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グラニフが今、NFTに取り組む背景は?アルと共同開発の「World Weather Control Bear」から掘り下げる

こんにちは!

先日、アルが共同開発した、株式会社グラニフによる「World Weather Control Bear」NFTの一般販売が開始されました。

今日は、こちらの一般販売の前日に、今回の取り組みについて、グラニフでブランドディレクターを務める勝部健太郎さんと配信で話した内容を記事化してお届けします。

グラニフというグラフィックに強みを持つ会社が、今NFTに取り組む背景について、詳しくお伺いしました。

こちらの記事の内容は、Twitterスペースの録音で聴くこともできます。


グラニフはどんな会社?

けんすう:今日の話題は、グラニフさんの第2弾NFTプロジェクト、「World Weather Control Bear」についてです。

グラニフはいろんな所に店舗があるTシャツで有名なブランドですが、僕自身も大好きで5〜6枚持っています。

グラニフさんというグラフィックに強い会社と、私たちアル社が一緒に新しいNFT企画を進めていて、その詳細を今回お話しすることになっています。

グラニフさんはいろんなIPとのコラボを行っています。よくTシャツになっていそうなキャラクターをはじめ、絵本のキャラクターも強い印象です。

けんすう:それでは、簡単に自己紹介させていただきます。私はアルという会社を経営し、クリエイティブに関連する会社さんといろんなプロジェクトを手がけています。

また、NFTも扱っていて、成長していくNFT「marimo」やきせかえできるNFT「sloth」などを運営しています。

これらはどちらかと言うと初心者向けで、短期的に売り切りを狙わないというか、投機目的のNFTも良いんだけれどもそうではなくて、クリエイティブな表現としてNFTを使おうとしているものです。

そこで今回グラニフさんと合同のNFTプロジェクトをやらせていただくことになりました。それでは、勝部さんも自己紹介をお願いいたします。

勝部:現在はグラニフのブランドディレクターを務めています。ちょうど2年前に、かつてはデザインTシャツストアとして知られていたグラニフをリブランディングしました。

グラフィックを通じて豊かな暮らしを提供するという新たなコンセプトを打ち出して、2年間ずっとやってきたという形です。

Tシャツだけでなく、雑貨やコスメティック、LINEスタンプや絵本など、さまざまなコンテンツを提供できるような会社になりたいと考えています。最近、去年の10月からNFTの取り組みを始めました。

けんすう:ありがとうございます。つまり、2年前まではTシャツに特化しているイメージが強かったのを、今はもう少し広げているんですね。

勝部:そうですね。2年前、原宿にある店舗に行った時、言い方は良くないんですが、Tシャツのお土産ショップのような印象が非常に強かったんです。ほとんどTシャツ専門店で、アニメや映画、オリジナルキャラクターのTシャツがずらりと並んでいました。

けんすう:なるほど。勝部さんの経歴ってどんな感じなんですか?

勝部:私の経歴は少し変わっていて、最初は日本長期信用銀行に勤めていました。しかしその銀行が経営破綻して、1回辞めてメルセデス・ベンツ日本に移り、ブランドについて学びました。

その後銀行に戻り、名前は新生銀行に変わるのですが、再上場するまでマーケティングの仕事を行いました。その次はユニクロに入社して、新しいメディアを作るチームで働きました。その当時、ユニクロはニューヨークに旗艦店、パリやロンドンにも店を作ろうとするなど、グローバル展開の初期段階でした。

私はその中で、インターネットを利用したブランド情報の発信に取り組みました。具体的には、ブログを使ったプロモーションや、「UNIQLOCK」というコンテンツを作成し、世界中に流通させました。ニューヨーク旗艦店にあるたくさんのモニターでも放映して、「世界のUNIQLOCK」という形でやりました。その結果、世界三大広告賞をいくつか受賞し、デジタルでユニクロが世界を駆け抜けるというようなことに着手させていただいたということです。

その後、自分の会社を立ち上げ、コカコーラさんの自販機に連動したスタンプアプリ「Coke ON」や、無印良品さんのポイントアプリ「MUJI passport」など、ポイントアプリの先駆けみたいなものを作りました。一番最初にビジネスとアプリを結びつけて、成功させた事例があり、1000万人以上の方に利用いただいています。トヨタさんなども含め、様々なクライアントワークを手掛けました。

