けんすう
自分への反対意見があったほうが、自分へ賛成する人が増える理由

自分への反対意見があったほうが、自分へ賛成する人が増える理由

けんすう

こんにちは!

よく「2割くらいの人があなたのことを好きで、6割はどうでもいいと思っていて、2割は嫌い」みたいなことを耳にしたりします。

そうだよなあ、と思いつつ、人間、人から嫌われるのは怖いので、2割の人の意見とかを聞くと、落ち込んだりしちゃいます。

なので、なるべく嫌われないように言動を気をつけたりすることはみんなやっていると思うんですが・・・。最近「ソーシャルメディア・プリズム」という本を読んで、「自分に対してのアンチとかはいたほうが、むしろ自分を支持する人が強くなるのでは」ということを思ったのです。

それについて今日は書きます!

結論

忙しい人のための結論を書くと以下の3行です。

  1. エコーチェンバーから出ると人は自分の意見を強化する

  2. つまり、反対意見を見ると、より強く自分の意見を正しいと思う

  3. 自分に対してのアンチはいたほうが自分への支持は強くなるのでは?

です。

これを何かに実践するとしたら

  • 自分の意見と反対意見をRTすると、自分の意見への支持が集まるかも

  • 自分のアンチの投稿をRTすると、自分のファンが増えるかも

などが考えられました。

では、詳しい説明は以下からです。

エコーチェーンバーとは?

まずエコーチェンバーとは何か・・・というところから説明します。

これはSNSなどのソーシャルメディアを使うときに、「類は友を呼ぶ」ことによって自分の意見が強化される現象のことです。

なぜそうなるかというと・・・。SNSは自分の興味がある人やトピックスだけをフォローするわけです。そして、フォローしてくる人も、自分に興味がある人になります。

そうすると、お互いに興味関心が似ている人同士がつながるわけです。なので、SNSで意見を投稿すると似た意見が返ってくるわけですね。閉じた部屋で音が反響するかのようです。

これによって、近い意見しか見ないようになるので、思想や意見がより増長していく、というわけです。

たとえば、僕の価値観は、山猫総合研究所さんのテストによるとリベラルらしいです。

あなたはリベラルです。この象限に当てはまる人は、ライフスタイルに関する個人の選択の自由を尊重し、多様性と少数者の権利を信じています。社会正義のための国家による介入には肯定的で、格差是正や少数者の権利保護のために積極的な国家の役割を期待します。成長への関心は二次的で、資本主義の行き過ぎを是正する最適な政治経済体制を望む傾向にあります。自由を信じている一方で、社会的な価値観は収斂すべきだとみなす傾向にあります。

また、外交安保ではリアリズムです。外交安保リアリズムとは、憲法改正や日米同盟強化、自衛隊の役割拡大などに賛同する立場であり、現実主義に基づいて一定の軍備を必要とする考え方です。

こんな感じ。

以下のサイトでテストできます。

で、TwitterとかFacebookでは、みんなが割と僕と似たような意見だったりするんです。リベラルの人が多い。

なので、これが普通だと思ってしまいそうになりますが、当たり前ですが、全く普通ではありません。

たとえば、夫婦別姓については、僕の周りの"多く"が、夫婦別姓について賛成している人が多いんですが・・・。調査によると「夫婦同姓の制度を維持した方がよい」が27%「夫婦同姓を維持したうえで旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」が42%だったりします。

夫婦が希望すれば結婚前の姓を名乗れる「選択的夫婦別姓」をめぐり、内閣府の世論調査で「夫婦同姓の制度を維持した方がよい」が27%「夫婦同姓を維持したうえで旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」が42%「選択的夫婦別姓の制度を導入した方がよい」が29%でした。

自分の意見と同じ人ばかりが周りにいるんで、夫婦別姓への賛成意見度合いはどんどんと高まるわけです。

と、このように、エコーチェンバー現象によって、自分の意見が普通だと思い、特に疑いもなく日々その意見を強化してしまっている、というのがSNSの問題としてよく言われます。

「エコーチェンバーが起こりやすいので、分断が起こる」という批判から、「多種多様な意見を見せるようにしないと、どんどん過激になる、だからSNSのプラットフォームは、より多様な意見を出すようにアルゴリズムを調整するべきだ」と言われることもあります。

