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#NFTの未来を語る 「投機」は限界?次のキーワードは所有と存続

こんにちは!

今日は、「#NFTの未来を語る」というシリーズの対談記事をお届けします。

NFTという、最近よく見聞きするけど「なんだかよくわからないもの」について、初心者の方でも雰囲気が掴めるような企画を目指しています。

というわけで今回のゲストは、VeryLongAnimals(ベリーロングアニマルズ)という、長い動物のNFTを作っているAkimさんです。

この記事の内容は、Twitterスペースの録音から聴くこともできます。

きせかえできるNFT「sloth」、一般販売中です!

長い動物と、ゆっくりなナマケモノ

けんすう:というわけで、Akimさんでございます。パチパチ、パチパチ。

Akim:ありがとうございます、お招きいただいて。よろしくお願いします。

けんすう:まず最初にAkimさんの自己紹介をしてもらいましょうか。お願いします。

Akim:VeryLongAnimals(ベリロン)というプロジェクトの、アーティスト兼ファウンダーをやっています、Akimと言います。よろしくお願いします。

VeryLongAnimalsとは、NFTのプロジェクトです。このスペースにも何匹かいるんですけども、顔がちょっと長いなってアイコンがいたら、大体べリロンでして、僕たちの仲間です。

OpenSeaより

ベリロンは、短い流行りとか、短い熱量とか、短期的な収益とかに囚われてしまいがちなNFT業界において、世界で一番長くあろうとするプロジェクトとしてやっています。

本当に、長く長く続けるために、いろんな工夫をして運営しています。 

他のプロジェクトとかの違いとしては、あまり金銭的なモチベーションが激しめの人が少ないというか、 のんびりやろうみたいな感じがベリロンでは強い感じですね。ちょっと、ふざけて楽しもうみたいな感じの雰囲気です。

ベリロンのNFTの値上がりの動きがあった、とかの話はなくはないんですけど、比較的少ないんです。その点で、珍しいタイプのコミュニティになっているかと思います。

よろしくお願いします。

けんすう:ありがとうございます。私からもちょっと自己紹介すると、アルというクリエイターさん向けのサービスを作ってきた会社の代表をやっております。

今は、結構NFTのほうに力を入れておりまして。クリエイターさんがこれから世界で活躍するとき、僕はやっぱりコンテンツをベースにして、その上でクリエイターさんが活動できるみたいなのが、日本の勝ち筋としては、一番いいんじゃないかなと思っています。

その点、NFTはかなり可能性があるなと思って、今、力を入れてやっているという感じです。

最近だと、slothという着せ替えができるナマケモノのNFTを作っておりまして、本体のNFTと衣装のNFTを合成すると、一つのNFTができるみたいな感じのものをやっています。

slothのざっくりとした説明

けんすう:自分が好きな衣装を着たナマケモノを作ることができるし、そのまま一つのNFTとして販売することもできます。

いろんな楽しみ方ができるNFTが作れないかなー、と思いながら、がんばっていたりします。お願いします。

Akim:sloth、めちゃくちゃかわいいですよね、僕も買いましたし、なんか虹色のピカピカのナマケモノが出てきました。 

けんすう:ありがとうございます。ベリロンさんともコラボさせていただきました。

Akim:衣装、どれだけ長いものをくっつけれるかっていう、斜めの画角を攻めないと、最大限に長くできないっていうので、ちょっとぶっ刺す形になってしまいましたけど。

けんすう:こんな感じですね。

他にも、NFTプロジェクトとか、デザイナーさんとか、アーティストさんとか、企業さんとか、いろんな人とのコラボを進めています。

Akim:かなりやってますよね。

けんすう:そうですね、もう何十個とやっているんですけれど、大きな企業とか、有名な人とかだと、 NFTを始めようと思ってもなかなか難しいじゃないですか。

Akim:難しいですよね。

けんすう:「アローリスト(※略してALとも呼ばれるNFTの優先購入権)を配ろう」とか、なんか知らない、怖い単語がたくさん出てくるので。

マーケティングも特殊すぎて、企業には対応しづらい点も多く合って。なので、slohtとコラボすると、衣装を作るだけなので、それなら手離れもいいし、リスクも少ないよね、という状態を作っています。

