若手起業家に勧めるなら? 最新テクノロジーでの事業づくりを語ってみた
こんにちは!
今日は、「最新テクノロジーでの事業づくりを語る」というテーマで、Twitterスペースで配信した内容の書き起こし記事をお届けします。
今回はゲストとして、NFTユーティリティ提供プロジェクト「PORT」を手がけるIANさんをお招きしています。
Web3やメタバース、AIといった話題のトピックをはじめ、「今、若手の起業家に相談されたら何で起業するのをおすすめするか?」といった内容について幅広く語っています。
きせかえできるNFT「sloth」、一般販売中です。
この記事の内容は、Twitterスペースの録音から聴くこともできます。
デジタルとリアルの主従が逆転する?
けんすう:よろしくお願いします。今日は、最新テクノロジーを使った事業について、IANさんにお話いただこうかなと思っています。
PORTというサービスをIANさんが始めたことから、その話が中心になるかもしれません。非常に楽しみにしています。
IAN:はじめまして、IANと申します。現在は「すべてのNFTに新たなユーティリティを」のコンセプトでPORTという事業をしています。
またもう一つ、会員制の飲食店のメンバーシップをNFTで発行している天ぷら屋「天ぷら秘密結社10+(テンプラス)」の運営支援をしています。
けんすう:天ぷら屋さんを経営されているんですね。今の事業ドメインとしては完全にNFTなんですか?
IAN:はい、いろいろあってピボットしました。
けんすう:なるほど。IANさんの今までの経歴を教えていただけますか?
IAN:もともと2011年頃から旅行×オンライン領域で、みんなで一緒に行こうっていうサービスだったり、旅行のメディアだったりを10年ぐらいやって、その後その会社を退任し、紆余曲折を経て今に至るって感じです。
けんすう:なるほど。これまでいろいろな事業をやりながら、今はPORTやNFTの天ぷら屋さんをやっているんですね。やはりテーマ的には、NFTとリアルを結びつけるというイメージなんですか?
IAN:僕も中学生くらい、けんすうさんがミルクカフェ(※過去にけんすうが運営していた受験情報の掲示板サイト)をやっていた頃くらいから、ずっと掲示板を出入りするような人間で、デジタルな人格があるんですね。
そこで出会った友だちとか、今もTwitterのフォロワー上にいたりするんですけど。そこから会ったことがある人もいますし。
そこから、デジタルを起点に、リアルで出会ったりとか旅行に行ったりとかがすごく好きで。なのでベースはデジタル×リアルで新しい体験を作るというところに軸足をずっと置いています。
けんすう:ありがとうございます。僕のほうも簡単に自己紹介すると、アルという会社をやっていて、今はNFTを中心にやっており、NFTを使うことで新しい体験ができるようなものを作っています。
IANさんはデジタルをきっかけにリアルを楽しくする方向性だと思うんですが、僕はデジタル空間の中で人々がどういうものを所有したいのかや、その中の生活でより楽しくなるにはどうしていくのがいいかとかを考えています。
最近は、slothという着せ替えができるNFTをやっています。
けんすう:今日は最新テクノロジーでの事業作りについて話すことになっていますが、最近はAIの話題が中心になっていますよね。
IAN:僕らももう古いんですかね。新しいことを始めたぞと思ったのに、古いのかな……。
けんすう:あんなにたくさんいたWeb3キッズたちがいつの間にかいなくなってしまって……。本当にどこに行ったんだろうって人がたくさんいます。
IANさんもインターネットで新しい領域で事業をすることが多いと思うんですけど、メタバースやAIなどの分野がある中で、なぜNFTなんですか?
IAN:もともと私自身はNFTについてよく理解していなかったんです。去年の初め頃まではまったく興味がありませんでした。
もちろん、ビットコインやイーサリアムを買ったりといった経験はあったんですけど、NFTという言葉が出てきた当初は、「なんで2000万円もするの?」みたいな感じだったんですね。
ただ、試しにNFTを購入して、NEO TOKYO PUNKSのアイコンにしてみたり、Discordに参加してみたりするうちに、NFTの魅力やコミュニティの楽しさを実感しました。
それこそ中高生の頃に利用していた掲示板のような空気感を感じて。そのコミュニティが原体験としてあり、そういった空気感が好きで、魅力的に感じています。
NFTについてのデジタル上での所有感って、自分の人格に色を付けてくれるようなものだと感じます。
またデジタルを起点とした、メタバースのようなデジタルとリアルの主従が逆転する現象が、これからどんどん起こっていくと思っています。
けんすう:なるほど。Web黎明期にすごく近い雰囲気を感じますね。
IAN:そうなんですよ。けんすうさんもFacebookやTwitterで発言していますが、この空気感は分かりにくい部分もありますね。
けんすう:分かりにくい!
