見出し画像

メディアに出るのは基本的には「弱者の戦略」だよ、という話

こんにちは!

最近、「本を売る」と「NFTや、そのシステムを売る」、そして「(出演費などで)なんとか売上を作る」という3つの理由で、メディアの露出が増えているんですが、メディアの露出が増えてくると、必ず出るのが

  •  たいしたことがないのになんで持ち上げられているんだ論

  • 調子にのっている論

  • 自己顕示欲が強い論

これらの反応なんです。

で、これ、実は結構ピントが外れているというか「実際はめちゃくちゃ逆」でして、、

ただ、たしかに「メディアに出るタイプの仕事をしていない人にはよくわからない」からこうなるんだろうなあ、というのもすごくわかります。

このあたり、実際の現場感とはかなり乖離していると思うので、そのあたりを言語化して説明すると「なるほどなー!」と思うこともあるかなと思うので、書いてみます!

まあ興味本位的に読んでください!

メディアに出る人の種別

まず、混合しやすいのが「芸能人とか、お笑いとか、アイドルとか、メディアに出るのが仕事の人」と「ゲスト的に呼ばれる人」というのとでは、まったく職種が違うということです。

芸能人とか、お笑いの人は「メディアにでるのが仕事」なので、うまくいっている = メディアに出ている、となるんですね。その人がメディアにでると、数字がよくなる、とか、すごくよいコンテンツを作ってくれる、などの実力があるから呼ばれるんです。

それは言い換えると「実力があるから仕事がうまくいき、だからこそメディアに呼ばれる」という感じなんですね。

一方で、たとえば僕みたいに「経営者をやっています」とか「仕事の宣伝のために出ています」みたいな人は全く別の扱いです。

これらは、メインコンテンツというより「メインコンテンツを補強するための専門家枠」だったり「他の人が話せない情報を出す側」なんで、テレビに出ている = 仕事がうまくいっている」ではないのです。もちろん、実力で呼ばれているわけではありません。

つまり、芸能人の人と比較すると

芸能人・・・仕事がうまくいっているとメディアにでる
それ以外・・・仕事がうまくいっているかとメディア出演は連動しない

なのです。

仕事がうまくいっている人はメディアにでない

んで、、、普通に思い浮かべて欲しいんですが、「芸能人以外で、仕事がめちゃくちゃうまくいっている人はメディアにでるか?」というところです。

孫正義さんも、楽天の三木谷さんもユニクロの柳井さんも、、、あまり見ないですよね。もちろん、記者会見で説明責任がある、とか社会的影響が強い、とかの場合にニュースで見ることはあっても、基本的にはレアだと思うんです。

なぜかというと、シンプルに仕事がうまくいっていると「メディアにでる必要がない」んですね。ソフトバンクの携帯は社長がメディアにでなくてもいいわけですし、楽天も、そんなことに時間を使うよりももっといい方法があるわけです。

メディアに出るのは、工数が多くかかる割に、リターンが限定的なんですね。その割に、リスクは悪目立ちするリスクがそこそこあるので、「経営者とかであれば、なるべく出ないほうが合理的」なんです。

なんで、メディアに出る経営者とか、専門家がいた場合に、考えるべきは「何かの目的があって出ているな」であり、だいたいのケース、それは「うまくいっていない仕事や、伸びていないサービスをドライブする目的として出る」だったりします。

むしろ「弱者の戦い方の一つ」がメディア露出なんですね。しかも、メディア煮出してもらえるのは、ほぼ期間限定なんです。

当たり前ですが、しゃべりのプロでもない、見た目がいいわけでもない素人が新鮮さで出してもらえるのは、非常に短い期間でしかない。たまたま一時期出れる、というドーピングとしての威力しかありません。

仕事に直接関係なさそうなメディアに出ること

さらに、メディアの難しいところが「自分たちが出たいものだけに出る」とか「自分たちが宣伝したいものを宣伝できるものだけに出る」とかが難しいんです。ある程度、番組に協力をしたり、相手にGiveをしていかないと、呼ばれたりはしない。

このあたりは、普通のビジネスと同じで、持ちつ持たれつなんですね。この関係性を無視して、「自分たちの得のためだけに出る」みたいなことをやっていると、当然避けられるのです。