それで、一緒にやっていただける方が多くて。

そういうので、どんどんコラボを増やしてる感じですね。

Akim:いいですよね。ベリロンとのコラボ、最初はちょっと命がないんじゃないかっていうレベルで刺さっていたんですけど。

ボツ案

今は、ちゃんと着せ替えられるアイテム的な設定にしてもらって、こう、体には刺さってないよってやつになってますね。

ここまで長さにこだわってくれて、感動しました。

けんすう:そうですよね、最初は普通に縦に長かったんですけど。

初期のボツ案

Akim:なんか申し訳なさそうに提案してもらって。「これ、ちょっとあんまり長くないんですけど、どうですかね」みたいな。

それで、「最大限に長くするなら、刺すパターンもあるんですけど」みたいな感じで別の案ももらって、「じゃあ、それで」みたいな感じで決まりましたね。

けんすう:ありがたいです、コラボしていただいて。

Akim:いや、こちらこそありがとうございます、ありがとうございます。

とりあえずシリコンバレーに行ったら、お金がなくなった

けんすう:それで、今日はですね、「NFTの未来を語る」という話なんですけれども。

まず、ベリロンってどうやって始まって、途中ではどんなことを考えて、将来的にはどうなるんだろうと考えてるのか、みたいなことを、時系列で教えてもらってもいいですか。

Akim:分かりました、ありがとうございます。ベリロンは、去年の2月25日が誕生日なんですけど、大体一年ちょっと経ったみたいな感じですね。一歳ちょっとです。

僕、なんか起業家だったんですけど、なんかあまりパッとしたアイデアとか実績もなくて。

とりあえずアメリカのシリコンバレーに行ったら何か起きるのではと思って、アメリカに飛んで。でも、アメリカ人の友だちとかもいなくて、何も起きなかったんですけど。

お金だけなくなっちゃって、そこで起死回生の一手として作ったのがベリロンです。

けんすう:起死回生のために、一発で狙っていたんですか。

Akim:なんかNFTとか流行り始めてたんで、帰りの飛行機代とかがこれで手に入るんだったら、相当すごいなと思ったりしてですね。

絵とか描いたことなかったんですけど、ちょっとドット絵を勉強して、NFTっていうのも勉強してみたいし、みたいな感じで。

流石に始めた当時は、これを一年間、自分のライフワークとしてやろうなんて夢にも思っていなかったですけど。

けんすう:最初はちょっと軽い気持ちというか、試してみようみたいな感じで。

Akim:軽い気持ちですね。「これ、おもしろくね?」みたいな感じで。そうしたら、めちゃくちゃ売れてですね。

けんすう:おお、めちゃくちゃ売れた。

Akim:めちゃくちゃ売れて、毎日出したら1秒で完売みたいな感じ。どんどこ売れてて、なんか値段とかも結構上がっていって、注目されたりして、開始2週間くらいで、なんかアンチとかが出始めて。

けんすう:おー、すごい早い。

Akim:僕、アンチがついたの初めてだったんで、ちょっと感動して。「おれにアンチがいる!」と思って、感動しました。

で、「なんか値上がりしてるからすごい」くらいで終わるのは、なんかちょっと嫌だなと思ったんです。所有者のコミュニティとかも結構、形成され始めていたので。

値上がりして目立つNFTプロジェクトってだけじゃなくて、もっとなんか、人が居着くような場所として、 ベリロンを作っていけんじゃないかなとか。

あるいは、もっとおもしろいコンテンツにできるんじゃないかなと思って、それから本腰を入れて、いろいろ二次創作し放題の設計にしたりとか。

あとは、ベリロンに対して貢献度が高い人は、ポテトっていうポイントがもらえて、それを持っているとNFTが手に入ったり、グッズが手に入ったりするみたいな仕組みとか。

いろんなイベントの企画とか、コラボとか、そういったことをやりながら、本業にしていったみたいな感じです。それが、去年にやってきたことで。

けんすう:なるほど。

NFT業界の課題「フロアプライスコンプレックス」

Akim:これからに関しては……。この前、「フロアプライスコンプレックス」っていうnoteを出したんですけど。

Akim:まあ、ベリロンも、価格が値上がりした影響で目立ったという点もあるので、すごい恐縮なんですけれど。

こう、NFTがフロアプライス(※最低落札価格)に依存して、フロアプライスがあまり伸びてないと、なんかイケてないプロジェクトみたいに見られてしまう現状は、かなり限界に近いと思ってます。

