エンジェル投資家への連絡方法マニュアル
こんにちは!
今日は、「エンジェル投資家に連絡をするときに、こういう要素があるといいよ」的なものを書きます。
なんでお前が書くの?
僕は個人でエンジェル投資などもやっています。50社くらいやっているのかな?主な投資先はホロライブのcover社、Mirattiv社、バルクオム社、ワンメディア、YOUTRUST、ミツモア、とかです。
こう、正直にいうと、エンジェル投資をたくさんやってみて「投資に向いているな」と思ったことはなく、むしろ相当向いていないほうだな・・・という自覚はあるんですが、とにかくやってはいるんです。
で、そのためか、いろいろな「投資してください」的な連絡をいただくことが多く、なるべく返してたんですが、最近読んだ本で「あなたのことを大事に思ってくれない連絡に関しては返信をしないほうがいい。もっと大事なことがある」的なものを読んで、たしかになあ、と思ったので、返さないメッセージも出てきました。
とはいえ、まだ経験が少ない起業家の方にとっては、「こんな感じで連絡するといいんだな」というのを単に知らないだけ、というケースも多いと思うので、ちょっとまとめてみます。
ダメな例
まず「これはスルーしちゃうな・・・」という例をいくつか書きます。
1: 情報がない
1つ目は情報がないパターンです。
こんにちは!弊社ではNFTの事業をやっており、エンジェル投資家の方を探しています!ぜひとも一度、直接お話させていただけないでしょうか!よろしくおねがいします!
情報がほとんどない、というケースです。これだともう「判断できないよね」だし、会って話をするのは、前後の移動時間とかを考えると、結構な負担になるので、ホイホイと受けれないんですね。
昔は、一応「事業計画書とか動いているサービスのURLがあればください!」といってたんですが、経験上、ちゃんとした資料が出てくることが少なく・・・。「思いつきのメモ」くらいのものが多くて、検討する以前の状態だったりします。
2: 自分じゃなくてもよさそう
2つ目は、自分じゃなくてもよさそうなものです。
古川様
はじめまして、私、株式会社ABCの山田と申します。弊社では、佐渡金山にある金を採掘をするためのドリルのエンジンを作っている会社です。
佐渡金山には〜(以下、市場の有望性が書いてある)。
事業計画書は以下になります。バリュエーションは○億円で、3000万集めたいと思っています。
よろしくおねがいします。
僕が全然知らない業界だったり、興味がないものの事業案だったりするケースです。
言い換えると「単にお金を集めたいから、やたらめったら送っているんだろうな」感です。もしこれだったら、せめて嘘でも、「長年、インターネットでコミュニティをやっていらっしゃる古川様だからこそ、佐渡金山を掘る際の作業員のコミュニティ形成などのアドバイスがいただけるのではないかと思い、お声がけさせていただきました」などがあると違うと思うんですが、それがないとスルーしちゃいます。
僕が投資する時には、やはり「どれだけ経験や知見がお役に立てるのか」観点が大事であり、それがないと、単にお金を出すだけの人なので、「じゃあもっといい人がいるのでは」と思っちゃうんですよね。
3:なんかふざけている
ヤッホー!けんすうちゃん!僕は、web3の新しいコミュニケーションサービスを作っているセクシー島田ダヨ!
やっぱり人類!みな兄弟!ということでコミュニケーションって大事だよね!だからお金ちょーだい!