また、バルミューダという家電製品の会社の社長と知り合い、トースターの初期プロモーションを一緒に行いました。バルミューダのトースターは大ヒット商品になりましたね。

現在は、グラニフさんや、エコポークという、肉が食べられなくなってしまう未来に対して生産の効率を上げて食肉文化を後世に残すフードテックの会社で、ブランドディレクターを務めながら、自分の会社を持っています。

けんすう:すごいですね。「UNIQLOCK」は当時、リアルタイムで見ていましたが、衝撃が大きかったです。そして無印良品の「MUJI passport」も、その時期ではかなり先駆けですよね。

勝部:そうですね。「MUJI passport」は恐らくメジャーブランドのポイントアプリの先駆けだったと思います。無印社内でも担当部署の人たちが「ちょっとチャレンジでやってみようよ」と言って始めたプロジェクトで、アプリがまだ流通しないような時代でした。

けんすう:そうですよね、そのイメージがあります。まだLINEが出た2年後で、メルカリと同じようなタイミングですよね。バルミューダのトースターも、僕は2回買っています。

勝部:ありがとうございます。様々な業界の会社と交流を持ちながら色々な事を経験してきました。

ブログの時代にブログパーツ、アプリ黎明期のアプリであったりと、要所要所でうまくはまっていたなという感じがしており、今回のNFTの分野でも何かそのような気配をを感じています。

けんすう:当時のブログパーツもかなり早かったですし、「MUJI passport」も早かったですが、今回のNFTもまだ導入している会社が少ない中での取り組みなので、そのタイミングの見計らい方がすごいと思っています。

勝部:そうですね。ただ、私自身、興味があることだけやっているだけなので、その結果として先駆けているのかもしれません。

「World Weather Control Bear」NFTとは?

けんすう:なるほど、ありがとうございます。「World Weather Control Bear」についてお話したいのですが、まだ知らない方に説明するとしたら、どのように説明するのが最良でしょうか。

勝部:NFTアートの一種類という位置づけですが、今回のプロジェクトでは2500種類のアートピースを用意しました。それらは世界中の都市と様々なデザインを組み合わせたビジュアルで表現されています。

それだけではなく、世界中の都市それぞれに応答した天気情報を、「Control Bear」のデザインの中でほぼリアルタイムで表現していくダイナミックNFTとして提供しています。止まったNFTではなくて、常に動き続けているNFTという観点で提供しています。

「Control Bear」というキャラクターは、今年で15周年を迎えるということで、長い間多くの方にご愛好されてきたグラニフのキャラクターです。このキャラクターがNFTという場を通じて新たな表現を発信していくというプロジェクトを展開しています。

けんすう:15周年なんですね。長いですね。

勝部:そうなんですよね。創世期からずっと愛され続けてきたキャラクターです。通常のNFTプロジェクトでは、まずは独自で作ったIPがあり、それが伝播していくっていう流れが多いと思います。

「Control Bear」は逆に、すでに15年間ご愛好いただいてきたキャラクターが、最新のテクノロジーと優れたクリエイティブによって、より広まっていくという、背景が通常のNFTプロジェクトとは異なるプロセスで進行できていると考えています。

けんすう:こういった有名なキャラクターを使用すると、「NFT参入はまだ早いのではないか、リスクがあるのではないか」など社内での議論が発生しやすいと思いますが、社内の反応はどうでしたか?

勝部:グラニフとしてはまだまだ認知度が低いので、とにかくスピード感と、とんがったことをやりたいと常に考えています。私が期待されていることとして、デジタル分野においてとんがったことをやってほしいという明確なオーダーを受けていますので、オーダーの中で強い決裁権限を持ち、迅速に実行できる体制となっています。極めて素早く、大胆なことができる状態ではあります。

ただし、法的な部分や会計的な部分でまだ不明確な部分がある分野なので、弁護士の先生と相談したり、管理部門を巻き込みながら、強い意志を持って社内調整しながら進行しています。

目指したのは、それ自体をエンタメとして楽しめるNFT

けんすう:ありがとうございます。ちなみに、天気と連動するというアイデアは、どのようにして生まれたのでしょうか?