そもそも、NFT業界の中に閉じこもるのも限界だと思っているので。まあ、今後、注力していくのは、消費的な商品として買われていくこと。 

NFTって、PFP(※Profile Pictureの略でSNSのアイコン用画像のこと)的なものが基本ですけど、僕たちの場合は、もっとおもちゃを買うような感覚で買ってもらえるようなものを、NFT業界の中では目指していく。

あとは、TikTokみたいなNFTの範囲を超えたところで、ベリロンというキャラクターそのものの認知を取っていくみたいな。

その辺りに力を入れていって、ベリロンの影響力を大きくした後には、ベリロンで生活していく人、ベリロナーっていうのを生み出せたらなって思ってます。

もうすでにいるんですけど。 ベリロンに貢献をするだけで生活している人って、いるんですど、そういった人を増やして、居場所みたいになればいいなって思ってます。 

ライフスタイルですかね、ベリロンってライフスタイルになったらいいなって思ってます。

けんすう:初心者の方も聴いていると思うので詳しく聞きたいんですが、NFT業界だと、最低価格という意味の「フロアプライス」を気にする人が多いってことなんですかね。

Akim:そうですね。NFT業界とかに馴染みがあまりない人からすると、多分、なんのこっちゃって感じだと思うんですけど。

要するに、何を評価するにしても、そのプロジェクトってどんな感じなのかって、何かしら評価軸みたいなものが大体あるじゃないですか。

YouTuberだったら、登録者数とかですよね。ライバーさんだったら、配信の同時接続人数などになります。

そういう、評価軸を大事にしてらっしゃる方って、多いと思うんですよね。

その点、NFT業界の場合、やっぱりNFTってふわっとしすぎてて、みんな、あるプロジェクトにどれくらいの影響力があるのか、どうやって測ればいいかが分からなくて。

それが今までだと、

  • NFTが取引された合計の「流通額」の大きさ

  • 「フロアプライス」という、出品されているNFTの一番安いものの価格

とかが高かったりすると、いいプロジェクトっぽいという価値観がある感じなんです。

けんすう:なるほど。なぜ、そういう価値観になったんですか?

Akim:いろんな理由があるとは思うんですけど、、

まずNFTは、ブロックチェーン上で動いているものです。

ブロックチェーンといえば、ビットコインとかをはじめ、トークンのやり取りをするシステムで、それに興味を持っている人たちのコミュニティがもともとあってですね。 

それで、NFTというのは、そういった金融的なカルチャーがもともとあったところに、クリエティブなものが乗っかるような形で登場してきたわけです。

なので、最初は仮想通貨とかに詳しい人じゃないと、参入が難しかったという経緯があって、今も業界にはトレーダー的な人がすごく多いんですよね。

けんすう:なるほど、なるほど。

Akim:コミュニティの中には、特にNFTブームが始まった後は、ものすごくトレーダーの方が多いんです。
 
ちょうどDeFi(※ブロックチェーンを基盤にした金融サービス)ってやつとかも流行っていたタイミングで、金融っぽいノリがあるんですよ。

すみません、ちょっと、説明がかなり長くなっちゃってるんですけど。

けんすう:あ、大丈夫です、長い分には。長いのはいいことです(ベリロンだけに)!

Akim:やっぱり、トレーダーの人とかがすごい多いと、トークンの価値が上がっているかどうかってすごく大事で。

流動性っていうんですけど、取引しやすさが高いかどうか、みたいな部分が超大事なんですよ。

その人たちの価値観からすると、NFTに関しても、出品されている最低額が高いってことは、価値が高いように見えやすいし、なんか高級感があるように見えたりとか。

あとは、安いところから高く上がったので、成功しているプロジェクトだ、とか。いっぱい取引されているってことは、流動性があっていい、みたいな。

という感じで、いろいろな背景はあると思うんですけど、そういった流れがあったのは事実だと思います。

NFTの売れ方は、変わってきている?

