ベリロンナイト with けんすうさん ~コミュニティ運営の秘訣とは~(前編)

こんにちは!今日は、2022年11月18日(金)に開催した、ベリロンさんとのコミュニティについてのトークの書き起こしになります!

Akimさん、ふぇねさんとお話しました。

音声はこちら。


Akim氏(以下、Akim):よろしくお願いします。

けんすう氏(以下、けんすう):よろしくお願いします。というわけで、早速始めますか。

ふぇね氏(司会): 始めていきましょう、ベリロンナイト!今回は、けんすうさんをゲストにお迎えして「コミュニティ運営の秘訣」について対談していただきます。

コメントや質問も結構いただいていますので、どんどん答えていきたいと思います。

けんすう:皆さん、質問ありがとうございます。助かりますね。

Akim:やっぱり、NFTと言えばコミュニティが紐づきがちなんで、僕のフォロワーさんとかもみんな気になってるんじゃないですかね。

けんすう:そうですね。

インターネットは元々オープンなもの

けんすう:いただいた質問に答えていくと、まず1つ目にWANIさんという方から、「コミュニティに運営が存在する場合に、どこまでのコミュニケーションを運営内でクローズで行うべきか」みたいな質問がありました。

Akim:これは正直、僕たち自身もいつも悩むところではありますね。これは、基本オープンがいいよ、みたいな話でしたよね?

けんすう:そうですね。僕はオープンにするのをおすすめしています。

会社でも結構あるんですが、SlackとかDiscordで話す時に、昔ながらの大手企業とかだと、めちゃくちゃ権限の領域を分けるんですよね。

ベンチャーの場合だと、逆に全部オープンにした方がいいよね。みたいな、メルカリさんとかもそういう方針でやっていますよね。

Akim:「DM禁止」みたいなのはよく聞きますよね。できるだけやっちゃダメだよみたいな。

けんすう:人事情報と給与の話以外は、全部オープンを基本とするみたいな。

どちらが正しいというわけではないと思うんですが、NFTに関して言うと、みんな結構、コミュニティに参加したいと思って来ているので、知らないところで話されていると、結構冷めるかなと思っています。

Akim:うんうん。

けんすう:いろんなコミュニティサイトで、廃れる原因になるのが、オフ会をやりすぎて情報格差が出たり、運営がこっそり裏でチャットツールとかでやり取りして、全然情報がわからないまま何かが決まっていくとか……。

最悪なのが、運営がクローズドな場所でこういう話してたよっていうのが外に漏れたりするケース。
 
そういうのがあると、もう本当にぐっと熱量が下がるので、オープンにするのがいいと思っています。

Akimさんはどう思いますか?

Akim:ありがとうございます。オープンにするというか、話し合う場があるといいと思います。

逆に聞きたいんですが、エンタメ系のコミュニティの場合、サプライズというか、「いきなりこういうのが出ました!」みたいなのがおもしろい、というパターンもあるじゃないですか。

けんすう:はいはい。ドーンとね。

Akim:そういう場合は、どうしたらいいのかなと思うことはありますね。

全部オープンでやりすぎちゃうと、情報を得られすぎるが故に全部知っている(驚きがない)、みたいなパターンもあると思って。

けんすう:そのコミュニティで何をしたいか次第ですかね。

新しい発表を待って、みんなでワーって盛り上がるみたいなコミュニティであれば、そういう形であればそれでいいと思います。

一緒に運営をやってこうみたいなところなら、お客さん扱いせずにオープンにやるのがいいという感じですね。

Akim:うん。

けんすう:NFTコミュニティだと、そこが絶妙で……ホルダーさんをお客さんとして見なすか、一緒にやっていくメンバーとして見なすかによりますね。どちらかに統一されていればいい気はします。

Akim:そうですね。NFTだと両方ありますね。海外では、CLONE Xだと、いきなり情報が来ることをみんな喜んでたりとか。「うわぁ!エアドロ来た!」みたいな。

けんすう:はいはい!

