Web2.0で流行ったサービスをWeb3に転換するとしたらメモ その①
こんにちは!
アル社では、最近Web3推進部、というのを作って、僕がプロジェクトリーダーになりつつ、いろいろと調査したり実際に作るサービスを考えたり、技術について学んだりしているんですが・・・。
どんなサービスを作るのか、という時に考える一つのやり方として、Web2.0のサービスをWeb3化したらどうなるのか?というものがあったりします。
上記のサイトなどでまとまっていますが、それぞれちょっと詳しく見てみて「Web2.0で人気のサービスをWeb3にするときに、何が必要か?みたいなのを書いてみようかなと思います。
なお、この記事は「こうですよ!」という事実を伝えるというよりも「サービスを作ろうとしている人が、調べて、こうじゃないか?と思った思考の軌跡をまとめたもの」という種類のものなので、間違ってたり、解釈が全然違ったりする可能性があるのはご了承ください!
データ・ストレージ・ホスティング領域
Web2.0時代のデータのストレージやホスティング領域は、サーバではAWSのS3とかDropboxなどがあげられます。
Web2.0時代のポイントとしては、やはり「クラウド化」です。それより以前は、自分のファイルなら自宅のストレージに保存しておいたり、オンライン上だったら自社のサーバを用意したりする必要がありました。
それが、簡単にクラウド上、つまりインターネット上に保存できるようになったのがポイントです。自宅のストレージや自社でのサーバなどでは故障したりメンテナンスコストがかかったりしますが、クラウドだと月額でお金を払っていれば、そのあたりを考えなくてよくて楽、というメリットがありました。
では、Web3化するとどうでしょうか。すでにある具体的なサービスとしては「Filecoin」などがあります。プロトコルとしては「IPFS」を使っていますが、要は「P2P型の分散ストレージ」です。自分たちでは「The decentralized cloud」みたいな言い方をしていますね。
Filecoinは2017年にICOを実施し280億円を調達したプロジェクトであり、また、Y Combinator、a16z、セコイアなどが出資しています。Filecoinはかなり有望だと言われていますが、その理由としては、参加者のインセンティブが明確なことかなと。
Filecoinの参加者へのインセンティブは、「ネットワークに参加して、空いているストレージを共有してくれる人(=マイナー)にFIL(ファイルコイン)と呼ばれるトークンを付与する」という形になっています。つまり空き容量を貸してくれれば、報酬が手に入る、というシンプルな方法ですね。
実際に、正式版リリース時には、世界34ヶ国、400人を超えるマイナーが参加して、325PB(ペタバイト)のストレージが集まったそうです(以下のサイト参考)。
ただ、企業が個人が借りるとなると、結局は「コストのメリットがあるのかどうか?」「ユーザビリティがいいか?(データの出し入れのスピードが早いかどうか)」だと思っていて、そのあたりがP2Pだと解決するのか?というのはまだわかっていないところかな、という印象です。
P2Pで、自宅のマシーンの空き容量を貸し出せる、とかのコンセプトかなと思ってたんですが、オフラインになるとペナルティとかがあったりするので、実態としては「専用マシンが必要になるよね」という感じらしいです。
なので、ビットコインなどのマイニングと同じで、一部の業者とかが大量に貸し出すことでネットワーク全体が成り立つ形なのかなと。
だからいってしまえば「AWS S3やDropboxなどが一括でマシンを用意してストレージを提供する」VS「いろいろな業者がマシンをそれぞれ用意してP2Pでやるほうがいいのか」という形になりそうです。今時点では、前者のほうがコスト的に安くなりそうですが、将来的に「P2Pだからこそできるユースケース」や「P2Pだからこそコストが劇的に安くなる」とかが起こると、ぐっと広まるのかも知れない、と思いました。
音楽サービス
iTunesなどで音楽を買う時代→サブスク、という風になってから、一番の大きなインパクトは「音楽の発掘がアルゴリズムによってできるようになった」という点だと思っていて、そうすると「時間を超えた名曲の発見」とか「マスメディアを通じなくても好きなアーティストにたどり着ける」などが起こりました。
また、Web2.0らしさでいうと、SoundCloudのように、レーベルに所属していないアーティストも曲を発表できたりするようになりましたし、YouTubeやニコニコ動画で素晴らしい才能が発掘されることも増えました。
たとえば、音楽番組などで取り上げられないようなアーティストでもファンをつかめる可能性が出てきたりしたというのがあります。