勝部: アルさんにご協力を要請した背景でもあるのですが、アルの「marimo」というNFTを見て、成長し続けるNFTというコンセプトや、自分だけの「marimo」が手に入るということがとてもおもしろいと感じました。そこで、NFTで自分だけのユニークピースを作ること、NFTをただ単純に見て、眺めて、楽しむだけでなく、機能性を持たせたいと思って色々考えてみました。

また、グラニフはグローバルブランドになりたいという想いもありました。グローバルとはなんだろうと考えていた時に、それは世界中の国々を相手にすることだと気付いたんですね。世界中の国々に対してユニークピースをどうやってはめていくのかを考えた時に、世界中の天気はいつもそれぞれ違うよなと思ったんですね。

そこで、機能性と、グローバル、ユニークさを掛け合わせた時に、「国×天気」というアイデアが生まれ、クリエイティブに落としたらどうなるんだろうと「World Weather Control Bear」の発想が進みました。

けんすう:なるほど。NFTはたしかにグローバルに売れる可能性があるのですが、グローバルで通じる概念を見つけるのはなかなか難しいですよね。

勝部:そうですね。ただ、タイミングが非常に良かったと思うんですが、ちょうど新型コロナウイルスがある程度収束し、世界中の人々の、世界に対する関心がとても高まっている時期だと感じています。旅行に行った時に、自分の国も好きだけど、世界の国々に対する憧れやロマンチックさもあるのではないかと感じます。

後は、日本という国が持つ文化ですよね。クリエイション力というか。「Control Bear」の他には約300種類のキャラクターがいるんですが、一番ジャパンポップカルチャーを感じさせるキャラクターが「Control Bear」だなと思い、そういった日本のクリエイティブ力を活かして、世界の人々が関心を持つコンテンツに落とし込むことでキャッチーなものにしたいという、そういうアングルのグローバルを考えていました。

けんすう:なるほど。将来的にこんなことがしたい、という計画はありますか?

勝部:いくつか考えていることがあります。私の見立てによるとNFTは、購入して満足してしまう、その後は該当NFTのコミュニティ内で楽しむ、という傾向が多いように思います。

私としては、NFTそのものがエンターテイメントとして楽しめる、ダイナミックNFTのような存在になれば、とても魅力的だと思います。購入したNFTを通じて、いつも違う天気の表情を見せる、という楽しみ方が一つあると思います。

それだけでなく、今回のNFTは2,500種類、世界196の都市と連動しており、これらが交換できるといいなと想像しています。例えばトレーディングカードのように、私がシドニーのNFTを持っていて、あなたがベルリンのNFTを持っていたら、「私のシドニーをあなたのベルリンと交換しませんか?」というような会話が生まれるかもしれません。

それぞれのユーザーが自分の欲しい都市を集めていくような場が生まれ、自分が持っているNFTを利用して交流できるようになると、NFTは運営側が主導するというよりは、プロダクト自体がコミュケーションツールとして機能し、世界中で流通していくことが実現できればいいなと思います。

そのためには、さまざまな仕掛けが必要です。例えば、ある日になったら全世界2,500種類の「Control Bear」のデザインがガラッと変わっていたりすると驚きますよね。止まっているのではなく、常に動き続けるNFT、そしてそれ自体がトレーディング可能な形になっていて、ユーザー同士で交換が可能な流通システムを作りながら楽しめる、そんなNFTが存在すれば理想的だと思っています。

けんすう:いいですね。私たちも、例えば「marimo」、着せ替え可能な「sloth」をやっているのですが、NFTって、アート的な楽しみがすごくあるにも関わらず、デジタルの利点をそこまで活かし切れていない感覚がありました。もし絵を買うとすれば、多くの人は実物の絵を欲しがるのではないか、と思っていました。

今回の「World Weather Control Bear」では、見るたびに絵が違うこと、地域によっても違うことが、交換のとっかかりとして分かりやすくて、非常におもしろいなとおもいました。

たとえば、自分の国が欲しい、または自分が好きな国が欲しいという感情が最初から理解できるので、他のNFTプロジェクトにあるような「赤色の目はレアですよ」といった要素を考えずに楽しむことができるのが個人的におもしろいなと思っています。

勝部:はい、それはたしかにそうですね。今回私たちはリビールという形で販売を行う予定です。どのアイテムが当たるかという体験を楽しみにしてもらえればうれしいです。

「World Weather Control Bear」NFTは、2023年8月1日(火)12:00にリビール完了しています。

けんすう:NFTに慣れている人にとってはリビールは当たり前の体験ですが、まだ経験している人は日本でもおそらく数万人程度だと思います。こういったわかりやすい事例でNFTの楽しみ方が増えるといいなと思っています。

グラニフが今、NFTに取り組む背景

けんすう:勝部さんは、なぜNFTに興味を持ったのですか?