IAN:それこそやっぱりAIだと、3月末ぐらいにChatGPTがバズって、一気に数億人が使うサービスになりました、みたいに直感的な利便性を感じられるようなものとは、ちょっと違うと思うんですよね。
けんすう:昨日も『水曜どうでしょう』のプロデューサーのお二人に、NFTについて解説するみたいな配信をやったんですけど、2時間ぐらい説明して、ちょっと伝わってきたくらいの感じなんです。
僕も話していて、インターネットに深く関わってない人からすると、なんて難しい話をしてるんだろうっていうのはあったんですよね。
それに比べてやっぱりChatGPTは、「ここで質問を書いてください、そうしたらここに答えが出ますよ、以上」なので。NFTとかって、難しいですよね。
メタバースでNFTは盛り上がる?
IAN:だからこそ多分、NFTは今、地団駄を踏んでいるんだと思ってるし、 みんなバイバイして、AIに引かれていっちゃったのかなって感じですよね。
けんすう:IANさんは起業家として、「やっぱりAIだな」みたいになったりはしないんですか。
IAN:けんすうさんも今日Twitterとかで言ってましたけど、これってハイブリッドじゃないですか、完全に。
僕はWeb3もそうだと思ってるんですけど、どちらかというとNFTもあくまで技術というか、体験を作り出すためのものという風に考えているので。
まあ、AIもどこかで組み込めたらいいなとは思ってますが、それそのものは目的化しない感じですね。
けんすう:そうですよね。特にNFTが一般的になるのって、やっぱりVR空間でアイテムを買ったり、服を買ったり、ゲームで使えるものを買ったりするときに、NFTで売買できたほうがいいよねってなると思うんです。
結局、二次流通とかで、OpenSeaとかがもうすでに多くのユーザーを抱えているので、最初から設計的にNFTで作っておくみたいなことを、運営会社がしそうな気がするので。
そうすると、「NFTじゃない状態のゲームのアイテムって何?」とか「メタバース上でのこの服って何?」みたいになってくるような気がしていて、そうなってくるとなんか一般化しそうですが、まだ早いですよね、そこまでは。
IAN:そうですね。そこでどうなんだろうって思っているのが、例えばゲームの場合、ゲームを運営するプラットフォーム側がオープン化してくれるのかなっていう点。
同じ企画だから同じNFTが使えますといったとしても、使えるようにしてくれないと使えないわけで。アバターとかって、そういった類いのゲームの貴重な収入源じゃないですか。
なんでもいいんですけど、例えば『荒野行動』だとして、 アバターは大事で、そこにオリジナリティとかがあったほうがいいよね、NFTの方がいいよねっていうのはすごくわかりやすいと思うんですけど。
それをプラットフォーマーが公開してくれんのかなっていうのを、最近モヤモヤ考えていたりしました。
けんすう:そうですね。めちゃくちゃ強いゲームであれば、多分閉じちゃったほうがいいと思います。
ユーザーがクリエイティブをやって、衣装を売ったりできるようになるようになったときには、やっぱりこのデータはオープンなほうがいいですっていう声は出てくると思うので。
IAN:ユーザーサイドは絶対にそうですね。
けんすう:そうですよね。だから、力関係がどうなるか次第ですよね。
IAN:あとは思想みたいなところですよね。
けんすう:プラットフォーム的なものを、FacebookとかがVRで覇権を取るみたいになったら、そうなり得るとは思うんですけどね。VR空間で世界がいくつもできるような気がするので。
中央集権的になりづらいのかなとは予測しています。
IAN:それはそう思います。間違いないです。それこそすごく昔から振り返ると、セカンドライフみたいな時代からあるわけじゃないですか。
アメーバピグとかは一定の規模まで行ったと思っているんですけど、なんで地団駄を踏んでいるんですかね。
けんすう:地団駄を踏んでいるっていうのは?