Web2.0時代に人気を集めたサービスとしては「Spotify」、「SoundCloud」、そしてYouTube、TikTokなどです。
でしょう。んで、Web3時代は何が来ているかというと、Audiusというサービスが思い浮かびます。
Audiusは、ざっくりいうとSoundCloudのオルタナティブ(代替のサービス)といわれているように、SoundCloudの問題点などを解決するために、ブロックチェーンやトークンエコノミー、分散ファイルシステムなど、Web3でよく出てくるテクノロジーを活用した、音楽ストリーミングサービスです。独自通過である「AUDIO」というのを発行してたりします。
2021年の9月には、52億円の資金調達をしたことで話題になりました。同月には、MAUが600万人を超えているらしいです。
また、TIkTokとの連携もされています。
一般ユーザーの使い心地としては、曲を投稿したりすると$AUDIOというトークンがもらえたりする以外は、割と普通の音楽サービスみたいな感じなので、有名アーティストなどが入ってくれば来るほどうまくいきそうな予感です。アプリはこんな感じ。
Web3時代の音楽サービスの中で「SoundCloudをWeb3化する」という発想はすごく良かったと思います。創業者たちも自分たちで、SoundCloudをよりよい形にするよ、的なことをいっているので。
他にどういうのがあるかな・・・と思っているんですが、まだまだこの領域はありそうです。とはいえ、「サザンオールスターズを連れてきて、トークンエコノミーに巻き込む」みたいなアプローチはいまいちな気がしています。
むしろ、Web3時代の、新たなスターを生み出すか、インターネットカルチャーから生まれる人たちをターゲットにしたほうがいい気がします。たとえば、ボカロに特化したAudiusとか、日本発ではあるかもしれないですね。
ブログサービス
Web2.0時代のブログサービスの覇者は・・・。あれ、いない!?
Bloggerあたりから盛り上がったブログブームですが、「ブログ」という文化は定着したものの、強烈なプラットフォームが出来たり、一極集中にならなかったのがおもしろいです。あえていうならWordpress、Mediumあたりかもしれませんが・・・。
日本だとnoteの勢いがすごいですね。
で、Web3時代には何が来るのか、ですが、今のところ「Mirro」というサービスがあります。
私も記事をいくつか書いています。
投稿を見てもらうとわかるんですが、記事をNFTとして保有できる・・・みたいなのがあるらしいんですが、正直、あまり意味がないと思っています。記事、保有したいんだっけ?記事は読みたいものなので、NFTの今の主流である、所有感が感じられるとか、コミュニティへの参加権とかにはなりえないのではないかなと。
「HiÐΞ」という日本初のブログサービスもあります。
会社ページによると以下のようなコンセプトです。
図は 以下みたいな感じになっています。気合が入っててすごい。
noteの手数料はたしかにクリエイターからしてみると「高いな」と思うのは仕方ないんですが、逆にいうと、20%とったとしても、noteがめちゃくちゃ儲かるかというとそうではない気がします。
noteの書き心地や、サービスとしての優れている部分はやはりエンジニアリングやデザイン投資がされているからで、これを成り立たせるためには、そのくらい取らないと収支が全然合わないだろうなあ、、と思います。
あと、記事って基本的にあまりお金を払ってくれなくて・・・。無料で広告のほうがよいケースのほうが多いというのも事実だと思うんですね。多くの人が、投げ銭的に払おうという気持ちはあるんですが、500円とか投げ銭すると、すごい満足してしまうんです。
書き手にとっては全然足りない(割りに合わない)けど、払い手にとっては、かなり払っている、という感覚になってしまうという。なので、広告モデルと相性がいいのが記事モデルなわけです。
ブログサービスをWeb3化するとしたら、何がいいんだろう、、というのはまだ全然答えが見つかりませんでした。Mirrorがやっているように「クラウドファンディング的なもので、ライターが記事をかけるための資金を先にもらえる」みたいな形だといいのかもしれないですが・・・
うーん、まだまだ思考の壁がある感じで、答えが見つからないです。
というわけで
こちらはその②、その③と続きます。
「アル開発室」というマガジンをやっているんですが、そこで更新していきます。こんな感じで、月に20本くらい、記事を書いていこうと思っているので、ぜひとも読んでみてください!
では!
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