「プロセス・エコノミー」が来そうな予感です

「プロセス・エコノミー」が来そうな予感です

こんにちは!アルというマンガサービスを作っている、けんすうと申します。最近だと、作業中をライブ配信する「00:00 Studio(ふぉーぜろすたじお)」というサービスも作っています。

最近、「プロセス・エコノミー」という概念があるんじゃないか・・・と思っていたりします。

プロセス・エコノミーは完全に僕の造語なのですが、プロセス・エコノミーとは「プロセスを共有するところがお金を稼ぐメインとなる」みたいな形のイメージです。

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というわけで、来るかどうかはわからないですし、別に新しい用語を流行らせたいとかは全くないんですが、この言葉があることで、思考の幅が広がるかなと思ったので、ちょっと説明してみます。

アウトプット・エコノミーとは

まず、逆の概念を考えてみます。これを仮に「アウトプット・エコノミー」とします。

アウトプット・エコノミーは、「プロセスでは課金せずに、アウトプットで課金する」というものです。たとえば

- 音楽を作っているところではお金は稼がず、できた音楽を売る
- 映画を作っているところではお金は稼がず、できた映画を売る
- 料理を作っているところではお金は稼がず、できた料理を売る

などです。

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売り方は、お客さんから直接課金するケースもあれば、テレビのように広告モデルでも両方がありますが、どちらもアウトプットで稼いでいるという面では同じです。

このように、アウトプット・エコノミーとは、普通の人が考える、極めて一般的な商売です。

では、アウトプット・エコノミーでは何が大事でしょうか?それは、製品の品質や値段流通、マーケティングなどがポイントになります。要は、いいものを作って、安く提供して、適切に知ってもらい、適切に届ける、ということですね。

なので、みんな、いい製品を大量に作って、値段を手頃に抑えて、広告や口コミなどを通じて認知を広げ、流通などをしっかりと固めてちゃんと届ける、、、ということをやります。

もちろん、他にも細々としたいろいろな業務があると思いますが、重要ポイントとしてはこんな感じかなと。

アウトプットエコノミーで起きていること

そして、そのアウトプット・エコノミーで何が起きているかというと・・・。すべての水準が上がり続けているという状況です。品質もいいし、値段も手頃だし、流通もしっかりしててちゃんと届きます。

そして、品質があがりきった結果、差が少なくなっているという状況かなと。

たとえば、20年くらい前の飲食店って僕の記憶ではおいしくないところも結構あったんですね。なので、無難なチェーン店とかにいってたんですが、今はどの店に入っても外れないんです。

その理由は2つあると思っていて、、、

1つ目は、ネットを通じて飲食店の運営方法や、おいしい料理の作り方の情報が流通しまくって品質が上がっていることだと思います。品質をあげるための情報が手に入りやすくなっているのかなと。

ヨーヨーの世界チャンピオンのBLACKさんという方が友達なのですが、彼がいってたのは「YouTubeが普及してから、桁外れに世界中の子どもたちのレベルがあがった」ということです。

それ以前は、ヨーヨーを学ぼうと思っても、狭いコミュニティ内でしか知識の流通がないので、そこまでレベルがあがらなかった。しかし、YouTubeで、一気に世界レベルのテクニックを誰でも見れるようになって、ぐんと視座があがり、またスキルの流通もされた、ということです。

そんなこんなで、音楽でも、まだアマチュアの曲を聞いてもかなり高レベルだな・・・ということが増えましたし、Twitterでアマチュアの漫画家さんでもすごい画力だったりする、みたいなことが起きていて、アウトプットの質がどんどん向上しているというのがあります。

そして、もう1つは、口コミが広がるスピードの速さです。

たとえば飲食店なら、食べログなどのレビューサイトで、おいしくない店がすぐわかるようになって、ユーザーが避けるようになり、割と早めに淘汰されるのかなと。

これは他の分野でもそうで、変なことをする人やダメなプロダクトの口コミが広がりやすすぎて、「マーケティングなどや流通などをがんばっても、製品が悪いと淘汰される」ということが起きているんじゃないかと思っています。