勝部:最近「marimo」を体験したことから始まりました。実際に購入してみて、水を交換すると成長速度が上がる体験がおもしろかったです。

NFTは一部のコレクターが価格を急騰させる行為が見られ、それが投機取引のように思えて避けていましたが、「marimo」のようなプロジェクトを通じてNFTがマス化する可能性やエンターテイメントとして楽しめる可能性を感じて、興味を持つようになりました。

けんすう:それはうれしいですね。「marimo」をやってみて、デジタルデータが少しずつ大きくなるというギミックは弱いかもしれませんが、そこに対して愛着を持ったり成長を感じる様子は僕もおもしろかったですね。

勝部:そうですね、育ったものを再販するという行為は、まるでペットショップで丹精に自分が育てたペットを売るような感じがしておもしろかったです。

けんすう:それはたしかにおもしろいですね。私たちは名前を付けることができるようにした結果、名前を付けると人々はあまり売らない、ということがわかりました。

定期的に水を変えて育てたものは価値が高くなりますし、逆に全く水をやらずに小さなままに保ったものも価値が高くなるという現象が見られて、その両方の現象が同時に起こることは個人的におもしろかったです。

勝部:ただ最初は楽しいけれども、だんだんと飽きてしまい忘れてしまうという現象もありました。なので、今回の「World Weather Control Bear」については、いつ見ても楽しむことができます。

今回は一つのウォレットに対して10個買うことができます。たとえば、10都市を揃えて、各都市のワールドウェザーカレンダーのような形で楽しむことができます。

「今、北京はこんな天気だ」「アイスランドはこんな天気なんだ」などと思いを馳せる、ロマンチックな感情を味わうことも楽しめる要因の一つだと思います。

また、今回ナイトモードという機能により、現地の時刻が夜になると、ブラックフィルターがかかって暗めの状況になります。

場所を全体で俯瞰して見る、かつリアルタイムで見るエンターテインメント感は、機能性の楽しみとしても定期的に使っていただけるのではないかと考えています。

けんすう:グラフィックを見るだけで、今どんな天気で気温が何度なのかを感じるだけでも、意外と楽しいという発見がありました。

勝部:クリスマスになると雪を降らせたり、バレンタインデーになると「Control Bear」の中にハートがあふれていたりというような、カレンダー的な楽しみ方を提供したいと考えています。購入して終わりではなく、購入してから始まるものにしたいと思っています。

カレンダーのような見え方を楽しんだり、購入したものを交換して、自分だけのワールドクロックを揃えるという楽しみ方もあります。自分たちが「World Weather Control Bear」から楽しめる世界を作っていきたいと空想しています。

けんすう:いいですね、とても楽しいです。ちなみに、実はグラニフさんのNFTについて、「World Weather Control Bear」だけではなく、ファースト、セカンド、サードとあるとお聞きしています。ファーストのNFTはどのようなものなのでしょうか。

勝部:ファーストのNFTについては、デジタルスニーカー10足を作りました。非常にユニークなプロポーションの3Dスニーカーをデジタル上で作成し、それをAR上で着用しているように見せるNFTを作りました。

デジタルだからこそ表現できるユニークなスニーカーで、「Control Bear」が思いっきりスニーカーの上に乗っていて、レインボーのような輝く色合いで表現されています。ソールパターンもかなりこだわって作りました。

