未来の自分を他人だと思うから、ダイエットや勉強がうまくいかないという話
こんにちは!
実は『THINK FUTURE 「未来」から逆算する生き方』という本の序文を書かせていただいております。
その序文がありがたいことに大変好評なようでして・・・。特別に許可をいただき、ここでも公開させていただくことになりました。
是非とも読んでみてください!
序文は序文で、本書を読む前に読むもので、このブログを読んでいる人向けに、どういう内容か?を身も蓋もなく話すと「未来の自分って他人だと思っちゃうよねー、だからうまくいかないよね」ということとかが書いてあります。
この「未来の自分は他人だと思ってしまう」ということを知っているだけで、人生の攻略法がかなり変わっちゃうんですね。
たとえば「来年の仕事」は今の自分にとってダメージがなく、まるで他人がやるかのような感覚があるからホイホイ受けちゃいます。「今からやる仕事」はすごい嫌な気持ちがする(自分がやるから)けど、未来の仕事は「他人がやる」という感覚なわけです。
一方で、「ダイエットや勉強」は未来のためのものですが、未来の自分は他人なので、他人のために自分が嫌な思いをするのと同じようなものです。だから、うまくいかない。サボってしまう。今の快楽を優先しちゃったりするわけです。
なので未来の自分を他人だと思わないために、たとえば「アプリを使って、未来の自分の姿を写真にしてみる」とか「未来の自分に手紙を書いてみる」とかがいいよねー、みたいな話です。
まあ、このあたりも以下に記載する序文を読んでみてください!
ちなみに本に合わせて珍しく、口調がである調だったりもします。そのあたりも含めて楽しんでください!
「未来の自分」と仲よくなる
海外の本を翻訳したものにはときどき、このような「読みどころ」みたいなものが入るときがある。読者としては、「読んでも読まなくてもいいもの」としてとらえる人もいれば、「本は最初から読みたいから、一応読む」という人がいる程度のものだ。
だから、このあたりで「あ、この文章は必要ないな、さっさと結論に飛んでほしい」と思っているかもしれない。しかし、この文章は今回に限っては価値のあるものになるかもしれないのだ。なので、少しだけおつき合いいただきたい。
価値があるものになるといっても、これは私の書く文章が優れているからでも、本の解説が上手だからでもない。この本をすでに読み終わっている私にとっては、どんな価値を提供すればいいのかわかっているからというだけだ。まるで、手品ショーの観客の中で、1人だけマジックのタネを知っているようなものである。
それは何か? 結論から言うと「読み終わった後の姿を想像させてあげるだけで、読者がこの本を読み終えようと思えるようにできる」である。というのも、今あなたは「この本を読み終わった後の自分」を想像できていないはずだ。まるで「他人」のように感じているはずである。
あなたは今から、この本を全部読んで理解する、というそれなりに労力がかかる行動をとることになる。中には、ビジネス書の大量の文章を読むのがまったく苦ではない読者もいらっしゃるだろうが、多くの人にとっては、これは知的なトレーニングのようなもので、簡単なことではない。
読み終わった後の未来の自分を想像できないから、今、この瞬間の感情に左右されやすいはずだ。たとえば「眠い」「お腹すいた」「ゲームしたい」「面倒くさい」などである。よほど意志が強い人でもないかぎり、多少の努力なしでは読みきれないはずである。
しかし、本書を読み終えた後では、意志の強さや努力にかかわらず、なりたい自分になるための非常に強力な武器を手に入れることになる。完璧とまでは言わないまでも、語学学習、ダイエット、健康や美容のための運動などができるようになるかもしれない。その姿をまずは鮮明に想像してほしい。その姿を想像すればするほど、本書を読み進めることができるようになる。
どんな本なのか
さて、さらにこの本を楽に読めるようになるために、もう少し解説したいと思う。なぜ他の類書と違うのか、そしてどこが優れているのだろうか?
