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日本発でグローバルにウケるコンテンツは「余白」が大事かも?という話

こんにちは!

最近、「marimo」というNFTを発売したのですが、1万個用意したところ、数分で完売して驚いちゃいました。

多くのNFTと違い、「初心者向けであり」「値段の上昇や転売などを目的とせず」「じっくりと育てて楽しむ」というコンセプトなのですが、買いづらいことがないようにたくさん用意したのに全部売れてびっくりしています。

ちなみに、今「OpenSea」などの二次販売サイトで、ほぼ定価で買えるので、ほしいという方はこちらからお願いします。NFTなので、二次販売で買っても、同じ用に本家サイトである「marimo.life」で遊べます(不思議!)。

https://opensea.io/collection/marimo-life

で、なんでこのmarimoがよかったのかというと・・・。日本人にあった「余白」があるからなのかなと思いました。

marimoについて詳しく知りたい方は以下をお願いします。

余白とは?

韓国のコンテンツは2010年代から大躍進して、グローバルコンテンツになったのはみなさんご存知の通りですが、おそらく日本もグローバルに展開できるポテンシャルはある国です。今後、アニメや漫画、ゲームはもちろんのこと、VtuberやNFTなどをはじめとして、日本のコンテンツがグローバルに広がるのは間違いないと思います。

最近読んでいる「コンテンツ・ボーダレス」という本はまさにそういう内容が書かれているんですが、その中で、以下のような箇所がありました。

私が思うに「コンテンツ」というものは、どの国のものにもそれぞれ個性があり、歴史があります。そのため、コンテンツを作るうえで最も大事なのは、自分らしいアイデンティティーを持つことです。

(中略)

私は日本のコンテンツには「余白の美しさ」があると思っています。それは日本の伝統文化から継承されている素敵なもので、その余白の美しさから伝わる品格、そして居心地のよさがあることにいつも感動します。

(中略)

「日本のコンテンツはこれからどうすればいいと思いますか?」ある番組に出演したとき、こんな質問を受けたことがあります。デジタルが進むなかで、コンテンツ・ボーダーレスの時代となり、グローバルコンテンツが日本にもたくさん入ってきています。だからこそ世界のいろんなコンテンツと比較されてしまい、今は混乱しやすいのかもしれません。しかし、日本のコンテンツには無限の可能性があります。近年の韓国コンテンツが急速に成長していることと同じく、日本のコンテンツにも世界の人々を熱狂させる力があるのです。

日本の勝ち筋としてのコンテンツとはなにか?という点は単純に説明できるようなものではありません。海外でウケているコンテンツといってもスプラトゥーンとチェンソーマンとおぼっちゃまくんでは全然違います。

しかし「余白」というのは一つのキーワードになると思っています。

余白とは何か?を考える

最近読んだ「にほん的」という本の中に、「余」と章があるのですが、まさに余白について書かれていました。そこで得た知識をちょっとだけ抜粋します。

たとえば、余白は日本美術などでも好まれています。有名な松林図屏風などは、背景が完全に省略されています。

松林図屏風(長谷川等伯)

こういう中国から水墨画が日本に入ってきて日本的な展開がはじまっているといわれているそうです。

中国の時代からも「近景と遠景を描いて、中景を省略する」という感じだったらしいんですが、日本だと「中景の省略は徹底する」らしいんですね。

葛飾北斎の神奈川沖浪裏とかを見ても、近くの波と遠くの富士山しかありません。

神奈川沖浪裏(葛飾北斎)

本書ではもっといろいろな実例や説明があるんですが、その中でも「日本人が余白を好むのは、『夏をむねとすべし』というのが発想の原点ではないか」ということが書かれています。

要は、日本は夏は蒸し暑いので、ごちゃごちゃっとしたものをすっきり見せて、暑苦しさを取り除こうとしたのではないか、ということです。

そして、日本的な感覚としてよく使われる「いき」とは、「すっきりと涼しげであること」であり、反対の言葉の「野暮」は「べたべたして暑苦しいこと」を意味しているらしいです。

同じように「多い」ということは「暑苦しい」につながるから嫌われるのではないか・・・的なことが書かれていました。ひらがなとかカタカナが出現したのも、漢字ばかりだと暑苦しいから、というのがあるんじゃないかとも書かれています。

これらのものに明確な根拠があるのかどうかは正直誰にもわからないと思うんですが、日本人的な感覚的でいうと「わかる」と思いました。

たとえばデザインでみても割とすっきりとしたものとか、涼しげなものを好む傾向にあります。無印とかユニクロがグローバルで受けるのは、こういうシンプルなものだからよいのかもしれません。

