ベリロンから学ぶ「意味があるから、意味がない」が求められる時代の空気感
こんにちは!けんすうです。
今日のアル開発室では「機能から意味へ」という時代の流れが、ちょっと変わって来ていて、「意味があるものから、意味がないものへ移行しているのでは?」ということを書きたいと思います。
機能から意味へ
2019年くらいに流行った概念として「役に立つことよりも、意味があるほうに価値が移りつつある」というものがあります。
少し長いですが、以下がわかりやすいので引用します。
役に立つものを作る時代においては、日本勢はかなり戦えてきました。家電から車まで、高品質のものを安価に作っていくことでうまくいってたわけです。
ところが、そういったものがコモディティ化していくと、価値を失っていってしまいます。中国のベンチャーなどでも、同じような高品質のものをもっと安価に作れるようになったりすると、なかなか厳しい戦いになってしまうんですね。
なので「役に立つ、よりも意味がある」みたいなほうがいいよね、というのが山口周さんの書籍や発言により提唱され、この概念が盛り上がったのです。
これは非常に日本勢が持ってた違和感や、このままじゃいけないぞ、という感覚を説明しており、多くのビジネスの場で引用されてきました。
プロセスエコノミーの出現
その概念の延長線上に、「プロセスエコノミー」というものもあります。
高品質なものをみんなが作れるようになった結果、「どのアウトプットを選んでも、大差がない」という感じになってしまった時代の戦い方の一つに「プロセスを見せることで共感してもらったりする」というのが、このプロセスエコノミーです。
「どのお店にいってもおいしいし、どの曲を聞いても高品質だし、どの美容師さんに髪を切ってもらっても変なことにはならない」みたいな状態になったら、アウトプットの品質が勝負の決め手にならないんですね。
アウトプットの品質が勝負の決め手にならない、というのは当然「品質はどうでもいい」ということではありません。品質がいい、というのは当然クリアするべき最低ラインになってしまった、ということです。
SNSの発達によって「共感される」「その人だからいいと思う」みたいなところが、選ばれる理由となってきたんです。
先程の「役に立つから意味がある」というところの意味の積み上げ方として、プロセスを見せたり、一緒にお客さんと作っていったり、などが出てきたのです。
慣れが来てしまった時代の次
実はここまで書いた「役に立つから意味がある」みたいな流れは、誰かが提唱したとか、何かのきっかけがあった、とかそういうものではありません。2010年代はじめくらいから同時多発的におきていた現象です。
なんとなくあった流れや空気に名前をつけたり、説明をつけたのが上記であげた書籍などだった、ということですね。
なので、この10年くらい、やたらと意味を強調したプロダクトを目にするようになりました。生産者の想いがこもった文章がついていたり、プロセスをじっくりと見せたり、などです。
しかし、ここ最近、これらに少し飽きてきたお客さんが多くなってきてきたのか、いまいち効果が薄れてきたような気がしています。
そこで、流れとして来ているのが「意味がない」ものたちです。
たとえば、日本のNFTプロジェクトの中でも稀有な成功をしている「Very Long Animals」、通称「ベリロン」などがあげられます。
https://opensea.io/collection/very-long-animals
「意味がない」が求められる時代へ
これは、起業家の河さんという方が作ったものなんですが、「すごく長い動物」なだけで、特に意味はありません。河さんの原体験がある、とか、日本のコンテンツの流れがある、とかそういうものも特になく・・・。
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