この本の趣旨を身も蓋(ふた)もなく言うと「将来なりたい自分になるための方法を書いた本」となる。
これだけ聞くと「よくある自己啓発本か」と興味をなくすかもしれない。おそらく、本を手に取った時点で、あなたはよく自己啓発本を読んでいるだろうから、同じようなテーマは見飽きているかもしれない。
では、もうひと言つけ加えてみよう。それは「未来の自分を具体的にイメージすることによって」だ。
これでも多くの読者は「そんなものはよく聞く」と思うかもしれない。数多くの本で「より具体的になりたい姿を想像することで、あなたはそのイメージに近づけますよ」と教えてくれるからだ。
たとえば「ベンツが欲しいのですか? では、ベンツに実際に乗ってみて、より鮮明なイメージを持ちましょう」といったものだったり「お金持ちになりたいのですか? では、高級なホテルに行き、1杯2000円のコーヒーを飲んで、成功者の生活をイメージしてみましょう」といったものだ。
ありきたりな方法に見えるかもしれないが、この方法は極めてパワフルである。
私はやりたいことが見つからない、と悩んでいる読者に向けて『物語思考』(幻冬舎)という本を執筆したことがある。
内容についてごく簡単に説明すると「何をしたいのか、よりも、将来どうなりたいのかを考えて、その解像度をなるべく高くし、そのなりたい状態に近いキャラを設定し、それを演じることで行動を変えて、なりたい状態に近づく」といったものだ。
この『物語思考』の中でも前述の方法を勧めている。いかに、なりたい姿を鮮明に想像できるのか? は、なりたい姿になるためにもっとも大事なことの1つであるとすら考えている。
実際、私も大学受験時に、入りたい大学の在籍者のふりをして、インターネット上でさまざまな受験生にアドバイスをしたり、合格体験記を大量に読んだ後に自分で書いてみたり、実際に自分で大学に出向いて大学生のふりをして歩いたりするなどの行動をとっていた。
なので、この「なりたい状態の解像度を上げていく」という点については心から賛成なのだが、この本を読むまで、1つの重要な観点が抜けていたことに気づいた。
それは「その未来の姿が、自分と連続した存在であり、赤の他人ではなくて、自分だと思えるのか」である。
未来のことなど気にしても仕方ない?
正確に言うと、本書の中に「未来の自分は、ある程度は赤の他人である」のような表現が出てくるように、未来の自分はやはり他人のようなものである。しかし、まったく関係性がない赤の他人であるか、非常に親密な存在であるかで、自分の行動が変わると本書では主張している。
たとえば「未来の自分を他人だと感じ、なおかつ利己的に行動する傾向があるのなら、未来の自分の利益などおもんぱかれるはずもない」と書いてある。
わかりやすく言えば、未来の自分を他人だと思っていたら「ケーキやラーメンを夜中に食べても、それは(他人のように感じる)未来の自分が困るだけだ」となってしまう。つまりは、自分に害があることも平気で実行できてしまうわけだ。
逆に、遠い未来の自分に親しみを感じる人は、大事にするはずである。自分自身だと思えなかったとしても、自分と親しい人間だと感じるなら、その人が困るようなことはしないからだ。実際に、未来の自分とのつながりを感じている人ほど、貯蓄額が多く、経済的に豊かであることが判明した、と本書には書いてある。
「今の自分」に左右されるな
さらに重要なことに、「今この瞬間に抱いている感情こそが、過去の感情や未来に起こるであろう感情よりも重要」ということも書いてある。
わかりやすい例として、旅行前のパッキングの話が書いてある。今、寒いと感じていたとすれば、旅行先で着る予定のない上着などをつい入れてしまう、ということだ。私も、夏に冬服を見ると「こんな暑い服、必要ない」と思ってつい冬服を処分してしまうし、冬には夏服をいらないものとして捨ててしまうことがよくある。これもすべて、現在の感情で考えてしまっているからだ。
また、別の例として「遠い未来の予定に、重いものを入れてしまう」というのもある。たとえば私は先日「1冊の本を読んで、その解説を5000文字で書く」という仕事の依頼を引き受けたのだが、これを明日までにやってくれ、と言われたら確実に断っていた。
しかし、締め切りが1カ月後だったため、未来の自分の感情を考えずに引き受けてしまったのだ。そして今、締め切り当日に本を読み、泣きながら深夜に5000文字の原稿を書く羽目になっている。
人間は、未来の自分が経験する感情を理解できないのだ。
