がアンチテーゼを含んでいる」と書かれていましたけど、まさにそれですよね。

のぶめい:そうですね。みんな真面目な会話をタイムラインでしているんですけど、もっとふざけた感じで、こんなミームを作ってみましたとかそういうプロジェクトがもっと出てくるほうが面白いと思っています。

ポリゴンが新しいレイヤー2を作って、イーサリアムがもっと便利になるという話がある中で、イーサリアムを作ったヴィタリックが実はトランザクションの中に下ネタを入れていたという話があるんですけど、そういうことがTwitterで拡散されたりするじゃないですか。

でも、日本ではあまりミームの文化がないなって思っていて。

けんすう:日本では匿名だとミーム文化が強いのに、Twitterなどではみんなちょっと真面目になってしまう雰囲気があるような気がします。

のぶめい:そうなんですよね。

けんすう:2ちゃんねるではトップページに壺の画像があって、それは統一協会絡みで壺を売っていると言われたときに、載せたものなんです。

今のNFTでも確かにみんなもっとふざけていいのに、みんな真面目にしていますね。

のぶめい:最近はNFTの世界がより真面目な雰囲気になっている気がします。定期的に面白いネタとか、ふざけたミームを生み出してくれるプロジェクトのほうが僕は好きです。

けんすう:確かに、本来カウンターカルチャー的なポジションにあるはずなのに、みんなメインカルチャーっぽいことをやろうとしている感じがしますね。

のぶめい:「カウンターする気ある?」みたいなプロジェクトの方が多いように感じます。

slothはお猿さんではないですけど、Bored Apeのお猿さんたちに喧嘩を売るくらいの勢いで成長していってもいいんじゃないでしょうか。

けんすう:なるほど。なんというか、NFTの世界が早すぎることに疲れてしまって、ゆっくり進むプロジェクトが増えていますね。

のぶめい:はい、「ゆっくり急げ」というslothのテーマはとても良いですね。ナマケモノは大好きですし、めっちゃいいです。

けんすう:ありがとうございます、ナマケモノはとても可愛いですよね。slothの話題になりますが、これからどうすればいいと思いますか?

のぶめい:実は一年前に着せ替えのNFTを作ろうと思っていたんです。だから、slothが出てきたときは、思想が一緒だなって思って見ていました。

まだ購入はしていないのですが、JPY(日本円)で決済ができるようになったら、ぜひ欲しいと思っています。

けんすう:ありがとうございます。クレジットカードで購入できるようになったら、ぜひお願いします。

のぶめい:今日、メルマガで書いたんですけど、収益の一部が社会課題の解決に向いてると、美しいと思っていまして。

例えば、slothで得た収益が、ナマケモノの保護団体に寄付されるとか、3匹のナマケモノを飼っていますとか、そういったことが可視化されていると面白いなと思っていて。

けんすう:確かに、それはいいですね。

のぶめい:最初は遊びでslothを育てていたけれど、知らず知らずのうちにCO2を減らしていたという話が、実は本気だったというプロモーションになると思うんですよ。

何か解決したい課題があるとき、かわいいキャラクターを育てるっていう遊びを入口にしてあげるのは結構アリだと思っていて、このメルマガの中で書いたのは、サステナビリティを解決することを目的とした「サステナブルドッグ」というペットを作ろうという話でした。

サステナブルドッグちゃんを育てれば、収益がCO2削減や脱炭素系のところに使われるので、「あれ、俺、CO2を1キロも減らしてたんだ」って言えるみたいなことですね。

けんすう:実はmarimoというプロジェクトでは、10%の収益を釧路市のマリモ保全に寄付していまして。

結構そういうのって大事だなと思っていて、ある意味マリモっていうブランドに乗っかっている部分もあるので、還元しないとなっていうのはあります。

確かに、動物園のナマケモノの餌だとか、お金を出しているものに実感値があるものは欲しいですね。

のぶめい:例えば、世の中には貴重な猿がいて、その保全活動が寄付で回されているわけですが、それをデジタルペットでサポートしているっていう構成が取れたら、Bored Apeプロジェクトも煽れると思います。

けんすう:昔の話ですが、2ちゃんねらーがフジテレビが嫌いで、フジテレビがゴミ拾いイベントを24時間テレビでやるときに、みんなが頑張って先に全部のゴミを拾ってしまった事件があって、そういうムーブメントは僕も結構好きでした。

真面目な話よりも、面白い話やふざけた話のほうが人に響くことはありますよね。初期のWikipediaもそんな感じで、マイクロソフトの百科事典より全部無料で利用できるこっちが勝ったら面白くない?っていう点から人気が出たように思います。

NFTを送りつける仕組みがあれば盛り上がる?