Akim:何が来るんだろう?みたいなことも含めて楽しんでるんじゃないかなと。

多分、あれは事前にDiscordとかでも言ってないんじゃないかな。あんまり詳しくはないんですけど、NIKEの社内にRTFKTっていうのがあって、そこでしっかり話し合ってから出してるのかなと思います。

Nounsとかは別にそういうのやっていないと思う。パターンによるのかな。

けんすう:うん、うん。そうですね。

「お客さんとして楽しませたい」なのか「参加してるから楽しい」をやらせたいのか、その2つによって変わる。というのが、答えな気がしました。

Akim:おっしゃる通りですね。

ベリロンで言うと、最初はつまらないやり取りばかりをSlackでしてたんですけど、途中から「こういう企画やっちゃおうか」みたいな話も出てきはじめたので、もっとオープンにした方がいいのかなと思っていました。すごく参考になりました。

なんか、「それ知らなかった」みたいな話が出てきてしまっていて、ちょっと反省もあったので……そういう話もDiscrodでやっていく方が良さそうかなと思いました。

ちなみに、marimoだとどうしてるんですか?

けんすう:marimoだとTwitterとかに書いちゃってます。

うちの会社自体がそういう方針を取っていて、開発途中だろうとリリース前だろうとガンガン情報を出しちゃうっていう。

それをプロセスエコノミーとも呼んでたりしますが、それは大手企業にはなかなかできないことだと思います。

Akim:そうですね。

けんすう:驚かせたり、ドーンとやろうと思ったら、リソースをかけないと難しいので。

それはそれで、クオリティ高く楽しませるやり方としてはいいと思うんですけど、我々は弱者なので、弱者の戦い方をしようということで、めっちゃオープンにやってますね。

Akim:なるほど。最初の企画段階は数人で話して、ちょっとモノができたら出すみたいな感じですか?

けんすう:そうですね。めちゃくちゃアイデアの段階で出したりすることも、もちろんあります。

Akim:はいはい。

けんすう:あまりタブーを作らずにどんどん出すのが基本ですね。

Akim:なるほど。アイデアが出る場所はちょっとクローズなところで、出たらすぐオープンの場所に持ってくみたいな。

けんすう:もう、アイデア会議そのものを配信する、とかまでやっていたこともありましたね。定例会議を配信するとか(笑)

Akim:なるほどですね(笑)

コミュニティにおいては、「この指標を追いかけよう」とか「その数字を伸ばしたい」みたいなものがあると思うんですが、それもそのまま公開するのか、隠しておくのかだとどうですか?

けんすう:従業員の給料とか、本当に誰かが困っちゃうもの以外は、全然言ってしまってアリだと思ってますね。

Akim:はいはい。おもしろいですね。

けんすう:多分、僕が元々、コミュニティサイトをやって、その運営をみんなでやる、というスタイルでやっていたから、その感覚が強いんだと思いますね。会社に入る前からそっちで活動してたので。

Akim:web3.0で大事だと言われてることを結構前からやってらっしゃったみたいな。

けんすう:そうですね。特に19、20歳ぐらいで掲示板を運営していた時は、会社組織でもなかったですし、ユーザーさんと一緒にやってました。

「プログラムかけます」っていう人には、開発を手伝ってもらったり、「ボランティアやります」っていう人に手伝ってもらったり。

そういうことを2000年ぐらいの時にやっていて、そのやり方が僕のベースになってるので「隠す」っていうのがよくわからないというか。

Akim:なるほどですね。

けんすう:当時は、Gmailもないしメッセンジャーもほとんど発達してないので、個人同士でやり取りするにしても掲示板上でやるよね、みたいな。

Akim:あー、いわゆるWeb1.0みたいな時のインターネットって、そういうツールしかなかったわけですね。web3.0はオープン、というよりもインターネットは元々オープンだよね、みたいな。