非常にユニークなデジタルスニーカーを、まるで自分の手元に置いてぐるぐる回しながら楽しみ、試着し、シェアするプロジェクトとして第1弾をリリースしました。

けんすう:ARで自分が履いているように見えて、それを写真に撮ってシェアできるのは楽しいですよね。

勝部:そうですね。私も実際に試してみて、どのように見せるのが一番素敵に見えるか研究していますがなかなかおもしろいです。

けんすう:スニーカーを集めている友人が、「貴重なスニーカーは本当は履くものではない」と言っていて、それがおもしろいなと思いました。スニーカーファンの人たちがスニーカーNFTに興味を持つのは自然なことらしいんですね。

「スニーカーは見るだけじゃないよね」と思った時に、ARだと価値を棄損しないまま履けますよね。普通のスニーカーだと、履くと使用済みとなって価値が下がりますが、NFTでARでスニーカーを販売することで、価値が下がらないまま「履いている感じ」を体験できて、おもしろかったですね。

勝部:協力していただいたJoyfaさんは、デジタルスニーカーのマーケットプレイスの開発にチャレンジしている会社です。

彼らはドバイを拠点とする会社で、ドバイの会社と取引するのは難しいと思いがちですが、彼らの挑戦はとてもおもしろそうだったので、私たちは参加を決めました。

社内のスタッフもだんだんNFTプロジェクトへの理解と共感が広まってきて、デザイナーからは複数の魅力的なスニーカーのデザイン案を提案してくれたり、今回の「World Weather Control Bear」については、「このデザインはクールだからTシャツを作ろう」という声も出てきています。

はじめは少数で始めたプロジェクトでしたが、リアルの世界に落とし込まれ、広まりつつある状況です。

けんすう:Tシャツになるとうれしいですよね。

勝部:「着る世界」という感じで表現したいですね。リビール前のスタンプモチーフや、「Control Bear」の中で天気パターンが複数あったり、アウトラインカラーも複数あるので、いろいろ遊べそうです。

けんすう:とてもすてきです。

NFTはより一般化していく?

けんすう:勝部さんは今後NFTがどうなっていくと思いますか。

勝部:NFTはこれまで一部の人々のための「投機物」のような存在で、限られた人の中で閉じている、という印象でした。今後はますます一般化していくと思います。NFTはよりパブリックな存在になり、より多くの人々が触れるようになるのではないかと思います。

けんすう:なるほど。なかなかマスアダプションしないと言われつつも、徐々にNFTに対する偏見がなくなり、投機だけが楽しみではないという流れになってるので、これからはグラニフさんのような企業が参入することは、NFT業界全体にとってプラスだなと思っていたりします。

勝部:私たちがNFTを通じて目指しているのは、この新しいデジタルカルチャーを広く伝え、みなさんに理解していただくことです。

そのため、私たちはNFTを通じた新しいデジタルカルチャーを、皆さんがどうやって楽しみやすくするかに焦点を当てて活動していきたいと思います。その一環として、歴史のあるIP「Control Bear」を利用して広げていきたいと思っています。

けんすう:「Control Bear」をNFT化できることが、今回一番の驚きでしたね。NFT化に踏み出している会社さんは少ないと思います。キャラクターIPの中で、何点かの画像をNFTにする、というケースは見てきましたが、2,500体をしっかりとNFT化し、販売するというのは、おそらくほとんどないと思います。「World Weather Control Bear」はNFTの文脈にも合っていて、しかも既存のIPをうまく活用していて、非常にいい実例だと思います。

勝部:そうですね。約300種類のキャラクターがいる中で、すべてがNFTにフィットすることはないと思います。

ただ、私たちが次にやりたいと思っているのは、逆にNFT発のキャラクターを開発し、それをリアルプロダクトのラインに強く結びつけることです。

私たちは全国に100店舗以上持っているので、その力を活用してキャラクターを実体化することが可能だと思っています。実体化出来るインフラが強烈にあるので、リアルなアプローチも試したいなと思います。

けんすう:それは非常にいいですね。日本の他のNFTプロジェクトで、うまくいっている所の話を聞くと、グッズやTシャツの影響力が大きいという話をよく聞きます。実体化した途端に、価値をより高く感じることはあると思います。

ただ、それらはTシャツ作成サービスで作られている段階なので、100店舗以上もある場所にTシャツが並び、だれでも購入できる体験までは辿り着いていないので、それはすごいインパクトがあると思います。

勝部:そうですね、ブランドとインフラが整備されていれば、本気のモノづくりができるので、いい落とし込みが出来ると思っています。

今私たちが試みようとしているのは、私どものブランドと共にキャラクターを開発し、それをグローバル化していく、記号となるようなキャラクター開発プロジェクトです。デジタルのアイデアを活用し、新しいクリエイティブな発信方法を模索したいと考えています。

デジタルとアナログ、それぞれのおもしろさ

けんすう:なるほど。勝部さんに純粋に聞きたいのですが、NFTに関わらず、デジタルでこんなことやったらおもしろそうというアイデアは何かありますか?