けんすう:うーん、なるほど。それって、今もそうなんですか。それとも、変わってきているんですか。

Akim:変わってきていると思っています。

例えば、もうこれは世界的なことなんですけど、フロアプライスがすごく高くて、10ETHみたいなプロジェクトがいっぱい出たんですね。

けんすう: 10EHTって日本円に治すと、今の価値でいうと、200万円〜250万円とかですよね。

Akim:最低で、200万円とか。「Bored Ape」という王様みたいなやつだと、本当にすごく高くて、2000万円とかだったりするんです。

そことかはなんか、所持している人たちの、仮想通貨界隈の成功者のコミュニティみたいな側面とかもあって。 そういう会員権的な文化も混ざりつつ、構成されていったんですけど。

そういったコレクションが、いくつか崩れ落ち始めているみたいな現状がありまして。割と海外の傾向もいろいろ追ってるんですけど、雰囲気的にはちょっと渋い感じが出ています。

もう、少なくとも、「これから上がりはしないよね」みたいな感じはめちゃくちゃ出ていますね。 

この先上がらないような、むしろ下がっていくものを、みんながなんか大事にしているような感じになっちゃっているので、日本にしても海外にしても、このままでいいんだっけ感はすごくあると思います。

そんな中で、RedditというプラットフォームがNFTを出したら、これまでのNFTのカルチャーに馴染みがない人たちで、「単純にかわいい」という理由でNFTを買う人がたくさん出てきたりとか。

そういった動きなんかも、しっかり起きているので、フロアプライスが大事みたいな状況から、少しずつ変わり始めているのかなと思っています。

けんすう:トレーダーの人が一定数いるのは、いい面もあると思うんですけど、新しく入ってきたNFTを買うお客さんって、どんな人たちなんですかね。

Akim:いや、それすごく難しいですよね。

けんすう:普通の人が買うようになるとかは、まだみんな、現実的じゃないふうにみんな言いますけどね。

Akim:実感値で言いますと、インフルエンサー周りは強いなと思いますね。

今、僕はアイコンをYouTuberのいぬたぬきさんって人のアイコンにしているんですけど、その方が「もうYouTuberはやめてNFTを本腰でやる」みたいに言うと、すでにファンの方たちがついているんです。

こう、ファンがごそっとついてくるというか、興味を持ちたくなっちゃうというか。

そういったところから知って、「NFTとか買ってみるか」みたいな気分になってくるみたいなことがありますよね。

インフルエンサーの人とかがNFTを出して、コミュニティのマネジメントとかもがっつりやるのであれば、結構な数は来るかなと思います。

けんすう:うーん、それって買う人たちは、どういう気持ちで買うんですか。

Akim:やっぱりこういうクリエイティブ系のNFTは、持ってることが大事みたいな部分があると思っていまして。

ファンであるアイデンティティを示すものって、なんかデジタル上だと、意外とあまりないみたいなところがあるじゃないですか。

けんすう:はいはい、確かに。

Akim:デジタル上で、「おれこれが好きなんだよね」っていうやつ。その所有感を得られるものってあまりなくて、そういう機能を果たせるのかなって。

例えば、Repezen Foxxとか、ライブに行ったらもらえるみたいなNFTをやっていますけど、このNFTを持っていたり、アイコンにしていたりしたら、すごいファンなんだと一発で分かったりとか。

そういったファンコミュニティの中での自分の立ち位置とか、アイデンティティとか、実績とか、ファン度みたいなのを表現していくものとして、結構、有用なのかなと思ったりしています。