僕も実はそう思っていたんですが・・・。最近読んだ「ソーシャルメディア・プリズム」という本を読んだら、そうでもなさそうなんです。

エコーチェンバーから出るとどうなるか

このソーシャルメディア・プリズムの中では、Twitterのボットを使って対立の意見に触れてもらうという実験について書いてあります。

これは、アメリカの、民主党派と共和党派に、報酬を払って、相手方のメッセージをリツイートするボットをフォローしてもらい、前後で意見が変わるのかどうか?という調査です。

もちろん、意見を変えることだと悟られないようにしたり、ボットを無視しないように、ちゃんと見ているかどうかのチェック機構をいれたり、といろいろな工夫をして、ノイズが入らないように注意をしながら、ですが、そのあたりここでは省略します。

この実験では、被験者はエコーチェンバーから出て自分とは違う意見を目にするわけなので、より穏健になるのではないか・・・と思われたんですが、実際は穏健にはならず、むしろ逆だったんです。

たとえば、共和党の人は、この調査の前よりも、際立って保守的な意見を表明するようになります。そして、ボットにより注目してる人ほど、より保守派になったらしいです。

要は「反対側の見解にふれることで、参加者は穏健にならず、むしろ今までの意見が強化された」のです。

本書では、バックファイアー効果というものを説明として出しています。たとえば、「ワクチンが自閉症を引き起こす」と信じている人に対して、説得を試みようとすると、むしろいっそう心配になる、というのがあったりするんだとか。つまり、新たな情報に接触させると、むしろ裏目にでる、というものです。

今回の実験では、簡単にいうと「自分のエコーチェンバーから出た環境になると、自分のアイデンティティが攻撃されているように感じて、防衛的に自分の意見を強化する」ということなのかなと。そして、これはより過激ない意見を見ると、より自分の意見を強くするんだとか。

たとえば、夫婦別姓賛成の人が「夫婦別姓なんてとんでもない。家族の形を壊す。これに賛成している人は日本を破壊しようとしている売国奴だ」みたいな強い言い方をされると「ああ、そうか、夫婦別姓は良くないのかなあ」と思うことはなく、むしろ自分の意見を強化するわけです。

当然、逆に、夫婦別姓反対派は「こんな制度はたいした歴史がなく、伝統でもなんでもない。夫婦が別姓だと家族が壊れるなんて思う人は、頭が悪い」みたいなのを見て「夫婦別姓のほうがいいかもな」と思うようにはならないわけです。

僕もなんとなく「エコーチェンバーは意見が偏るから、どんどんと外の情報に触れないといけない」とか思っていましたが、実際は、自分の意見が強化されるだけかもしれない、というのを知れて面白かったです。

アンチの意見を目にさせたほうがいい

というのを考えると、自分のアンチとか、強い反対意見などは、うまく使うと、自分側の人の意見を強化する要因にできるともいえます。

たとえば、キングコングの西野さんという人は、強烈なファンも多ければ、アンチも多い人なんですが、一時期、ずっとアンチの投稿をRTしてたんですね。

なんでそんなことするんだろう?バカなのかな?と思ってたんですが、ここまでの話を踏まえると、むしろファンは「アンチの意見を目にしているからこそ、強烈なファンになっている」という可能性はありそうです。強烈なアンチがいるからこそ、ファンたちが、自分のアイデンティティを否定されたと思って、強固なファンになっていく、というわけです。

なので、RTをしていくという作業は、合理的だったわけです。

ちなみに今見たら、Twitterに全然アンチ西野がいなくなっていたので、もう人気は終わってしまったのかもしれません。

というので、自分のアンチの意見があったら、積極的に自分の意見の支持者や、自分のファンとかに見せていく、という手法はありえそうです。

まあこのあたり、個人的にはテクニックとしてやりすぎるのはあまりよいとは思わないんですが・・・。「反対意見やアンチを見ると落ち込む」という人は「そういう人がいたほうがファンが強くなっている!」ということで変換することで元気が出るかもしれないので、ちょっと考え方として覚えておくといいかもしれません。

というわけで

アンチとか、反対意見などはあったほうがむしろいいよね、という考え方ができるなーと思ったので紹介しました。

SNSもでてからまだ20年もたっていないものですが、様々なデータがとれるようになったので、いろいろな人類の習性とかが見えて面白いなーと思っています。

というわけで、ソーシャルメディア・プリズムおもしろかったので、興味ある方はぜひ!

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