勝部:現実の世界を見て流行っていることを、デジタルに結びつける、たとえばトレーディングカードをデジタル化するというのはおもしろいと思います。流行っていることを捉えてデジタル化していく感じですね。

けんすう:なるほど。まだ、NFTという所有感が持てるデジタルデータに関しては、ほとんどチャレンジがないので、無数にアイデアはありそうですよね。

勝部:そうなんです。そのNFTのデータを非常に高画質なプリンターでプリントアウトして額装してみたんですよ。

けんすう:なるほど。

勝部:その結果、とてもいいアートになったんです。それを、抜け感のある空間で展示しました。「Contol Bear」のピクチャーやリアルプロダクト、オブジェといったものを展示すると、すごく独特な雰囲気が出ました。

さらに、3Dデジタルスニーカーを立体的に表示できるようなモニターを借りて展示したんです。アートとカルチャー、キャラクターなどが融合して、最先端のミュージアムみたいな感じになったんですよね。

けんすう:なるほど。

勝部:それはただのミュージアムではなくて、実際に買えるアイテムも存在しているんです。デジタル空間でアートを売るだけでなく、リアルと合体した、次世代型のミュージアムかつ、販売ショップの可能性があるんじゃないかと思っています。

今度、新しいお店を10月以降に出店する話もあるので、そのコンセプトを取り入れられるかどうかを考えています。

けんすう:新しい店舗で、NFTを飾るのはいいですね。やはりリアルなモノがあることは強いと思います。

勝部:そうですね、ありがとうございます。

けんすう:全然感覚が違いますね。身体性があるというか、感じるものが違うから、デジタルとアナログを両方使えるといいですよね。

勝部:そうですね。それが上滑りしないでちゃんと落とし込めるかどうかが大事だと思っています。

アートだけで終わらないほうがいいですし、実際にプロダクトのトランザクションがきちんと発生する、自分だけのものとして所有し、買いたくなる感覚もすごく大事なポイントだと思っています。

けんすう:そうですね。特に日本人は「アートは見るもの」という感覚が強い人が多いと思うので、所有する楽しみを提供するとおもしろいと思います。

勝部:そうですね。その意味では、アートを所有する豊かさがあると思います。

けんすう:その通りですね。

勝部:それが「ユニークである」ということが大切だと感じています。例えば、今回、私たちは「World Weather Control Bear」2,500体の作品を全て一つ一つ異なる都市名とカラーコンビネーションを違うものとしてユニークピースにしました。

まったく同じもので、番号が違うだけのものがあるという状況は避けたかったのです。「自分だけの、何が出るか分からない出会い」という体験を含めた、自分だけのものを所有するという豊かさを感じていただきたいです。

けんすう:その通りですね。アートを購入することは単なる消費ではなく、クリエイティブ活動、アーティストへの応援という意味合いも持っていると思います。

日本はクリエイティブ力が強いので、こういった文化がもっと盛り上がるとよりクリエイティブ力は強くなっていくと感じます。

勝部:日本にも優れたNFTクリエイターがいらっしゃったり、NFTプロジェクトがたくさんあると思っています。うまくお互いの良さを発揮しながらコラボレーションをして、世界に出ていくチャレンジはどんどんしていきたいです。

けんすう:すばらしいです。

さいごに

けんすう:さて、もうすぐ40分経ちますので、改めて「World Weather Control Bear」のプロジェクト概要や、どこで購入できるのかなどを教えていただけますでしょうか。

勝部:ありがとうございます。「World Weather Control Bear」は、世界196都市の天気に連動したダイナミックNFTコレクションという形で、2500体の作品となっています。現在プレセール期間で、正式販売は7月25日から始まります。