けんすう:うーん、なるほど。ファングッズ的な感じが、次は来るんじゃないかってことですね。

Akim:デジタルファングッズ的なところは、分かりやすいかなと思っています。

けんすう:それはありそうですね。その場合だと、やっぱりフロアプライスとかはどうでもよくて。

Akim:そうですね、そこまでだと思いますね。

けんすう:逆に言うと、デジタルのファングッズとかを買っても、好きじゃなくなったら、 その後に売れる可能性があるっていうだけでも、嬉しいかもしれませんね。

Akim:そうですね。まあ、転売したら買ったときの半分くらいの価格で売れるとかでも、すごく良かったりすると思っています。

けんすう:確かにいいですね。

NFTって、名物店長がいる飲食店みたいな感じ

けんすう:ベリロンは、先ほどお話しされたような形もあると思うんですけど、ファングッズ化みたいな方向ってあるんですか。

Akim:なんというか、僕が発信してるからこそのベリロンみたいな部分が、結構あると思っていまして。

自分で言うのもなんですけど、ある種、僕のファングッズみたいな気持ちで買ってる人もいると思うんです。

NFTのある種の新しさだと思うんですけど、ファウンダーがあまり発信していないけど、うまくいっているプロジェクトってあまりないんですよ。

今、NEO TOKYO PUNKSNIKOさんがスペースにいらっしゃっていますけど、やっぱりNIKOさんっていうクリエイターさんの魅力があるからこそ、みたいな部分があって。

けんすう:確かに。

Akim:slothにしても、けんすうさんの世界観とか発信があってこそみたいな部分もあると思いますし。

今までのピュアなIPと、インフルエンサーによるプロジェクトの、なんか中間みたいなところはあるのかなと思います。

けんすう:確かに結構、ファウンダーの色が濃く出ますよね。

Akim:濃く出ます。飲食店とかに近いですね。

けんすう:あー、それ分かりやすい。

Akim:みんな料理を食べに来ているんだけど、名物店長みたいな人がいないと全然違うみたいな感じ。

別にその店長のファンってわけじゃないし、店のファンなんだけど、その店長は絶対に必要みたいな感じがある気がします。NFTプロジェクトって、大体そんな感じというか。

けんすう:それはありますね。おもしろいですね。まあslothについても、やっぱりベリロンの方向性とちょっと近いなと思っていて。

現状、フロアプライスもそうですし、アローリストで安く販売して、買えた人は高く売るみたいな文化って、初心者はめちゃくちゃビビるじゃないですか。

Akim:怖いですよね。

けんすう:怖いですよね。それで、やっぱり実態として、NFTを出したときに起こるのが、例えば「4000円で買ったものを2万円で売れました」みたいな人が賞賛されがちなんですけど。

その差額の儲かった分って、大体その後から入ってきた人とか、本当に応援したい人とかが払ったお金だったりするので。

そういう人が増えれば増えるほど、純粋な気持ちで応援しようと思った人が、損するんじゃないかって恐怖に駆られてしまうということが、結構あると思っています。

そういった流れから離れたプロジェクトがもっとあってもいいかなと思って、slothは作っていたりしますね。

Akim:非常に共感しています。

けんすう:まあ、投機が目的の人がいると流動性が上がるので、全体的には結局ポジティブではあるんですけど。 

分かりやすく、安く買って高く売るって人がいると、可視化されしやすいので、 情報を持っていない人とか、詳しくない人から見ると、なんか詳しい人たちにうまくやられているんじゃないかって思ってしまう側面があるなと思っています。

Akim:なんか、いろんなゲームとか、全部そういうものだとは思いつつ、NFTはそういう側面がすごく見えちゃうから、そういう話ばかりになっちゃうところがありますよね。

けんすう:そうですね。よく、「お金の重力」って話をするんですけど、やっぱりNFTのおもしろさの一つが売買であることは、間違いないとは思うんです。

けれど、その話が中心になると、 分かりやすすぎるんですよね。

Akim:そうですね、最終的に時給換算するだけの世界になっていっちゃうというか。やっぱり味気ない方向の重力がすごい強くなっていくっていうのが、現時点での特徴だと思いますね。

けんすう:だからイメージとしては、1万円で買ったものが10万円で売れましたってなると、当然嬉しいんですけど、 1万円が10万円になったんだよっていう話をしちゃうので、聞いた側はそそられないですよね。

そのイラストの良さとかの話にはならずに、「え、そんなに儲かるんだ」から興味を持っちゃうっていう。

Akim:なんか、売買のためにNFTに触れていると、パチンコをやっている時間とか、株をやっている時間とか、そういう時間との比較になるじゃないですか。あるいは、働いている時間とか。

なんか、それらとぶつかるのはかなり変だし、不利でもあると思います。

けんすう:そうですね。なので、デジタルデータを所有する楽しさから、だんだん広がっていくんじゃないかと僕は思っています。

コンセプト重視のNFTが、来る?