というので、この2つがあるから、「だいたいどの分野でもクオリティが高くなっている」という感じになっているのではないかと。

ということで、ちょっとやそっとのクオリティでは、差別化が難しくになっているのが現状だと考えています。

その結果・・・、品質の高さによって、マーケティングや流通の差を逆転させる!みたいなことが起こりづらくなっているのかなと。

品質にそこまで差がないなら、マーケティングや流通、ブランディングにお金をかけられるほうが強くなります。結果として、格差が広がっているんじゃないかと思っています。

勝ち組のプロダクトはより勝っていき、そうでないプロダクトは、たとえ良いものでも、陽の光を浴びなくなっている、という感じになっている気がします。

また、消費者も、「基本的にどのプロダクトはいいから、何を選ぶのかはあまりこだわらない」というのも起きています。

プロセスがなぜ重要視されてきているか

そんな状況なので、プロセスが相対的に重要視されるようになっているのかなと。

なぜプロセスを見られるようになっているかというと、「アウトプット・エコノミーが一定の規模まで到達したことで、もう差別化するポイントがプロセスにしか無い」となったからなのかなと考えています。

たとえばファッション誌とかを観ると、最近のトレンドの一つは、サスティナブルです。

地球環境にいいもの、ちゃんとプロセスに気を配ったものが注目されています。安い労働力で、発展途上国の人を酷使して作られたものや、環境を破壊して作られた服などはみんな避けたいと思っているわけです。

服は、ファストファッションでも有名ブランドでも、どちらもかなりクオリティが高くなっているので、こだわりが少ない人にとっては差がでなくなっています。洋服のプロに聞いても「ユニクロの3980円のデニムと、リーバイスの1万円超えるデニム、質には差はない」といったりします。

なので、洋服を作るプロセスだったり、プロセスにおける物語だったりが、相対的に重要になっているのかなと。

というわけで、アウトプットの差がなくなったことで、価値を出すならプロセス、という感じになっているのではないかと。

プロセス・エコノミーとは

そして、プロセスに価値が増えていった先にあるのが、プロセス・エコノミーです。

プロセスに価値があるなら、プロセス自体でもう課金しちゃうほうがいいんじゃない?という感じです。

たとえば漫画家さんなら、マンガを売るというより、「マンガを描いている姿をライブ配信をして、そこで投げ銭をもらう」みたいなイメージです。

これと似たようなものは昔からあり、、、たとえば古くはASAYANという番組がありますし、最近だとNizi Projectですね。もちろん、ドキュメンタリーとか、映画のメイキングとかもプロセスを製品化している形としてあります。

プロセス・エコノミーとは、この形がより盛り上がるイメージです。

ただ、ASAYANやNizi Projectみたいな形は、「ドキュメンタリー自体をショーとして作っている」という性質があります。いってしまえば、「プロセスを、パッケージして、ちゃんとアウトプットしている」んですね。

しかし、インターネットとSNSの普及によって生まれるプロセス・エコノミーでは「単にプロセスを垂れ流ししているだけでも課金される」というのが可能なんじゃないかと思っています。

今、弊社で作っている、作業中のライブ配信サービスの「00:00 Studio」で、僕も毎朝、記事を書くのを配信しているんですが・・・。これだけでも喜んでくれる人が結構いるんですよね。

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なぜそういう形があり得るのかというと、「コミュニケーションはかなり強いコンテンツ」だからです。

高城剛さんが、昔「女子高生にとって最大のキラーコンテンツは彼氏からのメールである」と、メールが普及しはじめたころにいってて、極めて秀逸だなと思ったんですが、コミュニケーションって異常にコンテンツ力があるんです。

DeNAさんのPocochaとか、SHOWROOMとかのライブ配信サービスはまさにそれですね。画面の先に人がいて、リアルタイムでやり取りすることはすごい価値がある。PocochaがDeNA社において、ゲーム並の収益が期待されているのも納得です。

なので、単にライブ配信などで、リアルタイムにプロセスを見せているだけでもつながっている感を感じたり、そこでコメントしたら反応してくれるだけで、めちゃくちゃ嬉しかったりするのです。

なので、単にライブ配信などで、リアルタイムにプロセスを見せているだけでもつながっている感を感じたり、そこでコメントしたら反応してくれるだけで、めちゃくちゃ嬉しかったりするのです。

プロセス・エコノミーのメリット

プロセス・エコノミーの何がいいかという点は、主に3つあります。

1つ目はアウトプットを出す前からお金が入る可能性があるということです。たとえば1年かかる制作物をクリエーターが出す場合、1年間無報酬、みたいなことがありえるわけで、こうなるとまだ知名度がないクリエーターなどは大変な思いをしないといけなかったりします。

そして、アウトプットが売れるかどうかもわからない。1年かけて作ったけど、まったくお金が入らない、ということが起こり得るわけです。プロセスから課金できていると、1年かけて大きなチャレンジをする時に、それ自体を応援する人がいれば、生活が少し安定する、というのも可能なわけです。