購入は特設ページを用意しておりまして、「World Weather Control Bear」のこちらのサイトから購入いただけます。

購入後には、「World Weather Control Bear」が所属する都市の天候や時刻をほぼリアルタイムで確認することができます。さらに、購入いただいたNFTはOpenSea上で二次流通が可能です。

現在、プレセールの段階で約600体、166名の方にお買い上げいただいています。大体、1人あたり4体ほど購入されているようです。リビール前なのでまだ何が当たるか分からないんですが、複数の都市をお楽しみいただく方が多いのではないかと推察しています。

けんすう:楽しみですね。今ちょっと冬の時代で、他のNFTプロジェクトからも全然売れないという話をよく聞くので、今売り出すのは控えたほうがいいという噂もあるようですが、プレセールの時点で600体売れているというのはすごいことですね。

勝部:そうですね。

けんすう:すごい、ありがとうございます。他に勝部さんから皆様にお伝えしたいことなどございますか。

勝部:「World Weather Control Bear」については、ある種、チャレンジをして、色々なことをやらせていただいたと思っています。NFTが全て異なるという所もそうなんですが、どれが当たるか分からないことや、世界中の天気と連動していることなど、そのアイデアに対して多大な反響をいただいたと感じています。

その反響は予想を上回っておりまして、サーバーのキャパシティが足りなくなるなどのアクシデントが起こり、ご迷惑をおかけしたことには大変申し訳なく感じています。この場をお借りして謝罪させていただきます。

しかしながら、ヴィジョンを持った新しい取り組みはこれからも臆することなくチャレンジしていきたいと思います。

今回「World Weather Control Bear」を購入いただいた方々に対しても、一回買って終わりではなく、その後もずっと楽しんでいただけるような企画を考えて実行していきたいと思っています。

これはNFT本体でもそうですが、体験の観点からも考えていきたいと思っているので、興味を持った方はご購入いただいて、体感していただきたいです。

今回はけんすうさんをはじめアルさんという強力なお仲間とのパートナーシップで、私たちグラニフとしても、あっと驚くような取り組みを実行していきたいと思います。今後の活動にご期待いただければと思います。

けんすう:そうですね。今回のプロジェクトだけでなく、第1弾もありますし、第3弾もこれから予定されています。グラニフさんの活動は、これからNFTプロジェクトに参加する企業にとって、一つのマイルストーンというか、参考になると思いますので、ぜひチェックしてみてください。

また、プレセールでエラーが発生してガス代だけが取られてしまったというケースもあるようですが、それについては全て我々がガス代を負担し、返金対応をしております。何か問題があった方は、ご連絡いただければ速やかに対応いたしますので、よろしくお願いします。

また、コントラクト上でエラーが出て、NFTがミントできない、手に入らないという事態になった方については、我々が自動的に検知し、個別に返金対応をしています。お問い合わせいただかなくても、適切に返金が行われていると思いますので、ご安心ください。

勝部:私は今回、けんすうさんとお知り合いになれて、非常に良かったと思って感謝しております。けんすうさんのご経歴を伺う中で、常にチャレンジを続け、おもしろいことをされていると感じました。今回のプロジェクトだけでなく、今後も何かご一緒できればと思います。

けんすう:めっちゃやりたいですね。めちゃめちゃやりたいです。

勝部:そうですね。今回のプロジェクトは受注・発注という関係性ではなく、共同プロジェクトというスキームで進めてきました。それによって、同じ船に乗っている仲間として取り組む感覚があって、良い意味での緊張感と仲間感が生まれたと感じています。

けんすう:おっしゃる通りですね。我々の名前も出させていただき、非常に嬉しいです。一般的に受発注の関係では、クライアントの要望通りに製作することが正義になりがちですが、ちゃんとお客様が何を喜ぶのかという観点で話すことができるのは喜ばしいことだなと思っています。ありがとうございます。

皆さん、お聞きいただきありがとうございました。明日の12時、お楽しみに。それでは、失礼します。

※2023年7月24日時点の対談です。


というわけで、グラニフ勝部さんとの配信の記事でした。

グラニフさんと一緒に作った「World Weather Control Bear」は現在発売中です。

また、アルがやっている、きせかえできるNFT「sloth(すろーす)」も下記サイトで販売中です。


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