IAN:今、「じゃあ、メタバースって何?」って言われたら、多分みんなから出てくるものって、全然統一性がないと思うんですよ。
どうやったらNFTはマスアダプションに向けて動き出すんだろうと思っていて。
けんすう:NFTのマスアダプション問題ですよね。
IAN:そのためにはデジタルで、NFTを自慢できる場所とかが重要になってくると思っていて、メタバースだったりデジタル空間を作ることが一番相性がいいよねと思っているんですけど、それがまだまだ生まれてこないのはなんでだろうと思っていて。
けんすう:なるほど、実用性がないですもんね。
IAN:そうですね。でも、アメーバピグとか1年間ぐらいで、数百万ユーザーとか獲得したわけじゃないですか。
あれも、実用性があるかって言われたら、別に実用性はないわけで。それは他のSNSも然りだと思うんですけど。
前提として今より何もなかった、つまり可処分時間を奪うものがなかったとかはあるとは思うんですけど。
けんすう:そうですね。これをメタバースと呼ぶかどうかは議論で、私は呼ばない派ですけれども、やはりフォートナイトとかを遊んでいるから、別にフォートナイトで十分ですよね。
IAN:そうですね、それはありますよね。
「PORT」はどんな取り組み?
IAN:とすると、どうやったらマスアダプションしていくところがキーになるんだろうと考えて、僕はどちらかというとリアル領域でユーティリティを作っていくほうに今は振っているんですけど。
けんすう:ちょっとPORTの話もすると分かりやすいかなと思うんですけれど、実際PORTってどういうサービスなんですか。
IAN:そういえば、あまり話していなかったですね。現在、100くらいのNFTプロジェクトに参加していただいていて、そのNFTプロジェクトやホルダーさんをまとめて、私たちがユーティリティを提供するというプロジェクトです。
一定規模のホルダーにアプローチ出来る点を活かして、企業をマッチングし、企業からユーティリティを出してもらうっていうことをしていこうと思っています。
僕はバックグラウンドとして旅行や飲食などの領域に強いので、分かりやすく言うと、その旅行や飲食のクーポンなどを提供して、PORT経由の予約をしてもらうと、NFTにポイントが溜まっていくような仕組みを作っていて、NFTを育てるという感じになるのかなと思います。
けんすう:なるほど、例えばこのNEO TOKYO PUNKSのNFTを持っている人は、このホテルの割引が5000円つきますよ、みたいな特典をどんどん付与していって、NFTのホルダーさんは得するから嬉しいし、ホテル側からしてみたら、良質なお客さんを呼んでくれて嬉しいというわけですね。
IAN:そうですね。新規顧客という側面もありますし、例えばこれは宿泊施設に限った話になりますが、グループといっても、5施設ぐらいでやっているところが大半なんですよ。
それぞれがロイヤリティプログラムのような施策を打ち出したいと思いつつ、1施設や3施設でロイヤリティを運用してもしょうがないという課題があるんです。
結局それで全体の7〜8割ぐらいが、楽天さんやリクルートさんの予約サイト経由での予約になってしまいますし、そうすると利益幅が減ってしまうんですね。
それをNFTを活かして、Web3上に横串でロイヤリティプログラムを作って、直接予約を増やしませんか、という話をしてます。
けんすう:なるほど。2〜3店舗しかないホテルがポイントカードを作ったとしても、次に来るのは1年後とかになるので全然使われないし、結果としてみんな楽天トラベルなどで探して予約してくるから、お客さんは来てくれるけど、自分たちのファンでもないし、楽天さんに当然お金を払わないといけないので、それを突破したいという感じなんですね。
IAN:そうですね。それを、エンタープライズ向けにロイヤリティプログラムを運用し、それを使うユーザーを僕らがパートナーさん経由で持っているのでマッチングしますよ、という形で提案しています。
けんすう:なるほどですね。NFTプロジェクトがどんどん増えていって、500や1000になっていって、ホテルが1万個とかになってくると、規模的にはすごいなと思う一方、どのNFTを買ってもユーティリティが付いてくると、NFT同士の競争的には、このユーティリティがあるから入る、みたいにはなりづらいじゃないですか。
そういうところって、NFTプロジェクト的には……。
IAN:おっしゃる通りで、それをどうするかという問題を今、めちゃくちゃ考えています。NFTにもいろいろな種類があって、それぞれのNFTの価値というものをどう評価するか。
例えば、分かりやすく取引料や取引金額、取引高、ホルダー数で考えるとか、いろんな視点があると思っていて。
それこそ投機だとかフロアプライスみたいな話が出てくるように、単純な金額だけで考えると、またそれを加速させてしまうことにもなり得ますし。
プラットフォームとして強くなりすぎたときに、そういった方向性が加速されるのも嫌なので、どういう設計にするのかをすごく悩んでます。
ただ、最初はユーティリティの数も莫大にあるわけではないので、そういったマッチングを平たく全員が使えるようにするというところからスタートするんですが。
段階的に、どのNFTを持っているから、どのユーティリティを表示しますみたいなところを、企業側が選べるのもそうだし、僕らがリコメンドするのもそうだし、深掘りしていこうかなと思っているんですが。かなり悩んでいます。
けんすう:それは、ベネフィット・ワンみたいになっていくんですかね。
IAN:そうですね、ベネフィット・ワンとは違って、企業側からお金をもらっているわけではないので、その点は違いますが、サービスの設計としては近いと思います。
けんすう:ベネフィット・ワンを知らない人向けに言うと、企業が導入する福利厚生サービスで、企業が福利厚生を用意するのって大変なんですが、導入すると社員がたくさんのディズニー割引チケットなどを使えたりするというサービスです。
でも、NFTプロジェクト側からお金をもらうことは、なくはないですよね?
