「熱狂を作らないスタートアップ」とメタ認知について

この前、 Facebook で友達が熱狂を作らない系スタイルという話をしていました。

友達限定だったので詳しく書けないんですが、、内容としてはものすごい僕が考えていること、実践していることに近くてびっくりしました。

僕も結構「熱狂を作るよりも、良い方法がありそう」と感じるタイプなのです。その理由などについて書きたいと思います。

なんで熱狂を作るの?

そもそも、なぜスタートアップなどは熱狂を作るのか、、ということから説明します。

ものすごくシンプルにいうと、そのほうがパワーが出るからですね。

普通の組織の場合、ゴールがあったとしても、いろいろなことが気になってしまい、ゴールに向かうパワーは100%にはなりません。

気になることがあるとパワーが分散する

普通、人間生きていると「組織がうまくいっていないな」とか「あの人の勤務態度が気になるな」とかいろいろなことに目が向いちゃいます。もちろんプライベートも大事だし、明日出るゲームの新作も重要なわけです。

少ない人数でやっている場合、このロスが結構痛手となります。リソースが100しかない場合に、ゴール以外に50%使われると、50しか残らなくなるので。

なので、熱狂を創って、ゴールに100%に近い力を集めると合理的です。

熱狂があるとパワーが集まる

これはめちゃくちゃ単純化した説明ですが、熱狂してしまえば、あらゆる粗は気にならなくなり、"些細なこと"について気にしている人は組織的に論外、となり、ものすごいパワーがでます。

チームの些細な問題は無視しちゃえるし、プライベートのこともどうでもよくなる。とにかくテンションがあがり、それに集中してしまう、という感じですね。

大企業で1000のリソースがあるのに、80しかゴールに迎えていないけど、スタートアップで、100のリソースが100使えていると勝てる、みたいなことが起こったりします。

というので、熱狂を使ってパワーを集中させる、というのが大事だよ、と言われるのはこういうイメージです。

定常的に熱狂を求めると危険では

チームではこの熱狂をうまく使う必要があります。サービスをリリースする前のお祭り騒ぎだったり、細かいところは無視して、とにかくやらないといけないことをやったりとか、大なり小なりこの熱狂が必要になります。

熱狂があると、1ヶ月かかるのを3日で終わらせてしまう、みたいなことが起こったりします。

しかし・・・。個人的にこれはあくまで、強烈な栄養ドリンクみたいなものだと思っていて。

たまにこういうカンフル剤を使ってやるのはいいと思うのですが、熱狂が定常になると結構危険だと思っています。

たとえば、熱狂した状態だとあらゆる粗が気にならなくなるので、大事なものを無視したりします。

よくある例としては

  • ユーザーの個人情報やセキュリティがおざなりになる

  • システムの健全性が失われる

  • 組織の状態、人の状態に無頓着になる

とかですね。

みんなテンション高いんだけど、働きすぎで身体を壊したり、明らかに危険なシステムの状態でも、無視して新規開発に進んだり、ということが起こったりします。

1年のうちに、1ヶ月くらいそういう時期があるのは健全だと思いますが、ずっとはちょっと危険すぎます。

メタ認知が大事だよね

そして、冒頭のFacebookで書いてた友達もいってたんですが、僕は、会社のメンバーは、常に冷静にメタ認知をするほうが良いと思っています。

メタ認知とは「自分が認知していることを客観的な目線で認知すること」みたいなイメージです。「自分は今、こういうふうに感じているな」とか「今、テンションが上がっているのはこういう理由だからだな」とかを把握することというか。

僕、今の世界の状況を考えると、とにかくメタ認知力を高く持っておいたほうがいいと思っています。

なぜかというと・・・。SNSなどの普及によって、我々の脳は、常にハックされようとしているからです。

○○が悪い!○○は許せない!と怒りの感情を引き出されたり、あなたはもっときれいになるべき、承認されるべき、と思わされたりとか、もうとにかくいろいろな感情が刺激されています。「感情の刺激による反射」によって行動を引き出されてしまっているとも言えます。

悲しいニュースも、怖いニュースも、ある意味ではそれです。たとえ殺人率が劇的に下がっており、歴史上もっとも安全で平和な状態ともいえる現代日本でも、悲しいニュースなどがガンガン報道されますし、それによって不安がかきたてられます。

将来についての不安やキャリアに対しての不安がない、という人のほうが少数派なんじゃないでしょうか。

多くの企業やメディア、インフルエンサーが、感情をハックできる刺激を与えてきて、あなたのアクションを引き起こし、それによって利益を得ようとしている中では、メタ認知力がとにかく重要になってくると思っています。

なので、会社においても、熱狂にあまり頼らずに、メタ認知力が高い状態で仕事するほうが、そのメンバーにとってもいいんじゃないかなと思っています。

僕が1on1とかするときは

  • 会社の利益としてはこう、あなたの人生の利益としてはこうでは

  • 会社の利益を無視すると、あなたはこうする選択肢があり、こういう利益がありえる

みたいなスタンスで話します。会社の社長としては会社の利益を第一に考えて発言するべきという観点もありますし、そういう方向になるように誘導したり、思考を植え付けることも可能だと思うんですが、そういうのをやっちゃうと、メタ認知力が下がります。

メタ認知力が高い人が多い会社のほうがこれからずっと冷静に事業ができるんじゃないかなと思っていますし、その人の人生にとってもいいのかなあ、と思っています。

というわけで

メタ認知力が大事だよという話しでした。

以前からのマスメディアなどによって感情ハックはされてたと思うんですが、この10年くらいのSNSとアルゴリズムによって、科学的に刺激を与えられ続けている気がします。

さらに、頭のいい人たちも数字を見ながら試行錯誤できる時代なので・・・。みんなすごく感情を操ってくるわけですね。

「蛇を見たらびっくりする」みたいな、人間の反射神経を刺激されるので反射を抑えること自体は難しいんですが、それを客観的に認知することはできるかなーと思っているので、気をつけましょう、という話でした。

では!

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