データが必要なサービスを、無理やり作る方法を紹介します(例:マンガ検索「MNM」)

アル(https://alu.jp)というマンガサービスを作っている、けんすうと申します。

最近、マンガ新検索MNMという、イケてるサービスを作りました。

何かというと、マンガを入れると、読んでいる人が同じデータから、「だいたいこのマンガが好きな人はこんなマンガも好き」という、「距離が近いマンガ」を出してくれるというものです。

たとえば、「ドリフターズ」と入れると「HELLSING」「ヨルムンガンド」「ゴールデンカムイ」とでました。

お陰様で、結構バズりまして、いろいろなところで話題にしていただいたのです。

で、こんな感じで「なんかいい感じにAI?とかを使って、バーンとやりたいんですわ!」と思うケースは多いと思うのですが、これ、実はなかなかできないのです。なぜなら、データがないといけないからです。

なので、僕たちみたいになめちゃくちゃスタートアップがどうやるのか・・・というときは「データをどう集めるのか」の知恵を絞る必要があります。

というわけで、アルがどうやったか、というのを共有したいと思います。

データがないとできないサービスがある

そもそもの前提として、アルという会社は、「マンガを楽しむにあたって、テクノロジーを駆使していきたいよね」というのがあり、その一つが「データとアルゴリズムを使って、いい感じにマンガを提案する」というのがありました。

個人的なニーズとして「マンガをめっちゃ読みたい、買いたいと思っているけど、新しいマンガに出会えない」という不満があったんです。Amazonなどのリコメンドをひたすらたどる、友達から聞く、くらいしかできていなくて、その課題感を解決したいというのがありました。

ただし・・・先程も書きましたが、これはなかなか難しくてですね。何がボトルネックかというと「大量のデータがないと話しにならない」というところです。

はじまったばかりのサービスが、大量のデータを集めるのはすごく大変なんです。なぜなら、データがないとサービスができないからです。

そして、サービスがないと、当然データが集まらないじゃないですか。なので、にわとりが先か、卵が先か、という問題になってしまうのですね。

ここでよく出てくるのが「いろいろなサイトをクロールして、データをためてやってみる」というのなんですが、これをやっても、結局、たいしたものはできず、また、簡単に真似できてしまうのでイマイチなんです。

というわけで、どうやったかというと・・・。

結論からいうと、Twitter上でトレンドにのるような企画をやって、データをたくさん集めてやる、です。

つまり、

1. サービス内じゃなくて、SNSでめちゃくちゃバズる施策を打つ
2. データがめちゃくちゃ集まる
3. 解決!

という感じです。バカっぽい!

というので、詳しく説明していきます。

データを集めるためにバズる施策の方法

具体的には、僕たちの場合、「#私を構成する5つのマンガ」という企画でデータを集めました。

これは、SNSで「自分が好きなマンガを5つ選ぶ」という企画です。結果的に、Twitter世界トレンド1位となり、62万件以上の投稿があったので、検索が作れる量くらいは集まったというわけです。

というわけで、SNSでバズらせて、バイラルさせることで、データを集めるのは可能ということです。

しかし、そのあたり僕ら、知見がなかったので、M-gramなどを手掛けた松村さんという方にコンサルをお願いして「こういう仕組みで、こうすると、こういうことができる」というのをガッツリ相談しながらオペレーションを作りました。

そこで学んだことなのですが、SNSでバズるとは何かというと・・・。理論上でいうと「バイラル係数」というものが高ければバズります。

バイラル係数というものは、簡単にいうと「バイラル係数が1.1だったら、1人使うと、平均1.1人連れてきてくれる」という意味です。

つまり、1.0を超えれば人が人を呼ぶのでバズるという感じですね。なので、それを超えるように作ればいいわけです。

で、こういうときに、Webサービスに詳しくない人は「企画やアイデア、デザインが優れていればヒットする」と考えがちなんですが、、そういうわけではありません。

アイデアは全体の10%くらい、実行の精度が90%くらいの大事さのイメージです。

今回のサービスは、ドカンとリリースする前から、何度も何度も試していました。たとえば、デザインを変えたり、「5つのマンガ」ではなくて3つにしたり、7つにしてみたり。バナーのデザインや文言を変えてみたり。

いろいろやっても、どれもバイラル係数を1.0は超えなかったので、あれこれ数十パターンくらい、実際に出してみて試してみていました。

Twitter広告で数百人人づつ集めて、バイラル係数をはかる。ボタンをかえたり、文言かえたり、バナーかえたり、og:image変えたりと調整する。土日を含めて毎日0時にアップデートして、データをとるようにする。どこを変更したかはスプレットシートと、Google slideで記録を残していきます。

たとえばこんな感じです(これは別プロジェクトのシートです)

画像6

「毎日、必ず0時に次のバージョンを出して数字の変化を見る」みたいにやっていきます。大きな変更は1つくらいにしていて変化を把握します。

そんな感じで何日もやっていると、0.3くらいからスタートしても、1.0近くまでいくことは割とできたりするんです。そんくらい細かい改善をしまくる。

そして、1.0超えたなーというあたりでドカンとリリースをする。そういう感じでやりました。

このあたりは、僕が何かをやったかというより、アル開発チームで、いろいろなメンバーがいろいろ試して、そのうちに、メンバーの一人が作ったこれが当たった、という感じです。