IAN:そうですね、PORTに加入していることで、NFT側が何か安定的な収益を得られる仕組みを作れれば、可能性はありますが、現状ではNFT自体の売り上げがほとんどだと思うので、難しいでしょうね。
けんすう:なるほど。このサービスはまだ始まったばかりだと思うんですけど、次の展開はどんな感じで進めていくんですか?
IAN:そうですね、3月20日にプロジェクトを発表して、正式にユーティリティの提供を開始するのが6月なんですよ。
その間に、僕らのメンバーシップNFTのようなものを来週の土曜日に発行します。
けんすう:もうすぐですね。これは売るんですか?
IAN:二つあって、一個はパートナーのホルダーさんに、SBT形式のものをエアドロップします。
もう一つは、Metakozoさん、NEO TOKYO PUNKSさん、Naito cat’s pajamasさんとのコラボNFTを販売します。
これはSBTではなく、NFTバージョンで、複数枚持っていると、SBTのランクアップに繋がる設計にしています。
けんすう:なるほど、まずはSBTとは何かを説明しないと、分からない人もいるかもしれませんね。
IAN:そうですね。SBTとは、譲渡ができない形式のNFTのことで、売却や他の人にあげたりすることができません。つまり、そのNFTはずっと皆さんのものになるわけです。
今回はフリーミントを予定しているのですが、パートナーさんが予想以上に多くなってしまって、延べのウォレットアドレス数が6万ほどあるんです。
それをユニークにして、全部送るのが思った以上に大変そうなので、まずはパートナーのホルダーさんにエアドロップをさせていただくことになりました。
けんすう:なるほど、無料でそれをあげるわけですね。ドキドキですね。
「分かりやすい事例」でNFTの認知を広げる
IAN:まあ、同タイプのプロジェクトがまだないんですよ。なので、どうなるんだろうと思いながらサービス設計をして、毎日仕事しています。
けんすう:一番成功したという状態は、どういう感じになるんですか。
IAN:まずざっくり言うと、僕らのユーティリティというものが、例えばPR的に乗っかっていって、市場全体が拡大していくのが、僕らにとってはベストだと思ってます。
ユーティリティ基点で、新しいニュースになり、新しいユーザーさんが入ってきて、NFT全体が盛り上がると、僕らのユーザーさんも増えてくので。
ユーザーさんが増えると、そこに対してアプローチしたい企業さんも増えて、というエコシステムが出来上がっていくんですよね。
けんすう:なるほど、ちょっと頑張ってほしいですね。我々のお客さんも増える。
IAN:でも、また明日か明後日かどこかで発表するんですけど、ハワイ州観光局さんとパートナーシップ組んで、ハワイでNFT的な体験をできるようにしよう、みたいなのも進めています。
IAN:結構、ハワイみたいなリアル要素を絡めると、非常に分かりやすい体験事例として紹介できるので、NFT業界に寄与できるところは結構あるんじゃないかな。
例えば海外のブルーチップだったら、空港のラウンジを無料で使えますみたいな事例があったりとか、そういうのって非常に分かりやすかったりするんですよね。
僕らはそういう分かりやすい事例をとにかく作って、NFT自体の価値をちゃんと裏付けする。
また、NFTってそういう使い方もできるんだって認知を一般層に広げていって、市場の拡大に繋げていければ、パートナーさんもPORTに加入している意味があるし、新しいユーザーも増えるし、みんなにとっていいことじゃないかなと思っています。
けんすう:これも、あえて意地悪な質問をするんですけれど……。
強くなったNFTプロジェクトが、大体こういうユーティリティ受けるんだな、じゃあ自分たちは独自でユーティリティ作ったほうが得だな、みたいに抜けていっちゃったりしないんですか。
IAN:まあ分からないですね。でもその状況になったときに、僕らもユーザー数を抱えてはいると思うので、対企業においては、加入することで有効な部分は絶対にあるはずです。
なので、あんまり深く考えてないのと、あとは、そのプロジェクトが抜けたとしても、ユーザーが抜けるかどうかは分からないので。
シンプルに、ウォレットアドレスベースというか、NFTを持っていれば使えるっていうものにはなってくるので。ユーザーさんと、NFTプロジェクトさんは厳密に言うと別だということです。
けんすう:あー、なるほど、なるほど。
IAN:でも基本的にはやっぱり、僕はデジタルの人格に色付けしてくれるNFTっていう概念そのものが好きなので、それらと一緒に成長していく未来を描きたいなっていうのが大前提ですね。
けんすう:今、例えば、このPORTをやってなかったとしたら、NFTでこんな事業もやりたかったなっていう案はありますか?