さらに遠い未来になると、自分が何を重要視するかも変わる、という話が本書で出てくる。今大好きなアーティストがいて、そのアーティストのライブならいくら払っても行きたい、と思っていても10年後には興味がなくなっているかもしれない。理屈ではわかっていても、自分の今の感情は現在進行形の「生(なま)のもの」なので、なかなかそうは思えないのだ。
未来の自分とのつながりを強化する
ここまでの話をまとめると、大事なことは、
・未来の自分を鮮明に想像し、自分だと思う、または親しみを感じる対象であると認知することは大事である
・人は、現在の自分の感情は、未来の感情よりも大事なものとして扱ってしまう
ということだ。
未来の自分とのつながりが強ければ強いほど親近感を感じ、倫理的な行動をとる傾向があるということらしい。一方で、現在の感情には引っ張られてしまうので、ここを解決することが、なりたい自分になるための重要なポイントであるわけだ。
もちろん、本書では、それを解決するための具体的な方法がいくつも紹介されている。上記で挙げたような、未来の自分を具体的にイメージすることから、未来の自分に手紙やメールを書くことも推奨されている。自分の顔写真を老化させるアプリを使って、未来の自分をよりリアルにイメージすることも紹介されている。
将来の自分と定期的に対話をする時間を設けるという提案もある。未来の自分はどのような回答をするか? をくり返すことで、より身近に未来の自分を感じることができるようになるのだ。
考えてほしいこと
この本を勇んで読もうとする前に、1つだけ試してみてもらいたいことがある。
それは、この本を読み終わった後の自分にメールを書いてみることだ。材料は、この序文のものだけを使って、「こんな内容ではないか」というのを想像して送ってしまえばいい。
そうすると、まず「未来の自分との距離が近くなり、親密に感じられる」という体験ができる。さらに、この本を読んだ後の自分の姿を想像することになり、未来の自分の解像度が上がる。本の方向性をある程度わかった上で読み進められるので、理解度も上がるはずだ。私が本書を読んでいちばんに感じたことは、「自分の未来と、親密になろうという発想がいっさいなかった」ということだ。
将来こうなりたい、という状態があったり、その状態を想像できる人は多いと思う。しかし、その未来の自分と、親密な家族や友だちのような感覚を持てている人はどれくらいいるだろうか。おそらく、ほとんどの人が考えたこともないのではないか。未来の自分は、当たり前のように今の未来の自分とつながっているものだ、と感じるのが普通である。
しかし、本書を読んで振り返ってみると、「1年後の自分」すら他人のような距離が感じられ、その人物がどんなに苦労しようが、嫌な目にあおうが、今の自分とはまったく関係ないような感覚があることに驚く。
そんな距離感では、今の自分が未来のために行動ができるはずないのだ。まったく知らない他人のために、今の自分の喜びを捨て置き、苦しんでまで行動をするというのは本当に難しいことだからである。
まるで他人のような未来の自分と親密になるためには、多くの行動とメンテナンスが必要になる。他人と親密になるためには、何度も会話をしたり、食事をしたり、遊んだりしないといけないのと同じように、未来の自分とも、頻繁にコミュニケーションをしなければ仲よくはなれないのだ。
また、一度仲よくなったからといって、しばらくやりとりをしていなかったら疎遠になってしまうように、未来の自分との関係性も、常にメンテナンスが必要なものなのだ。
本を読み終わった自分に向けてメールを打つという行動は、未来の自分と仲よくなるための最初の一歩であり、今後も長く続けられる手法の1つだろう。本書を読み終わった後に、別の本を読むときにも使えるテクニックのはずだ。
10年後の自分にメールを打つのは気恥ずかしかったり、腰が重くなってしまうという人でも、本を読み終わった後の自分にメールを送ることは、比較的ハードルが低いはずである。本書を読み進める前に、ぜひとも一度、試してみてほしい。
たった数行でもかまわない。人間関係のきっかけは、劇的な出会いであることのほうが少なく、ほとんどが大したことがない始まりだったりするのだから。
という感じです!めっちゃよい本なので是非とも読んでみてくださいね!
ちなみに本文もちょっと公開されているようなので、こちらから少し読めます。
では!
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