けんすう:そうですね。

Akim:いや、おもしろいです。なるほど、じゃあ、Facebookとかが出てきちゃったから、クローズコミュニケーションが増えていただけで、結構インターネットとしては最初からそんな感じだったんですね。

けんすう:最初はそうかもしれないですね。まだ、まともな企業もあんまりなかったし。
 

コミュニティマネージャーは「公園を掃除する人」

けんすう:じゃあ、次の質問に行ってみますか。

Akim:はい、お願いします。すいません、なんか進行もお任せしちゃって(笑)

けんすう:いえいえ、大丈夫です(笑)

「コミュニティ運営マネージャーは、これから5年で最も必要とされる新しい職種になると信じているのですが、この職種の募集をするときの必要条件と、この職種の人が使いたいと思うツールの要件定義を教えてください。」

Akim:難しいですね……なかなか(笑)。

けんすう:そうですね。コミュニティマネージャーにとって何が必要か?っていうのと、そういう人が使いたいと思うツールってなんですか?っていう話だと理解したんですけれども。

Akim:ツールはちょっと難しいですけど、コミュニティマネージャーはどういう人か、ですよね。

けんすう:はい。Akimさんは、どういう人だと思いますか?

Akim:これも答えるのが難しいんですけど、「そのコミュニティのことをすごく考えながらも、一歩引いて見れる人」がいいのかなと思っています。

けんすう:うーん、はいはい。

Akim:コミュニティを公園に例えるとしたら、そこで一緒に遊びすぎちゃうと、マネージャーではなくなってしまう。

ふぇねくんに日本のコミュニティを任せてるんで、その話もよくするんですけど、「公園を見る人であって、遊ぶ人じゃないよ」みたいな。距離を置く必要がある時には置けるかどうか……それも大事なのかなとは思いますね。

けんすう:ああ、なるほど。いい答えですね、素晴らしい。

公園の例えで言うと、僕はコニュニティマネージャーを「公園を掃除する人」という言い方をしていて、公園で一番偉いのは遊んでる人で、掃除する人は一番偉くない人だと思っています。

Akim:うん、うん。

けんすう:コミュニティにおいては、結構そこが暴走するパターンが多いです。

コミュニティマネージャーをやると、すごい権力を持った気持ちになって、コントロールしようとする、というのが危険なので……最下層の気持ちでいてもらわないと危ない。

Akim:うん、うん、うん。

けんすう:あと、例えば(投稿の)削除とかに関しても「削除しないことがコミュニティマネージャーの仕事」だと思っているんですが、多くの人がきちんと削除しようとしちゃうんですよね。不適切な投稿を消すとか。

Akim:はいはい。

けんすう:ギリギリまでコミュニティに手を入れないっていうのが大事なんだと思っています。

Akim:大事ですね。なんか、すぐ「BAN(禁止・停止)しようぜ」みたいな話になる人が多いんじゃないかな。

けんすう:そうですね。

Akim:「俺の成し遂げたいコミュニティの姿からしたら、こいつはいらないんだ。」みたいな話になっちゃうのが人の性なのかなと思うんです。

そう思うんですけど、そっちの方向に行っちゃうと、つまんなくなっちゃうっていうか……言語化が難しいんですけど。

けんすう:本当にそう。昔やってたコミュニティサイトだと、周りのメンバーが「これBANしてください。」って言った時に、いかに庇えるかがコミュニティマネージャー側の仕事ですよ、と言ってました。

なので、僕が言っても全然BANされないっていう状態にしてました。

Akim:うん、うん。

けんすう:さらに、BANする時間をめちゃくちゃ細かくしてました。

3時間、5時間、12時間、24時間、3日……みたいな形で、10段階ぐらいで段々、BAN期間が長くなっていく。最終的に1ヶ月BANになって、本格的なBANになる、そのぐらいまで細分化してやってましたね。

Akim:はいはい。

けんすう:一発でBANしたがるのが危険なので、そういう権力が暴走しない仕組みが必要かなと思います。

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