また、説明しすぎなものは暑苦しい、というのもわかります。「みなまで言うな」という感覚とか、「以心伝心」みたいなのも、そこから来るのかもしれません。

というので余白っておもしろいなあ、と思いました。

さようならの語源

ちょっと脱線しますが、最近読んだサイトで「さようなら」という言葉は世界的に見ても珍しい、というのを知りました。別れの挨拶は以下のように分類できるらしいんですが

(1)『神のご加護を』タイプ

英語の「Good bye(グッドバイ)」、スペイン語の「Adios(アディオス)」、フランス語の「 adieu(アデュー)」など

(2)『また会いましょう』タイプ

英語の「See you again(シーユーアゲイン)」、中国語の「再见(ザイジィェン)」など

(3)『お元気で』タイプ

英語の「Farewell(フェアウェル)」、朝鮮語の「안녕히계세요(アンニョンヒケセヨ)」など

「さようなら」の本当の意味!語源はお別れじゃない!?

日本は「左様なら(それだったら)」みたいな意味で、接続詞なんですね。

さらにアン・モロー リンドバーグの『翼よ、北に』という本の中には以下のような記述があるらしいです。

「サヨナラ」を文字どおりに訳すと、「そうならなければならないなら」という意味だという。これまでに耳にした別れの言葉のうちで、このようにうつくしい言葉をわたしは知らない。

Auf Wiedersehen や Au revoir や Till we meet again のように、別れの痛みを再会の希望によって紛らそうという試みを「サヨナラ」はしない。目をしばたたいて涙を健気に抑えて告げる Farewell のように、別離の苦い味わいを避けてもいない。

Farewell は父親の別れの言葉だ。「息子よ、世の中に出て行き、しっかりやるんだぞ」という励ましであり、戒めであり、希望、また信頼の表現なのだ。しかし Farewell はその瞬間自体のもつ意味を見落としている。別れそのものについては何も語っていない。その瞬間の感情は隠され、ごくわずかのことしか表現されていない。

一方、Good-by(神があなたとともにありたもうように)と Adios は多くを語りすぎている。距離に橋を架けるといおうか、むしろ距離を否定している。Good-by は祈りだ。高らかな叫びだ。「行かないで!とても耐えられないわ!でもあなたは一人じゃないのよ。神さまが見守っていてくださるわ。いっしょにいてくださるわ。神さまの御手が必ずあなたとともにあるでしょう」。その言葉のかげには、ひそやかな、「わたしもよ。わたしもあなたといっしょにいますからね。あなたを見守っているのよ-いつも」というささやきが隠されている-。それは、母親のわが子への別れの言葉だ。

けれども「サヨナラ」は言いすぎもしなければ、言い足りなくもない。それは事実をあるがままに受けいれている。人生の理解のすべてがその四音のうちにこもっている。ひそかにくすぶっているものを含めて、すべての感情がそのうちに埋み火のようにこもっているが、それ自体は何も語らない。言葉にしない Good-by であり、心をこめて手を握る暖かさなのだ-「サヨナラ」は。

「さようなら」の意味と日本語の美しさ。それは子どもとの関わり叱りかたのヒントにもなる

神の御加護がありますように!とかとかまた会いましょう!とかならわかるんですが「それだったら、、、」みたいなのが別れの挨拶というのはなんとなく余韻や余白があって好きです。

これも「みなまで言うな」という感覚があるのかもしれません。さようなら、と今はあまり言わないかもしれませんが「じゃ・・・」とかも近い使い方ですし、「じゃあ、また」とかも「じゃあまた(会いましょう)」という、会いましょう部分を省略してたりするので同じですよね

余白設計

というので、余白が大事だよね、という話だったんですが、marimoもかなり余白を意識しています。

NFTといえば、めちゃくちゃかっこよくデザインされたものだったり、ストーリーが重厚でキャラ設定があるものだったりしますが、なんかちょっと「いじり甲斐がないな」と思ってしまうんですよね。

その意味で、二次創作が盛んな「VeryLongAnimals」とかがNFTだとおもしろいなというのはそれなんです。「顔の長いドット絵の動物」というのだけだと、すごいいじれるのですよね。日本的。

marimoは、クリエイティブ部分に関してはいじるところがないですが(まりもだし)、なんとなく日々大きくなっていく、というのをじっくりと楽しむだけです。

ただそれだけでも、Twitterのコミュニティはそれなりに盛り上がっています。まりもの大きさについて話したり、お互いに褒め合ったりとか・・・。

なんにもならないものだからこそ、価値を感じやすい、楽しい、というのはあるのかなーと思っています。

というわけで

日本から海外にいくときに、何がいいのか?というとやはりコンテンツであろう、というのはありますし、そのコンテンツは、テクノロジーを使うことでグローバルで広がるものではないかと思っています。

NFTはその一つの可能性として面白いなーと思っているので、もうちょっといろいろいじって楽しんでみようかなと思っています。

では!

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