Twitterでバズり続けるコツ

そんな感じでやったのですが、単純に、Twitterでバズり続けるには、「トレンドに入る」というのが大事です。

で、これは天気みたいなもんで、他に話題になるニュースなどがあったら、入りづらくなるので、何もない無風のときにやる必要があります。

ちなみに、狙ってたわけじゃないのですが、今回、シェア時のTwitterの文言は、マンガ名を文章内に入れるようにしました。これは作者さんに気づいてもらえるかも、くらいだったのですが、結果論として、人気のマンガからトレンド入りするという現象がありました。

ピークは、10つのトレンド中、9つがマンガのタイトルになったのです。

そうすると、作者も気づくし話題にしてくれる。もちろん、ファンも気づいて、見てしまう。

そして、そこからマンガの話題や思い出がはじまるので、トレンドに入り続けたりする・・・というのが起こりました。

あまりこういうのを狙ってやるとスパムぽくなってしまいますが、今回は、偶然そういうことが起こり、過去の作品について話題になり、作者や読者も喜んでくれる、というのが起こったのでよかったなあ、と思っています。

というので、入れ替わり立ち替わり、マンガ名がトレンドに入り続けるので、そこから連鎖して、さらに本企画をやる人が増える、、というのをやった結果、2日で150万人くらいが訪れ、65万人くらいがやってくれた、というわけです。

企画・アイデアのコツ

実行が大事といいつつも、どういうものをやるか?というのも、まあもちろん大事なので、僕らが気づいたことを箇条書きで書いておきます。

- 自分と関連しており、自分語りが容易になるものがバズりやすい
- 画像などで直感的なもののほうが広まりやすい
- 「ログインや会員登録は必要ない」という文言は必須。数字が全然違う
- 未だに「無料」と書いてあると、やってくれる率はあがる
- 文言で説明したりしても読まれない。というか文字が多いと数字が悪くなる
- バナーの効果は大きい。バナーは20-30パターン試さないと数字がいいのがわからない。ここに知見やコツはあまり効かないので、「こういうバナーが流行るかも」というデザイナーやディレクターの勘よりも、少なくても10パターン以上試して数字がいいものを採用するほうがはるかに効く

こんな感じですね。もちろん、人間の心理を読み切るのは相当大変なので、まだまだ研究段階です。

その解析について

という感じで、データは集めることができたのですが、今回は僕ら「そのデータをどう使えばいいのか」というのを全然わかっていなかったので、あまりうまく活用できていなかったのですが・・・。

そんな中、偶然、知人から、データサイエンティストの風間さんという方をご紹介いただきました。

風間さんは、新卒でリクルートに入社しまして、リクルートエージェントのレコメンドエンジン作成などのデータ分析を3年ほどして、その後、Indeedに移りレコメンドエンジンの開発などをして、現在はUbieという医療×AIの会社で病気予測エンジンを作成しているすごい方です。

詳しくはこちら。

そして、さくっとデータを見て、提案資料を作ってくれたのです。

資料はこちらです。

たとえば、3次元にマッピングなどを提案してもらいました。

スクリーンショット 2020-07-21 10.30.26

似ているマンガが近くに配置されるという感じですね。こうすると、塊として

スクリーンショット 2020-07-21 10.31.36

なんとなく、少女漫画とか、青年マンガの塊は離れているよね、とかBL空間はちょっと断絶してまとまっているよね、とかがわかっておもしろいです。

ちなみに、これは、PC版のChromeでのみ、TensorBoardというものを使って動かすことができます。興味ある方はこちらから。

https://alu.jp/tensorboard/#projector

この提案の中では、単に検索で出すだけじゃなくて、タグを使って足し算をしたりもできたりもしていました。「ろくでなしBLUES」に対して「野球」という要素を足すと、ROOKIESが出てきたりとか。

スクリーンショット 2020-07-21 10.29.32

課長 島耕作に「食事をする」というのをつけたしたら「孤独のグルメ」がでたりとか。

スクリーンショット 2020-07-21 10.33.10

今回のようなネット上での見せ方だけじゃなくて、たとえば、美術館とかに配置して、探せるようにしたらどうですか?とかの提案をいただきました。

スクリーンショット 2020-07-21 10.33.56

※これやりたい!どこかの美術館や書店さん、やりませんか?

という感じで、風間さんより、素敵な提案と、裏側を作っていただき、今回の、マンガ新検索MNMができたというわけです。

ということで

まとめると

- データをSNSのバイラルを使ってデータを貯めるといい

という話でした。

まだまだ力がないスタートアップや、社内新規事業などで使える手段だと思うので、ぜひとも参考にしてみてください!

あと、このデータとかを使って、リコメンドとか検索を強化したいよ、という出版社さんとか電子書籍ストアさん、なんかできることあるかもなので、連絡くれればなんか一緒に考えられるかもです!

alliance@alu-inc.com


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インターネットでコミュニティサービスとかをよく作っています。今は「アル」というマンガサービスを作っています。

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コメント (2)
けんすうさんすごいなぁ。
記事中のスライド後半見て思いましたが、素粒子論的多次元VR図書館とかできそう。
VRなら折りたたまれた多次元も表現できそうで、「検索」UIの未来を感じました。本題とちょっとズレますが。

あめぞう時代は横一線だったはずなのにみんな活躍してるなぁw
AI自体は何も考えて無くて、大量のデータを、エクセルで分岐させてるだけじゃねーか。それっぽい画像でごまかしてるだけですやん。
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