のぶめい:例えば、誰かにNFTを送りつけるといった概念があるといいなと個人的に思っています。

Free to Own(※ブロックチェーンゲームで利用するNFTを無料で入手できること)とかでNFTを取得するコストをどんどん下げるのがトレンドであって、次は誰かにガス代負担してもらおうみたいなのが流行る気がしていて。

例えば、slothというナマケモノのNFTプロジェクトでは、ガス代を誰かに負担してもらうといった仕組みがあると、次に来るトレンドになると思います。

友だちにslothのNFTを送りつけるような仕組みがあると面白いですね。ガス代を払ってもらえる仕組みがあると、もっと面白くなりますね。

けんすう:そうですね。僕もよく友だちに物を送ったりするんですが、善意というより、巻き込みたいという欲があるからやっています。

例えば、YouTubeで有名なひろゆきさんにおすすめの漫画を送ると、彼が感想を毎回ちゃんとブログに書いてくれるんですよね。それってお互いに悪くない話で、直接自分には返ってこないけれど、渡しやすい。

僕が直接儲かるわけではないですが、漫画が儲かって間接的に良くなるようなことがあって。NFTだと、ウォレットアドレスを聞いて、僕が自由に送ってあげられますね。

実は、marimoには水替えという機能があるんですけど。

のぶめい:あ、所有者の代わりに水を変えられるんですね。

けんすう:そうですね。毎回、なんで水を変えるのにこんなにガス代がかかるんだと思って、すごく悲しくなるんですよ。

それで、僕がみんなの水を替え続けているんです。1回700円くらいかかるんですよね。

のぶめい:それ、ちゃんと水を変えている証拠が積み重ねられるような仕組みになっていないとですね。

けんすう:そうですね。一応、marimoの履歴に水を変えた履歴が出るんですけど、それが何かと言われると、何なんでしょうね。

のぶめい:それは分かります。けんすうさん、「WAGMIGOTCHI」(ワグミゴッチ)というNFTプロジェクトをご存知ですか?

けんすう:メルマガに書かれていたやつですよね。

のぶめい:Web3デジタルペットの場合、世話した分が優しさみたいな数字に変換されていて、
その人がどれくらい優しいのかが可視化されるわけです。

だから、けんすうさんと僕のどっちが優しいかが証明できるわけですね。勝負できるわけですよ。

けんすう:dangoというNFTをgive awayできるツールを作っているんですけど、当初の企画はイーサリアムをプレゼントできるサービスでした。

Web3の一番の問題は、お金がないと若者が始められないということでして。だから、有望な若手にイーサリアムを寄付している大人は、将来的にこの業界に貢献した人として記録が残るのが面白いなと思ったんです。

しかし、誰も支払わないと言われ、その企画は却下されてしまいました。

のぶめい:それは悲しいですね。

けんすう:悲しかったです。

のぶめい:多分、そこに大義名分がないからだと思いますね。

けんすう:おっしゃる通りです。確かに、ソーシャルプレッシャーを適度に作ることが大切ですね。

さいごに

けんすう:そろそろお時間ですが、リスナーの方から何か質問はあるでしょうか。のぶめいさんのほうで何か告知や伝えたいことがあれば教えてください。

のぶめい:僕が書いているメルマガに登録していただけると嬉しいです。そして、「オンチェーン男子」という概念を広めたいです。みんな、もっとふざけましょうね。

けんすう:ふざけが足りないのは分かりますね。

のぶめい:そうですね。最近メルマガでちょっとふざけたことを書いたら、購読者が10人ぐらい減ってしまいました。

いいスクリーニングになっているんですけど、 確かに真面目な紹介記事は、もうAIが好きに書いてくれるんで、ミームとか面白いことに特化して書かないとまあ意味ないよなって思って書いています。

けんすう:一時期、バーグハンバーグバーグ創業者のシモダさんとNFTを作ろうと話して、神を作ろうっていうNFTの企画を進めていて。

シモダさんって知らないおじさんの写真を集めるのが趣味なんですけど、おじさん2人の写真を合成すると、世の中に存在しないけれど見たことがある感じのおじさんになるとかで、 それを何人も掛け合わせていくと、どんどん見たことあるようなおじさんが出てくるけど、世の中に存在しないおじさんなんですよ。

そこで、おじさんのNFT同士を合体させると1枚のおじさんのNFTになるというものを作って、それをみんなで繰り返していって、最後の1枚になったおじさんを神と呼ぼうというのを進めていたんですけど、合成を繰り返していたら、突然、本当に謎の球体みたいな、すごく抽象的な物体が突然出てきてしまって。

それでもう、なんかめっちゃ怖くなってやめました。 後で写真を送りますね。

のぶめい:まぁ、神なんでしょうね。

けんすう:これは神様からの警告なんじゃないかって話になって。でも今の話を聞いて、やっておけばよかったなとも思いましたね。 そういう悪ふざけというか。

のぶめい:機械学習とかも面白いんですけど、あの、みんなでエッチな画像を作ろうみたいなプロジェクトとかあったじゃないですか。めっちゃ好きだったんですよね。

2枚の画像を並べて、どっちのほうがエッチですかってみんなが選択していった結果、だんだん人の体みたいなものが浮き出てくるみたいな。

けんすう:あれ、めっちゃ好きでした。あの、抽象的な画像のどっちがエッチかを考えて押し続けるっていう狂気は面白かったです。

というわけで、質問は何もない。皆さん、完璧に理解されたということですね。ありがとうございました、正直めちゃくちゃ面白かったです。

僕のほうも告知として、slothというのをやっているので、 皆さんよかったら買ってください。のぶめいさんのメルマガにも書いてあるので、ぜひ読んでください。

着せ替えができるようになったんですけど、着せ替えをするのにガス代が超かかって、めっちゃ悲しかったので、今ちょっとそこを改善しています。

結構面白いプロジェクトになりつつあるので、ぜひとも興味ある方は買ってください。じゃあ、のぶめいさん、お忙しい中ありがとうございました。

のぶめい:こちらこそありがとうございました。

けんすう:それでは皆さんありがとうございました、失礼します。


というわけで、のぶめいさんとの対談記事でした。

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