けんすう:というところで、NFTの未来について、もうちょっと深掘りしていきたいんですが。

ベリロンは、ロングとか長いとかに結構コミットしてると思うんですけど、その辺って今後はどうなっていくんですか。

Akim:あ、どんどん伸びますね。

けんすう:どんどん伸びる・・・?

Akim:はい。僕たちの読み的には、いろんなプロジェクトがすぐ局所最適に行っちゃうというか。

言い方はかなり良くないんですけど、なんか、だんだんみんな人気がなくなっていく可能性が高いなとは思っていて。

やっぱり大事なのは長く続けることというか、 そのお金っぽい変な重力で人を引きつけずに、局所最適にならず、楽しさを積み重ねていくことだと思うんです。

それが自分のやりたいことでもありますし、本当におもしろいNFT発のコンテンツとは、そういう志から生まれるんじゃないかと考えてます。

けんすう:とにかく長い……長期目線がやっぱりキーワードになるんですね。

Akim:キーワードですね。僕たちの場合は、ジェネラティブ(※イラスト素材を機械的に組み合わせることで、たくさんのNFTを生成する手法)が流行っているときとかも、あえてやらなかったんですけど。

これは、いろんな考え方があると思うんですけど、僕たちはあえてやらなかった。

けんすう:それは、長期目線でそのほうがいいと思ったからですか。

Akim:ジェネラティブについても、多分、知らない方がいらっしゃると思うので、説明しますと……。

すごくざっくり言うと、なんか1万枚くらいの絵を一気に作って、販売して、ドカンと価格が上がったら、盛り上がるみたいな感じになりやすいやり方です。

別にそれが目的じゃないとは思うんですけど、なりやすいモデルです。

けんすう:パーツとパーツを組み合わせて、1万通りとかを作って売るみたいな感じですよね。

Akim:そうですね。結構似たような絵柄のNFTを売って、それでコミュニティを作っていくみたいな。あとは、お金の調達の手段だったりもするみたいな、いろんな側面があります。

それで、それを長期でやれる場合もあるかもしれないですけど、短期になるか、長期になるか、なかなか制御しきれないような部分がありまして。こう、コミュニティをリードしきれないみたいな。

けんすう:あー、なるほど。

Akim:やってしまうと、そういうことが起きそうだなって思ったんで、やらなかったですね。

けんすう:なんか割と、slothだとゆっくりみたいなのがキーワードだったり、ベリロンだと長いだったり。そういう分かりやすいコンセプトのものが今後増えていくのかなって気もちょっとしていて。

例えば、今聴いている人の中にいる、吉川めいろさんという方は迷路クリエイターで、めっちゃすごい迷路を作れる人なんですけど。

Akim:ほうほう。

けんすう:この吉川めいろさんは、迷路のMEICAっていうカードのを地方自治体と組んでやってたりしていて、NFT化したらおもしろいかもね、みたいな話があるんですけど。