今、うちの会社はビジネスモデルがろくにないので、お金を全然稼げていないんですね。じゃあどうするのか、というので「アル開発室」という、サービスづくりの裏側をお見せするコミュニティをやっているんですが、ここで月200万円くらい稼いでたりします。

プロセスからお金が稼げると、よりチャレンジングなことができたりします。前述のアル開発室は、年間に2500万円近くになるので、「短期的にお金を稼ごうとするより、中長期的な目線で経営ができる」というのができてたりします。

この事例で一番成功しているのは、キングコングの西野さんでして、西野さんのサロンは7万人以上がおり、1000円を払っています。となると、年間で8億円、西野さんはクリエーターとしての活動に使えるわけになります。8億円というと、西野さんが所属している吉本興業の当期純利益以上です。

そうすると、土地を買って美術館を建てよう、とか、5000万円を使って、MVを作ろう、などの、今まで個人ではできなかった規模のチャレンジができるようになるということです。

プロセスが応援されるには、チャレンジングなことをしたり、大きな目標に向かうほうがいいわけなので、生活のために無難なことをするよりも、見たことがないクリエイティブなことをしよう、みたいなモチベーションになるので、おもしろい作品が生まれる可能性があるかなと思っています。

2つ目としては「寂しさの解消」です。

クリエーターなどは、1人で作業をすることも多く、孤独感があります。漫画家さんやイラストレーターさんなどは特にそうです。なので、少しでも誰かとつながっているのを感じたいというのがあったりします。

プロセスを発信したり、ライブ配信をしたりすることで、少しでも見てもらったりコメントをしてもらえるだけで、そこがだいぶ和らいだりします。

このnoteを書いているときも「00:00 Studio」で配信していたのですが、

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こんな感じで応援してもらえたりします。

そして3つ目が、「長期的なファンを増やせるかも」というところです。

「最終的なアウトプットがだいたい同じなら、より感情移入しているほうが勝つ」というのがあります。なので、何か作品を出したときに、シェアしてくれたり、広げてくれたり、買ってくれたりする可能性も高くなります。

プロセスから知っているので、アウトプットされたコンテンツを一瞬で消費して忘れる、ということはなく、長期的に応援してくれる人になったりします。

CAMPFIREなどのクラウドファンディングなどをやる理由もここが強くあり、共犯関係を作ることが重要なのですね。

どんくらい来るの?

と、プロセス・エコノミーには可能性があるよ、と書きつつ、この形がどんくらい広がるかはまだまだ未知数です。

個人的には、従来のアウトプット・エコノミーのほうがはるかに大きい、という現状は変わらないと思っています。あくまで「アウトプット・エコノミー以外の選択肢ができて、ニッチな分野のビジネスモデルが一つできた」くらいだと思っています。

どう考えても「マンガを描いている姿を配信する姿で得られる収益」と「鬼滅の刃がバカ売れした場合の収益」だと、後者のほうが多いはずです。なので「これからビジネスモデルがガラっと変わりますよ!」みたいなことはなさそうです。

ただ、まだ売れていない新人作家さんとかが、「作品を販売しても食べていけないけど、プロセスも一緒に売ることで、支援されて、なんとかバイトをせずに暮らせる」みたいなのは可能かもしれないな、と。

イメージとしては、クリエーター活動をする人の間口が広がり、その人たちが初期に活動するときに、インターネットの力でよりやりやすくなっていく、という形で広がっていくのかなーと思っています。

お客さんの力でクリエーターを支えて、よりおもしろいものが出やすくしていく、というのは僕の中のテーマの一つなんですが、そういうのができる環境に、世の中がなっていっているのかなという印象です。

というわけで

プロセス・エコノミーという形があるんじゃないか・・・、という話を書いてみました。

なんとなくこういう流れが世間にありそうな気がしたので、言語化してみましたが、クラウドファンディング以外にも、これ系のサービスがポコポコと生まれそうな気がしているので、注目しています。

うちの会社でも、作業中を垂れ流しするライブ配信サービスなどを作っていたりするので、もしよければ使ってみてください。

ちなみに、この記事のイラストを書いてくれた、ことりさんも配信していただきました。様子を見たい方はこちらから見れます。

んではでは!

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けんすう

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インターネットでコミュニティサービスとかをよく作っています。今は「アル」というマンガサービスを作っています。