IAN:それこそ、僕は食材ハンティングがすごく好きで。僕、きのこ狩りとか魚釣りとか、とにかく食材を自分の手でとって、みんなで食べるっていう行為がすごく好きなんです。
それで、Web3業界に入る前は、飲食店経由で食材の流通をするみたいなプロジェクトをやっていたんです。ちょうどコロナ禍だったっていうのもあるんですけど。
皆さん、基本的に食材はスーパーで買うのが大半だと思うんですけど、僕はトマトがトマトとしてしか売られてない世界がすごく嫌で。
本当はやっぱり誰がどう作ったかで、トマトってかなり異なるんですよね。
けんすう:確かにそうですよね。
IAN:とはいっても、スーパーがそこを頑張ってトマトのディティールの説明をしても、お客さんにはあまり響かないんですよね。
であれば、自分が行きつけてる飲食店の人たちが、トマトについて語ったほうがより魅力が伝わるだろうし、価値が付くんじゃないかと考えて、飲食店をコミュニティの軸にした食材流通みたいなものにトライしたんです。
一つの飲食店あたりで数百万円が上がったりという事例は結構あったんですが、スケールのコストが大きすぎたのと、いろんな意味でスケールさせるのが難しいってことで止めちゃったんですけど。
やっぱりそういった食材とかの領域には関わりたいなってのは思っています。僕は、なんかITの最新のものから入るっていうよりは、そういう想いベースから入っちゃいます。
けんすう:なるほど。これはまたNFTとは全然違いますけど、あれですよね。
ちょっといい感じのお店に入ったら、このトマトがめちゃくちゃ美味しいんですよって説明されながら料理を出されて、ちなみにうちでも買えるんですよみたいに言われて買えるっていう。
IAN:そうです。それが、ミールキット風に買えたりとか。
けんすう:それは、確かに買っちゃいますね。
IAN:美味しかったら、やっぱり買っちゃいますよね。ただ、コロナ禍が終わっちゃうと、そもそも食材保管しておくスペースがなかったりするんです。
結構、他にも問題が生じてきてしまうので、それを解決しようと思うと、結構なコストもかかったりして。
けんすう:確かに美容院とかだと、美容院が作ってる独自のワックスとかで、最後に髪の仕上げをしてもらってやって、これ買えるんですよって言われると買っちゃうし。
そういうものだと、在庫の保管も楽そうですけどね。
IAN:そうなんです、食材はやっぱりシビアなので。やっぱり冷凍庫や冷蔵庫が必要だったりしちゃうと、大変なんです。
コロナ禍の間は、飲食店の支援策としては、非常にいいものがあったんですけど。
やっぱりその常連さんとかも、なかなかお店に行けなくて、家で作れるみたいなミールキットとかを売ると、買ってくれる人が多かったりしたんです。
今、若手起業家に勧める事業は?
けんすう:今、若手起業家から、何で起業したらいいですかって相談されたら、何を勧めますか?
IAN:思い浮かぶのはやっぱりAIですよね。
けんすう:そうですよね。
IAN:今やるって言ったら、やっぱりホットなのは完全にそこですよね。
大きいものを作るのは結構難しそうですけど、ちょっと小さくてもいいなら、いろんなところに応用がきく技術なので、結構生み出しやすい気はします。
けんすう:実際、AIで何か作ろうと思ったら、今だったら何を作りますかね?
IAN:難しいですよね。自社でも入れられちゃいますからね。SaaS的って言っても、別に自社で導入したほうが早いじゃんってなっちゃう。考えたときに、そうなっちゃうんですよね。
けんすう:そうですよね。SaaSが要らなくなる領域も結構ありますよね。
IAN:そうですね、いや、本当にそうなんですよね。ビビるくらい優秀ですよね。
けんすう:友だちが自分のやってるホテルの予約システムをChatGPTベースで作っていて、コードを見たんですけど、結構衝撃を受けて。
かなりの部分はもうChatGPTのプロンプトでやっちゃっていて、書いている構造がすごく少ないし、めっちゃ楽してるんですよ。
ユーザーが使うときも、4月の11日から13日みたいなカレンダーの選択をするんじゃなくて、「来週の最初のほうで」みたいに言っても、「ここが空いてますよ」っていうやり取りができたりするので。
すごく便利だなと思いました。
IAN:すごいですよね。だから、短期的にその導入とかで稼ぐみたいなことはできそうですけどね。
あの規模の開発っていうのは、もう本腰を入れてやらないと、そもそものモデルの開発は難しいですし。
けんすう:そうですよね。どこでやるかは逆に難しいですよね。
IAN:ちなみにけんすうさんは、若手起業家から相談が来たらどうするんですか?