めいろさんはもうめちゃくちゃ迷路を作れて、公園とかに設置してある、子どもが遊べる迷路とかのプロデュースとかもされているすごい人なんです。

明確に、迷路というキーワードがあるし、迷路って「迷う」みたいなところから、「寄り道しよう」みたいなメッセージの作り方もできると思うので。

そういうキーワードがあると、めちゃくちゃ強いなと思いますし。

Akim:そうですね。

けんすう:もう一人、ここにいらっしゃる、罵尻ロマ子さんという方が、罵倒の女王というコンセプトでNFTをやられていて。

Akim:僕もいつもブヒブヒ言わせてもらってます、はい。

けんすう:分かりやすいし、ちょっとおもしろいなと思っています。

Akim:おもしろいですよね。やっぱり、コンセプトが明確なものが、めちゃくちゃ強いと思います。

けんすう:そうですね、やっぱり「罵倒」って聞くと思い出しちゃうとか。

よく第一想起とか言ったりしますけど、「長い」と聞くと、ベリロンを思い出すみたいな部分を大事にしていくのは、結構重要だなと思っています。

でも、やっぱり長いはいいですね。長いは。

Akim:長いは、かなり使いやすいです。

けんすう:なんか、資本主義のルール自体が、お金を稼ぐとか、早い方がいいとか、成長速度がすごいほうがいいみたいな。

Akim:大体、短いほうがいいという価値観ですよね。

けんすう:短いほうがいいとされる中で、長くやり続けるのが大事みたいな価値観をアピールしていくと……。

なんというか、資本主義によって抜け落ちちゃった部分というか、今みんなが足りていないと思うような成分ですよね、長いって。素敵だなと思っています。

お金の話を始めたら終わっちゃう

Akim:ベリロンもこれからどうしようかなと考えていたんですけど、 やっぱり行き着く先は、長生きし続けるだけだな、みたいに思いまして。

以前も、けんすうさんに一回相談したことがありましたけど、資金調達とかをがんばって、すごいスピードで上場するぜみたいなことを目指すと、僕たちはちょっと台無しになっちゃうんだろうな、みたいな感覚がありますね。

けんすう:Akimさんには以前、LINEで送ったんですけど、「ファイナンス」っていう言葉は、「fin」って最初に入っていますよね。

フィンはもともとラテン語で「終わり」みたいな意味で、よく映画の最後に入っていますよね。あとは、罰金という意味の「fine」とかもそうですけど、お金で終わらせるみたいな意味合いがあるらしいんですよ。

要は、あらゆる世の中のどうしようもないことって、解決法として、お金で終わらせられるみたいなイメージが、英語圏にはうっすらとあると聞いたことがあって。

ベリロンで言うと、その「ファイナンスしない」とかはまさにそうだなというか。お金の話があると、話って終わっちゃうんですよね。

Akim:いいこと言いますね、終わっちゃうんですよね。

けんすう:そうなんです。だから、「NFTをやっています」って話したとき、「おもしろいですね、それでいくら儲かったんですか」って言われちゃうと、話が終わるんですよ。

Akim:これ、怖いですよね。めっちゃ怖いですし、めっちゃ分かります。その後、なんか話そうってなりにくいですよね。

けんすう:という感じで、長いは、確かにおもしろいですね。

Akim:やっぱり最近、その辺のカウンターみたいな空気ができてきているのかもしれません。みんなちょっと、今のNFT業界の空気になんか疲れている感じはするので。

NFTにしても、社会全体にしても、もうちょっとのびのびしたいなみたいな部分はあるんじゃないかと思っています。

けんすう:すごくざっくり言うと、ポスト資本主義に向かっているなかの一つの要素として、サスティナブルみたいな物もありますし、それに近いんでしょうね。

Akim:ちょっと、教科書に載りたいですね。このとき、ベリロンっていうなんか長いムーブメントがあって、それはなんか歴史的には超重要だった!みたいな。

けんすう:なるほど、後々ね。

Akim:はい、研究対象にされたいですね。

ゆっくり長く続くほうが大事

けんすう:いいですね。まあ、我々のslothもゆっくりです。

Akim:それは、気になります。

けんすう:何をゆっくりとして見るかですけど、やっぱり最近は何もかも速すぎて、一週間前の記事をシェアしたら、「めちゃくちゃ昔の話をしないでください」って言われたりとか。

このまま行くと、おそらく人間の認知できないスピードになっていくんだろうなと思っていて。勘なんですけど、今って結構、人間がついていけるギリギリの速度だと思うんですよ。

Akim:僕、実は小っちゃいときからよくノロマと言われてまして。僕も、置いていかれています。

けんすう:この状況は置いていかれますね。

よく言うのが、pixivによって、いろんな人がイラストをネットに投稿するようになり、人々が見れる絵の数が革命的に増えたじゃないですか。

そんな中、pixivが15年間くらいかけて集めてきた絵の数を、AI生成イラストの数がもう抜いているんですよ。

去年とかの段階でそういう話だったので、おそらく近いうちに、一日で15年分くらいの絵が作られるようなことが、起こると思うんですね。

そうなってくると、もうコンテンツなんて見きれないよねってなるし、ChatGPTによって小説とかでも同じようなことが起こってきたりとかしそうです。

今日、shi3zさんという方が、ChatGPTで普通に書くよりもかなりスピーディーに本を書いたよと言っていたんですけど、本を書くのってすごくパワーがかかって、人力だと、どんなに一生懸命やってもやっぱり1ヶ月とかかかるんです。