信じられないかもしれないですが、たまに、目立とうとしたり、気を引こうとして変なテンションだったり、ふざけて書いているケースもあります。
これ、知らない人から送られると単に「なんだこれ・・・」となるだけなので、意味がないんですね。同じく
なんか生意気な言葉使い
なぜか「投資されてやってもいいですよ」みたいな態度である
みたいなのもあります。
聞いてみると「そういうメッセージが多いと思うから、目立とうと思った」とかなんですが・・・。漫画の読みすぎですね。
生意気な態度を取るからこそかわいがられる、とか、そういうのは当然なくはないんですが、奇策中の奇策です。また、ほとんどの人が、そんな奇策使いこなせません。思った通りの効果を出せる人、ほぼ見たことがないです。
単にやばい人と認識されて終わるので、ちゃんとしたメッセージを送ったほうがいいです。
どういうメッセージがいいか
じゃあ、どういうメッセージがいいかというと、シンプルです。
けんすう様
はじめまして、株式会社○○の山田と申します。
私たちは「web3領域で、NFTを軸としたコミュニケーションサービス」事業を提供しています。
けんすう様に、エンジェル投資をしていただけないかと思い、ご連絡いたしました。
# 事業内容
NFTをベースにした、プロジェクト運営者とNFTホルダーとのコミュニケーションを軸としたサービスを提供する
# 課題と解決法
プロジェクト運営者は、NFTを販売したあとののち、ホルダーとのコミュニケーションはDiscordがベースになっていますが、ヘビーユーザー以外はほぼ使われないという問題を抱えています。NFTを持っている人だけに連絡をしたいのにできずに、ホルダーとの関係が希薄化してしまい、プロジェクト自体が停滞するという課題を感じているプロジェクトも多くします。
そこで、NFTホルダーに対して、NFT販売するだけで気軽に連絡できるサービスを提供することで、解決したいと思っています。
# why now(なぜ今なのか)
NFTの国内ユーザーはまだ1万人ほどと言われておりますが、これから拡大していきます。またDiscordなどに馴染みのない初心者もこれから入ってくる段階です。そして、プロジェクトに使ってもらえば、ホルダーにも使ってもらうことになるので、NFTにはじめてふれる人のファーストタッチを取りやすい、良いタイミングだと思っています。
# why you(なぜ自分なのか)
私自身、NFTを2019年から積極的に触っており、自身でも、プロジェクトを提供したり、多くのプロジェクトに参画したりしていました。
そこで、ホルダーとのコミュニケーションを行っていましたが、不を感じる事が多くありました。NFTプロジェクトから見て、ほしいサービスがわかるという点と、コミュニケーションで何が実際に行われているのか、というところに対して、国内随一の経験と知見があるため、私ならばこの課題を解決できると考えています。
# チーム編成
CEO : 山田
→2017年にGREEに入社し、ゲーム事業のプロデューサーを経験。そのあと、REALITY株式会社にて、ライブ配信事業の○○を担当。
CTO:島村
→2015年から、DeNAにてエンジニアを経験。
# 調達イメージ
シリーズ:シードラウンド
調達金額:5000万円
希望金額:1000万円
ご出資の際の最低チケット:500万円
# 現在の株主とお声がけ予定の投資家
## 既存
ホゲホゲベンチャーズ
もぐもぐパートナーズ
## 本ラウンドでのお声がけの投資家
にこにこキャピタル
田中太郎さん(元○○)
佐藤健一さん(○○社長)
# 資料
## プレゼン資料
ここにURL
## 事業計画書
ここにURL
## 資本制作表
ここにURL
こんな感じで、「一通のメッセージで、だいたい全部がわかる」という状態です。
資料だけペロッと貼り付けられるときもあるんですが、資料を開くのってそれなりにカロリーが必要です(35kcalくらい使う)。
なので、最初はテキストで読ませて、興味を持ったあたりに「もっとちゃんと読むならこっちね」みたいな感じにするといいのかなと。
知りたいところは
何をやるのか
どう考えてどうやろうと思っているのか
誰なのか
あたりです。
あとは、信頼関係がない中で、どうやらしくなく信頼してもらうのか、が大事なので「GREE出身です」とか「東京大学の学生です」とか「起業家の○○さんの元で2年修行していました」書いてあると、なんとなく安心だったりします。
(有名企業出身だったり、有名大学だといいよ、という話ではないのでご注意ください)。
注意点
これは微妙な注意点なんですが、結構多いのが
メンタルをやってしまって、2年ほど休職しており
みたいに、ご自身の病気のことだったり、体調のことだったり、「子供が2人いて」とか「介護をしている親がいて」みたいなことを書く人が結構な割合でいます。
これ、気にする人と気にしない人がいるんですが、気にする人がいる以上、別に書いて不利になる可能性があることは書かなくてもいいかなと。
というのも投資していると、「メンタル的にやられて会社が止まる」というのはよくあったりするので、「そういう人に投資すると大変だな」と思っている層は結構いたりします。「差別するな!」という声も聞こえてきそうですが、投資する、しないは自由なので、しょうがないです。
なので、わざわざ言わなくていいんじゃないかなあ、と。「正直に書かないといけない」とか「もしもまたメンタルをやったときに、受け入れてくれほしい」などがあったりするそうですが、なんにせよ、最初の段階でうまくいかないと、次につながらないので、聞かれていないことをわざわざ書く必要はないです。
嘘をつけといっているわけじゃないです。知らない人とやり取りするのに、最初から不必要な情報を入れると、濁るので、「最初に必要な情報だけいれてください」ということですね。
というわけで
エンジェル投資家に連絡するときの方法について書いてみました。
何かの参考になれば・・・。
では!
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