けんすう:何も分かってないけど、メタバースだって言ってますね。でも、最近投資したやつだと、フォートナイトのステージを作る制作会社みたいなものがあって。
まあ、100パーセント無理だろうなと思って、面白半分で投資したんですけど、めちゃくちゃ伸びていて。
確かに、メタバース的なものを作りたいというとき、お金がかかるのでフォートナイト上でやるといいですよと言うと、安い割にユーザーがめちゃくちゃいるので、宣伝効果がすごく高いんです。
なので、案件をすごく取りやすいんですよね。
IAN:なるほど、なるほど。
けんすう:さらに最近、フォートナイト内でホリエモンこと堀江さんのステージを作ったんですよ。
ホリエモンのステージというか、堀江さんがやっているロケットの会社のステージですね。
それで、ちゃんとゲームとして成立しているというか。なんか未来に飛ばされて、そこがゾンビに襲撃されていて、ちゃんと守るみたいなストーリーがあるんですけど。
例えばこれ、ロケットに広告を貼れるよねとかで、クラウドファンディングで売ったら売れるんじゃないみたいな話もあって、意外とビジネスとしても応用がききそうみたいなのはありますね。
IAN:へー、面白いですね。
けんすう:あとは、スコラボってところに投資して、めちゃくちゃ面白いなと思ったんですけど。
VTuberとかが使う配信の背景の画面をいい感じに作れるっていうサービスで。
HTMLベースでやってるので、結構インタラクティブなことができて、時計が表示されていたりとか、天気を出すとかもできるんですけど。
めちゃくちゃニッチだなと思ったんですよ。
IAN:めちゃくちゃニッチですね。
けんすう:ぱっと聞いた感じだと、そうですよね。
でも、確かに一回の配信で10万人に見られる人が、それを使ったら、インプレッションが10万なんですよ。
そこに、なんかファンが送ってくれたやつとかを飾っていたりするんですね。
例えば、何か送ってもらったら、そのECの画像を取ってきて、飾っていたりして。
そうすると、ファンもよりプレゼントを送りたくなったりするし、何よりその背景で広告とかを出しますってなったときに、そこはYouTubeに取られないんですよね。
IAN:なるほど、なるほど、
けんすう:「10万人が見るので、後ろにポスターを貼りませんか」みたいなことをやると、まるごとお金が入ってくるみたいなことができるので、意外とありなんじゃないかって思っています。
頭がいいなと思いました。
IAN:なるほど。あらゆるところが広告スペースになるみたいなところ。
けんすう:確かに、意外とVTuberの背景を作るのは大変だし、さくっと作れたらいいんですよね。
その上で、広告枠になったらいいし、その広告枠って例えば10万人を呼べるVTuberが100人いると、1000万インプレッションになりますよね。
それで、広告を売れるので、代理店としては結構いいですよね。
IAN:しかも滞在時間も結構長いですしね。
けんすう:なので、やっぱり既存の空間の上に、コンテンツのプラットフォームを作る系みたいなものが、今、個人的におすすめしてるやつですね。
VTuberのYouTube配信の背景を取るとか、フォートナイトの中のステージの制作を取るとか。プラットフォーム自体は結構難しいと思ってるので、日本では。
IAN:そう、難しいですよね。
けんすう:やっぱりここ5年で成功したスタートアップって、やっぱり、ANYCOLORとカバーが強かったなと思うと、YouTubeとかを作るのではなく、YouTubeの上だけのビジネスをやるのでも、あそこまで行くんだというのがあるので、その辺かなと思っています。
これはやらないですけど、最近だと、AIによってグラビアアイドルみたいなものを作って、その写真集をAmazonでめちゃくちゃ売ってる人とかいますよね。
IAN:それ、売れているんですか?
