アテンションからエンゲージメントの時代へ
こんにちは!
今日、とあるプラットフォーム企業の社長さんとランチをしたのですが、そこで「アテンションからエンゲージメントの時代になっているよねえ」という話が出ました。
これは僕が再三、ここでも言っていることなので、その通り!と盛り上がったのですが、改めて整理のために書いてみようかなと思います。
アテンションの時代
SNSの時代が本格化してから、アテンションエコノミーと呼ばれたりすることがよくありました。
アテンションの時代とはなんぞや、というと・・・、、いわゆるSNSでいいねがつきやすかったりするネタや、過激なネタ、人の感情を刺激するネタが注目を浴びて、かつお金につながるよねという考え方です。
これはSNSだけでなく、色々な要素が組み合わさっています。
数値化でわかるようになったこと
一つは「数値化」ですね。新聞の時代は「この記事がどのくらい人気だったか」みたいなものがあまり見えなかったんです。なので、誌面全体で価値を担保していました。誌面前提で考えるものだから、一面には重要なニュース、政治や社会、スポーツなど、バランスよく構成をして、読者に必要な情報を考えてまとめようという意図が働きます。
もちろん、営利企業なので、利益を上げないといけないというのはありつつ「社会欄はいらないよね」みたいなまでの過激な施策はされませんでした。そういうのをやって、バランスが悪くなると、新聞にとってもよくないよね、となるからです。
しかしインターネットだと「この記事が3400pvだった」などがわかってしまいます。もっというと「3400pvだから、950円の広告売り上げです」とかまでわかってしまう。とすると「この記事は、12602円のコストをかけて、60230pvで、25204円の広告売り上げでした」とかまで計算できてしまうこともあります。
そうすると・・・。「コストが安く、売り上げが大きい記事を効率的に増やそうね」とどうしてもなってしまいます。さすがに、全ての記事をそうしよう、とはならないんですが、どうしても意識はしてしまう。
これがまず、アテンションの時代を加速させた一つの要素です。
個別化で起こったこと
個別化というのも起こりました。新聞時代は、一社の新聞しか読めないので、ざっと全部に目を通す、というのをやってた人が多かったのですが、今は完全に1記事単位でみます。
というか多くの人が「この媒体の記事を読むぞ」とはせずに、SNSとかで話題になっている記事から飛んだりしているわけです。
さっき見た記事が、どの媒体だったのか?というのは意識することは少なくなってしまいます。僕も「あれは毎日新聞だったか、東京新聞だったか」とかはもうわかりません。
これと、さっきの記事単位で数字がわかる、というのが組み合わさると、より「なんとかして目をひく記事を作らないといけない」という方向に働きます。
感情の刺激で数字が変わる
さらに、SNSでシェアをされると数字が伸びるという現象が起こります。
となるとですね・・・。「感情を刺激して、シェアされやすくした方がいい」となります。例えば「一言言いたくなるニュース」とかは最高ですね。
悲しい事件や、怒りを沸き起こらせるニュース、ツッコみたくなるニュースなどが人気になります。
新聞時代は、誌面の端っこにのる、あくまで単発の面白ニュースだったのが、媒体の中でもっとも売り上げを上げてくれるすごく数字を稼いでくれるエース記事になってしまったりします。
エンゲージメントの時代
このアテンションの勝負が起こり続けたのがこの10年から15年くらいだったのですが、ようやく風向きが変わりつつあります。
エンゲージメントの方が重要だよねという感じになっています。なぜそうなっているかというと、SNSが普及しきった上にAIが出てきて、コンテンツ制作コストがどんどん下がった結果、アテンション系のコンテンツが山ほど出ているからです。
なので、相対的に、エンゲージメントを上げるコンテンツしか生き残らなくなっています。
例えば、僕はPodcastをこっそりやっているんですが、この時に気にしているのが「どのくらいの人数が聞いてくれているか」よりも「どのくらいが全部再生して、次も聞いてくれたか」などです。
例えば、一つの番組が話題になって伸びることよりも、全部の放送をずっと聞いてくれる方がいいわけです。これがエンゲージメントですね。
こうなってくるとビジネスモデルも変わります。例えば、オードリーのANNのように、話題になるわけではないものの、イベントに来てくれる人の数が多い、みたいなことが起こると、広告以外の収益を得ることができます。
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