だから「◯◯みたいなメディアに出ているけど、自社のサービスの宣伝に全然ならないのでは?あの人は、自己顕示欲が強くて、表に出たいから出ているだけだ」みたいに思う人もいるんですが、だいたいのケース、「自分たちの宣伝だけを選んで出るほどの力がないから、力関係的にいろいろなところで徳を積む必要があるから」くらいの理由だったりします。

このあたりも、売れている芸能人とかとは全く違う、「弱い立場だけど宣伝のためになんとかメディアを活用したい」人が取らざるを得ないやり方なんです。

勘違いするケース

もちろん、「テレビに出まくっていると、自分が芸能人だと勘違いして、仕事がうまくいっているような気がする」と勘違いするタイプの人もいますし、「むしろ、芸能人にシフトをして、仕事の軸をそっちにする」というタイプもいます。

ただ、前者の人は、思った以上に持たないという感じがあります。「芸能人を見れた!うれしい!」みたいなのとか、「芸能人と友達になれた!自分もなんか特別な人間になれたぞ」みたいなので嬉しいのはおそらく一瞬で、そのあとは単なる仕事の上のつながりだったり、日常の延長になってしまうので、そのテンションを続けるのは難しいのかなと。

さらに、先程も書いたように、実力がある芸能人なわけではないので、すぐに飽きられてメディアに出れなくなるので、調子にのって芸能人ぽい振る舞いをしても、すぐにメディアから避けられるようになります。

むしろ芸能人にシフトする、というのは、たとえば林修先生とかがそうだと思うんですが、あれはもう「実力があって、トークがおもしろくできて、芸能界にポジションがあった」という稀なパターンです。ああいうタイプは、だいたいにおいて天性の才能があったり、ものすごい努力をしているので、むしろジョブチェンジのチャンスを掴めてすごいなあ、という感じですね。

というわけで

というわけで、メディアに出る量が増えたときに「調子にのっている!」「なんであんなやつを持ち上げるんだ!」とか言われても、ほとんどピンとこないのが

  • 調子にのる要素がない。仕事がうまくいっていないから、メディアにでてなんとかうまくいかせたい、という感じなので、メディアにでなくていい経営者のほうがはるかに羨ましい。むしろ、いろいろがんばらないといけない状態なのが情けない

くらいの気持ちになるからですし、

  • 持ち上げられているなら嬉しいけど、実際は持ち上げられていない。芸能人とかとは違って、数字が取れる人物なのではないので、メディアが求めるコンテンツを出す仕事をしている、という感じ。業務委託のライターさんの仕事とほぼ同じ

という感じだからです。

「芸能人と近づけたり、ちやほやされるからいいんじゃないか?」と思う人もいるんですが、うまくいっている経営者とかは芸能人と飲み会とかしたりして楽しんでたり、会社がうまくいっているからちやほやされたり、CMなどで発注したりしてメディアと仲良くしたりできているので、「演者として出演している一現場の人」よりもはるかに良い体験をしている気がしますね・・・。

有名な方が来る飲み会、とかにたまーーに呼ばれていっても「◯◯なんですね!すごい!知っている!」という人はちやほやされますが、僕とかがいっても「誰?」となりますし、多くの場合「Xが得意な人です」と紹介されるので、悲しいんです。

早く会社とかサービスが有名になるようにがんばらなければ、となりますね。


という感じなんですが、これは、おそらく多くの芸能人じゃないけどテレビ出ている人達がこういう感じなんじゃないかなあ、と思いますし、話してみるとだいたい同じような感覚を持っています。

なので、むしろ叩く場合には「仕事がうまくいっていないから出ているんだろ」とか「弱者が取らざるを得ない手段をやる時点で経営の才能なさすぎだなw」とかのほうが的を射た反応じゃないかなーと思いました。

繰り返しになりますが「芸能人など、メディアにでるのが仕事の人」と「そうでない、たとえば経営者とか」だと、全く目的も、呼ばれる理由も違うので、そこを混合しないだけでも、わかりやすいかなーと思います!

ここから先は

0字
けんすうの視点でわかりやすくまとめた記事が毎月20本ぐらい読めます。ビジネス書1冊ぐらいの金額で様々な話題をキャッチアップできて便利です!

アル開発室

¥980 / 月

【全記事読み放題】クリエイターエコノミーの事業に挑戦しているアル社の裏側を知れるマガジンです。代表けんすうが、やっている事業の裏側やリリー…

サポートされたお金はすべて、クリエイター支援のための会社運営に使われます!