未来予想図超会議#2 with 尾原和啓さん、深津貴之さん(中編)

こんにちは!

今日は、先日やった「未来予想図超会議#2」のイベントの書き起こしの中編を投稿します。アル開発室では、月に1回程度、このような配信イベントも行っており、クローズドだからこその熱い全力の話をお届けしたりしています。

リアルタイムでも参加できますし、アーカイブも映像として見ることができます。興味がある方は入会のご検討よろしくおねがいします!

というわけで、今日は中編です。前編はこちら。

ではいきます!



尾原:
コミュニティに話を戻すと、「どんな初期コミュニティを作っていくのか」というのが、一つのゲームやNFTで完結するものではなく、2作目3作目とシリーズものを前提に考えていくと、「初期に誰がこのコミュニティの味方になってくださるのか」ということはすごい大事ですね。

そのような観点で考えた時に、日本の中で「お金儲けを遊びのように真剣に考えることができる人たちが味方になってくれやすい」というコミュニティの旗の立て方は、ゲームのルールが決まってからゲームのルールで勝ち切る市場と、ゲームのルールがまだ分からないからゲームブッキング自体を楽しんで色々な試行錯誤ができる人が集まるのでいうと、ルールメイキング時代は強いと思います。

誰にコミュニティとして仲間になってもらうかということから考えると、非常に正着な考え方だと思います。

けんすう:Labradoは、「お金を稼ぐための戦略とかを考えるのが好きだけど、後から来る情弱の人を騙してお金を取るのは嫌だと思っている人」をターゲットにしているイメージがありますね。

ブロックチェーンゲームでは、決して「後から来る人を"嵌める"」というものではありませんが、「儲かるよ!」と人を集めて、初期の人が売り抜けることがどうしても構造的に起こりやすいので......。

深津:構造的には、今それが最適戦略みたいになっちゃっていますね。

尾原:短期の逃げ切りでいうとその戦略で正解だが、変化の中で持続的に何かをやっていくということでいうと、誰の味方になってもらうのかということと、コミュニティの初期設定の仕方はすごい大事だと思っています。

深津さんにTHE GUILDの立場で、一般論として聞きたいんですけど......。僕も戦犯の1人なんですけど、過剰に「UXが大事」と言われすぎて。

UXと同じぐらい初期のコミュニティや初期のコミュニティを支えるベースとなる価値観や文化は大事だと思っていて……。この後者が結構抜け落ちてる感じがするのでもったいないと思っているのですが、深津さんはどう思っていますか?

深津:コミュニティは、体験の一部なんじゃないですかね。自分が小さなサービスを作るときに意識することは、「 わしが育てた!」って気持ちよく言える人をどれだけ作れるか、ということですね。

けんすう:僕もコミュニティの師匠のような方から、「あえて隙を作って50%ぐらいで出して、既に直すは準備しているけど、間違っている部分を指摘してもらう」というのを教わったことがあります。

「ここ間違ってますよ」とか「こうした方がいいですよ」というのを言ってもらって、それを直していくみたいなことをしないと、コミュニティは全然盛り上がらないというのはあります。

深津:ちょっとあざといけど、それも近いかな(笑)。

コミュニティの中に「あれ、俺のおかげでいいサービスになったんだぜ!」と気持ちよく言える人が何人いるかということが大事だと思っています。

けんすう:そうですね。

深津:それは勘違いや思い込みかもしれないですが、別にそれでもよくて……。

とにかく、サービスが上場やローンチをした時に、「あれは俺のおかげだ!」と気持ちよく言ってくれる人がたくさんいれば、うまく回るはずだと思っています。 

けんすう:よくサービス運営者が言うのが、「みんなが出してくる素人の意見は全然参考にならない。なぜなら我々はめちゃくちゃもっと100倍考えて作ってるから。」みたいに言うことがありますが、結構もったいないと思っています。

みんなが考える普通なものこそ実装しない方がいいと思っています。言われてから実装した方が、より多くの人が「これ自分で考えた機能なんだぞ」と思うので、自分事化する、っていう。

深津:そう!わかります。僕は「いかに多くの人に自分事化させるか」が一番大事なことの一つかな。

尾原:ちなみに、みんなに「自分がやったぞ!」と思わせる具体的な方法は、他にありますか?