けんすう:僕もメンバーから聞いて初めて知ったんですけど、Amazonで電子書籍の写真集のランキングを見ると、上位がAI写真集ばかりなんですよ。
IAN:えー、それ知らなかった。めちゃくちゃ面白いですね。
けんすう:そうですね。しかも、Kindle Unlimitedに加入している人は無料で見れるコンテンツなんですね。
レビューは全然良くないんですけど、結構アテンションを集めてしまうので。しかも、死ぬほど量産できるじゃないですか。
なんかあり得ないシチュエーションとか、普通だと作らないようなニッチなものでも、たくさん作ることによって収益を上げているみたいですね。
IAN:それって、写真集化する意味ってあるんですかね。マネタイズですかね。
けんすう:マネタイズでしょうね。Unlimitedが今はおいしいって気づいたんでしょうね。
あとはDLsiteとかでも、そういうイラストパックみたいなものが結構売れていたりするので。
IAN:面白い、知らなかった。
けんすう:なんか、1ページ読まれると0.5円入るらしいですね。なので、逆に言うと1000ページぐらいのAIグラビア写真集みたいなものを作ったとして、読む側も「全然いいのないな」と思いながらペラペラめくっていても、結構お金が入っちゃうんでしょうね。
IAN:面白いですね。やっぱり制作コストを下げられるから、いろいろやり方がありますよね。それがコンテンツとして成立するのであれば。
けんすう:おそらく、気づいている人が少ない間に、短期集中で稼ぎまくるみたいな感じなんでしょうね。
IAN:これは多分、作っているのは完全に個人ですよね。それで、DMMとかのジャンルを全部書き出して、パターン化してやるみたいな感じのことをやっているんでしょうね。
けんすう:いるんでしょうね。だから、2ちゃんねるのまとめに気づいた人とか、YouTubeの切り抜きに気づいた人みたいな感じで、気づける人っているんだなと思って。僕らがやるかっていうと、全然やりたくないんですけど。
IAN:ちょっとそういうハックはやりたくないですね。
けんすう:やっぱり、表面的な利益を得るみたいなところなので。なるべく本質的な価値を追及していきたいところです。
Web3の未来はどうなる?
けんすう:時間も残り10分ぐらいです。今後、NFTってどうなっていくと思うかみたいなところを聞いてもいいですか?
IAN:そうですね。今だと、デジタルの自分とリアルの自分はそんなに大差ないですけど、冒頭に言った通り、やっぱりデジタルの魅力に惹かれています。
未来が短期的にどうなっていくかは分からないですけど、デジタルとリアルの主従関係が、逆転するとまでいうと語弊があるかもしれませんけど、デジタルの領域が市民権を得る世界観は少なくとも近いと思っています。
数年以内には来ると思ってるので、そのときに使えるサービスを作っていきたいと思います。NFTを通じて、もっと色付けされた世界観がすごく好きなので。
けんすう:そうですね。僕もデジタルとリアルの主従関係が変わると思っています。すでにIANさんと話すときも、リアルよりもネットの方が多いですし。
会社でも、ZoomやSlackがほとんどで、仕事の上ではデジタルが主になってるという状態です。生活もLINEでやり取りする友だちのほうが多いと思います。
リアルで会って楽しいことはなくならないけど、家にいても友だちと30分ちょっと仮想現実の世界で遊べたりすると、より楽しいと思います。
5年から10年以内には本当にひっくり返ると思ってます。
IAN:そう思います。
けんすう:それで今、AIを使っておしゃべりslothくんみたいなものを試していて、自分だけのペットのような感覚を持てるNFTを作って見ようとしています。
ChatGPTで会話ができるように試しているんですけど、全然いけるなと感じています。
また個体によって性格を変えたり、服装によって発言内容が変わるみたいなこともやりたいと思っていて、そうなるとやっぱりNFTで所有したいという気持ちになってくるんです。
IAN:うん、うん。
けんすう:逆に、転売や二次流通で売ってしまったら、前の飼い主の影が見えるとかだと、若干なんか生々しいじゃないですか。
個人情報にはもちろん気をつけた上で、例えばこの人は3人目の飼い主だと意識させるようなことを言われたら、売りたくないと思うかもしれないとか、やたらと離れることを寂しがるとか、そういう感じにしたときに、本当に命を感じたりすると面白いですよね。
IAN:確かにそうですね。それで言うと、この前PORTでデモグラフィックデータをちょっと取ってみようということで、取ったんですよ。
まず、3月くらいに、電通さんがWeb3の生活意識調査みたいなデータを出していて、それによると、Web3への認知度が一番高いのって、15から19歳だったんです。
それに対して、実際のデモグラはどうなっているかというと、一番のボリュームゾーンは35から40歳なんですよ。
