インターネットの次元が減る動きと、増やす動き

いま、バーグハンバーグバーグのシモダテツヤさんが書いた『日本一「ふざけた」会社の ギリギリセーフな仕事術』を読んでいるのですね。

これがめちゃくちゃおもしろくて、仕事の参考にもなるし、読み物としても、まあ素晴らしい。ふざけたことばかりをやっているようで、仕事を徹底的に丁寧に真面目に取り組んでて、それでいて成果もだしているという、お世辞抜きで他に類を見ないすごい会社だなと感じたのです。

この本は、出版された当時から、本屋などで話題になっていました。僕もシモダさん本人には「すごいよかった」「さすがだと思った」という、読んだふりをして絶賛してたのですが、今はじめて読んだところ、想像以上によかったのです。

で、これをTwitterとかFacebookにあげたいなーと思ったのですが、iPadで読んでいると、シェアしづらいんですよね。スマホでAmazonのURLをシェアしようと思ってもなんか面倒なんです。

今の時代、スマホでシェアしやすくないといけません。そして、こういう経験が何度かあって、最近紙の本をまた買うようになってきました。

Kindleが大好きで、常に読める便利さと、早く読み進められる感じですっかり電子書籍派になっていましたが、最近、なんとなく紙の本もいいなと思い始めてきました。紙の本だと、写真にとって、すぐにシェアできるんですよね。

写真のシェアの時代の技術

何が言いたいかというと、スマホ時代って、写真にとってシェアすることが多くなって、URLの時代じゃなくなったんだなと。URLのほうが便利じゃん、と思っていたのが我々インターネット世代だと思うのですが、今やInstagramで写真をとって一言添えるほうが多くなってきたなと。

食べログのURLとか昔は貼っていましたが、今や単に料理の写真をとって、せいぜい店名を書くくらいだったりします。

No URLの時代といいますか。

インターネットというのは、ハイパーリンクでつながることで、非常に複雑な次元を生成されていたものです。紙の本の例をなぜ冒頭で出したかというと、紙の本は、極めて一直線なのですね。最初から最後まで読むという形です。もちろん辞書のような、参照系もあるのですが、基本的には一直線。

書籍は一直線ですが、たとえば雑誌だとどうかというと、直線ではないが、少ない次元でコンテンツを楽しめるという感じです。どこを読んでもいいが、世界観は同じみたいな。

しかしインターネットで一直線を作るのは難しい。雑誌のように一度手にとったら、比較的読まれるのと違い、ネットのサイトでは、1記事に来てもらっても、常に他のサイトの記事と競合し続けないといけないわけです。なので、雑誌のように世界観を作るのも、ちょっとむずかしい。上位のサイトくらいしか世界観を作れなかったわけですね。

これが競争によって記事ごとのクオリティをあげる面もありますし、クリックさせるために過激でカロリーの高い記事ばかりが作られて、多様性がなくなっているという面もあると思います。

しかし、そのハイパーリンク性がかなり弱まってきている。アプリも同じように、リンク性が少ないため、次元が制限されている。そのため、一つのアプリをインストールしてもらえれば、そのアプリ内に閉じて時間を潰すようになるため、あまり多種多様なサイトに飛ばなくなる。こういうことによって、また、書籍や雑誌のような雰囲気が生まれているのではないかというふうに思っています。

NewsPicksとかのオリジナル記事が最近すごいおもしろいなとおもって読んでいるのですが、これはNewsPicksというアプリの中に閉じているからではないかと。NewsPicksを使っていると、他のサイトにあまり飛ばないですからね。ああいう形は非常に強い。

もしかして、パソコン時代の、次元が多すぎてあちらこちらのサイトに飛ぶというのは人類には早すぎたのかもしれないなあ、と思います。

今後の動き

このように、特にメディア界隈だと、アプリを出すことによって、次元を制限し、世界観を維持して、粘着性を持たせる、ということができていますが、この次元がまた増えていくことはあるのかという点が気になります。

たとえば、画像認識とかがさらに進化すると。Googleがやりかねないのは、Androidスマホのデフォルトの機能として「今みている画像を認識して、関連する検索結果に飛ぶ」などは考えられます。Instagramを見ていて「あ、この服かわいいな」と思ったら、ホームボタンを長押しすることによって、その服が売っているECサイトの検索結果に飛ぶ、などです。

Googleは複雑な次元の中で「情報を整理する」ということによって莫大な利益をあげている会社なので、次元を増やしにかかると思うんですよね。なので、こういうことが起きると、また1URLごとの複雑な状況での戦いに戻るかもしれません。

いやあ、どんどん進化して楽しいですね。

おわりに

何にびっくりしたかというと、「すごいことに気づいた」と思って今ブログに書いてたら、3年近く前に同じことを書いていたことです。

シェアするのに、URLのリンクである必要はない気がしてきた : けんすう日記 

進化していなくておもしろいですね。

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【新連載】古川健介『TOKYO INTERNET』/第1回 東京っぽいインターネットサービスは「遊び半分」がキーワード|宇野常寛とPLANETS編集部|note 

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