深津:「ユーザーに聞く」をやりますね。ユーザーに「次は開発で、これとこれとこれの3つやるのをやろうと思うんですけど、どれが1番好きですかね?」って、聞いてみたりします。

けんすう:僕は、その逆もやります。つまり、ユーザー側からサービス側にいう、ということもやります。

Twitterでおそらく実装が簡単であろうものを「noteさんへ、こうした方がいいと思います!」みたいなことをTwitterで書きます。

そうすると、noteさんは僕のツイートに反応して「やりましたよ!」と言いやすくなる。

深津:そういうのいくつか投げてくれましたね(笑)。

けんすう:はい(笑)。noteも「noteすごいな、めちゃくちゃ早く対応するじゃん」となるし、僕も僕の使い心地がアップするのでめちゃくちゃ嬉しいです。

僕も「あのソート順を変えたのは俺だよ!」みたいなことを言いたくなるじゃないですか。これによって全員が嬉しい状態になる、という。

これNotionやTimeTreeなどのサービスでもやっているんですが、結構ノって来てくれて……。お客さんも不満がある時は、「早く直せよ!」とか強い言葉で言ってしまうけど、ポジティブなお手紙としてやることによって、全員が得だなと思っています。

これはもうちょっと流行らせたいと思っています。

尾原:あえて相手に頼ったりお願いすることで、相手に自分事化させる作法を身につけていくと、お互いがハッピーになりやすいということですね。

けんすう:そうですね。サービス側も「これに対応したら得だな」という状態にした方が、お客さんもサービス側もWin-Winで、さらにその影響を受ける他のユーザーも得だなと思っています。

尾原:まさにそのやり方でXiaomiは成功しましたよね。

けんすう:あー、そうですね。

尾原:Xiaomiの社長自らが、その秘密を本に書いていて、その本のタイトルが『参与感』なんですよ。いかにみんなに参画・参与しているように感じてもらえるかが大事で……。

深津:それが一番大事ですね。みんなで作る。

尾原:製品・情報コンテンツ・コミュニティという「鉄の三角形」によって参与感を作っていくことをという話です。

「エンジン=製品」消費者からのフィードバックを得て宣伝をしてベースを作る。「関係性を連鎖させる=情報コンテンツ」いかに話題性を創出することで広くいろんな人が関われる雰囲気を作るかというところが大事で、「加速機=コミュニティ」いろんな方が参与感を感じていただくようなところを作っていく。

けんすう:noteさんすごいのが改善が4日後なんです。めっちゃ便利になりました。

けんすう:noteさんこの辺り抜群にうまいんですが、「みんなで作る」みたいな雰囲気作りが上手いのは、noteさんだけでなくて、最近Notionさんもそういった参与感の雰囲気作りはうまいなと思っています。

僕がNotionさん宛に書いたことが、ちゃんと日本法人側が本社に伝えてくれているらしく、 DMで「今提案してくださっていたものは、ここまで進んでます!」とか教えてくれて、Notionクラスがそのように対応してくれるのはめちゃくちゃ嬉しいです。

深津:嬉しいですよね。

けんすう:だから、僕は結構Notionをめちゃくちゃいろんな人に広めていて、こういう状態になっているのは良いよね、と思います。

ライフネット生命の社長の出口(治明)さんが、「3人集めてくれれば自分で説明しますよ」というのをやって、わざわざ地方に行くので、明らかにコスパ悪そうと思われていたけど、主婦さんからすると、「わざわざ社長が東京から滋賀県に来てくれて、私たちにこんなに説明してくれる」という感動がすごいので……。

その説明を聞いていた人はもちろん、その3人の主婦さんがめちゃくちゃ広めてくれるのですごくよかったっていう話があります。

深津:そういうのは良いですね。

けんすう:めちゃくちゃ好きですね。

尾原:普段使うものや、特に自分の意思決定に関わるものは、他人から押し付けられたものではなく「いかに自分事化するか」といった自分事化の設計がすごく大事ですね。

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