そのギャップがすごく面白くて、話を聞いてみると、それこそ30から40歳で全体の7割ぐらいいるんです。それで、細かくヒアリングしていくと、奥さんに黙ってやってますみたいな話が結構あったりして。
なんか、そうじゃダメだなとすごく思っていて、要は、奥さんに黙ってやるものって、一般化しないよねって考えていて。
なので、これを持っていると家族旅行が安くなるんだよっていうだけで、多分すごくイメージが変わるし、僕らとしてはやっぱりそこを変えていきたいというか。
けんすう:確かに。
IAN:もちろん若年層から流通していくのが、僕はベストだと思っていて、それこそけんすうさんがYay!とやっているような取り組みはいいなと思いつつ。
どちらかというと、今使っている年齢層の人たちが、例えば旅館が空いているときだったら旅館の部屋がアップグレードされるとか、そういうことを自慢として語れるような体験を作ってあげられると、もっと人に伝えやすく、広まりやすくなるんじゃないかなと考えていて。
短期的な未来としては、そういう人に言えるっていう話をとにかくたくさん作っていくのが、僕らとしては分かりやすく、やるべきことなのかなって思っています。
けんすう:確かに、今は怪しげですしね。さっきメンバーも言っていたんですけど、NFTについて何度家族に説明しても分かってもらえないって言っていて。
そうなると、「儲かるんだよ」っていう方向に行っちゃうけど、「じゃあ、今の収益はどうなの」って聞かれたときに価値が下がっていたりすると、変な投資に手を出したみたいな感じになっちゃうんですよね。
IAN:分かります、分かります。
けんすう:そこがありますよね。
IAN:旅行は本当に素晴らしいと思っていて、何と言っても、旅行自体がポジティブな体験ですし、ディスカウントできる幅も結構あるので。
例えばIT系の人が多い場合、土日ではなく平日に泊まってもらえば、空室率が高いのでディスカウントがききやすいということがあります。
そういう意味で、割とアレンジが効くので、交渉をうまく行って、NFTを持っているからこそ安くなったというようなポジティブな体験を作っていくことが大切だと思います。
けんすう:旅行なら家族も巻き込めますしね。
それで、今聴いている人の中には、NFTプロジェクトの方もいると思うんですが、自分のプロジェクトをサポートしてほしいと思ったら、どうすればいいんですか?
IAN:ホームページ上に問い合わせフォームがあるので、そこからご連絡いただければ、2〜3日以内に返信します。
基本的には、まずは全体を盛り上げることを優先していて、NFTによって扱いを変えることはしたくないですね。
それぞれのNFTにアイデンティティがありますし、それを愛している人たちがいる限り、それだけで十分価値があると思っています。
ただ、運営がきちんと更新しているかどうか、想いがあるかどうかは確認させていただきます。
けんすう:そうですよね、変なプロジェクトとかはちょっと。
IAN:そういうのはすべてスルーしていますが、ちゃんとDiscordやTwitterで毎日投稿していて、想いが感じられるものであれば、基本的には全て受け付けています。
けんすう:興味がある方は、早めに参加したほうがお互いにとって得ですね。
IAN:そうですね、全て無料なので、特にデメリットはないと思います。
けんすう:最初に乗ったほうが、リスクなしに得をすることができますからね。
IAN:はい、最初に参加してくれた方には、恩返しをしなければならないと思って、ユーティリティ開発も含めて、非常に頑張っています。
けんすう:他に告知事項はありますか?
IAN:特にないですが、4月22日にミントがあるので、パートナーのNFTを持っている人は全員、エアドロップを受け取ることができます。
結構な数が対象になっているという。マティック(※仮想通貨の一つ)なので、両替が面倒ですけど、もしよろしければ一枚くらい持っていただいて。
持っていなくても、パートナーのNFTのホルダーの方々には、無料のSBTをエアドロップする予定なので、ぜひ眺めてもらえればなと思います。
けんすう:ありがとうございます。それでは、私たちからの告知として、slothという着せ替え可能なNFTを頑張って作っています。
最近はデジタルペットのような、一緒に暮らす感じのキャラクターをデジタル上で作れないかと模索しています。
着せ替えたり、一緒に遊んだりできるような体験を提供できることを目指していますので、興味がある方はリンクからサイトをご覧ください。そんな感じですかね。
IAN:はい、ありがとうございました。
けんすう:またぜひお話させてください。PORTも楽しみですね。
IAN:頑張ります、ありがとうございました。
というわけで、IANさんとの対談記事でした。
繰り返しになりますが、きせかえできるNFT「sloth」、一般販売中です。
NFTを買ったことがない、という方向けのヘルプページも用意しましたので、こちらもぜひご覧ください。
NFT初心者でも大丈夫!sloth初心者ガイド
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