それが、AIによって数時間で書けたりしちゃうようになると、もう生産性が異常に上がりすぎて、誰もついていけなくなりそうだなと。

Akim:そうですね。

けんすう:だから、「ゆっくり楽しむ」みたいな観点を持つといいんじゃないかなっていうので、ナマケモノのNFTを始めました。

Akim:なんか、残業とかしているらしいですね、このナマケモノたちは。

けんすう:そうですね。slothくんは社畜のナマケモノってコンセプトで始まって、 ただ、やっぱり社畜はかわいそうだから、今は仕事をがんばるみたいな言い方にしています。

Akim:毎日、終電まで働いている。

けんすう:まあ、毎日終電まで働くっていう行為が変わらなくても、気持ちはナマケモノみたいにゆっくりしようみたいな、そういうノリがちょっとあったりしますね。

Akim:いいですね、ゆっくりだけどがんばっているっていうのが、やっぱりいいですね。やっぱり今、なんか認められにくいじゃないですか、ゆっくりだけどがんばっている人。

けんすう:あー、確かにそうですね。

Akim:でも、本当はみんなそういうペースでやりたいことがあるはずなので。うん、すごくいいなって思います。

けんすう:さっきのベリロンの話にもちょっと近いんですけど、昔からIT業界で言われるのが、「なんだかんだ最後まで立っていられるやつが勝つ」みたいな話があって。

割とこう、みんなが参入して、バタバタ倒れていく。諦めていくなかで、残ったところが勝ちみたいなことが、よくあるんですよね。

よく言われるのが、先行者利益はそれほどない。検索だったらGoogle、SNSだったらFacebookは、どちらもかなり後発だったんですけど、少なくともやめていないみたいところは大きくて。

Akim:そうですね。ベリロンも、ちょっともたついたり、なんかトラブったりして、予定どおりに行かなくても、まあとりあえず続けようみたいなことを大事にしています。

けんすう:大事ですし、「立ち続ける」って決まっていると、心も安らかですよね。

Akim:そうですね、安らかなんです。やっぱりNFTとか、一事業者として、ファウンダーとしてやっている人って、すごく焦っちゃうと思うんです。

フロアプライスがミント割れ(※フロアプライスが一次流通での販売価格を下回ってしまうこと)したら、今までやってきたことは全部台無しになってしまう、みたいに感じてしまうと思います。

自分の場合は、そう思わなくていいようにしているみたいなところがあります。とにかく、いいと思えるものだけを作っているみたいな。

けんすう:普段、「ビジネスモデル的にはどうするんですか」とか言われないんですか。

Akim:まあ、ファイナンスはできないんですけど。やっぱり、すごくいいことをしているという自負があるので、寄付とかを集めていますね。

ベリロンっていうものを通して、人と出会って転職できたみたいな人や、生活が変わったとか、クリエイターになれたとか、そういう方がたくさんいらっしゃって。

けんすう:なるほど、寄付をね。

Akim:そういえば今日、じゃがりこさんとのコラボを発表したんですけど、そういった案件とかでお金をもらったりもしますし。

NFTの売り上げとかもあるので、それらを全部足し合わせたら、人数がすごく少ないので、余裕でいけるんです。

けんすう:なるほど。

Akim:二人月くらいですね、ベリロンは。僕プラス1、みたいな感じです。土日は、なんか0.3くらいの人が3人くらいみたいな。

けんすう:そのぐらいの人たちが生きていけるようなのだったら、続けられるみたいな。

Akim:そうですね、それはそんなに難しくないので、いけるんじゃないかなと思ってます。そのお金が得られればいいくらいの感じなんで。

Web2.0の歴史をなぞる

Akim:やっぱり結論を言うと、NFTの未来として、ロングとスローに僕たちは賭けていくってところが、今日の大事なところですよね。

けんすう:そうですね。これ、僕よく言うんですけど、YouTubeが出たとき、2005年ぐらいかな。 当時、ネット業界的には激震だったんですよ。

今聴いてくださっている若い方たちは、あまりイメージがつかないと思うんですけど。

「これ、やばいね」って話がすぐにされていて、それを見たテレビ業界の人たちもめちゃくちゃ研究するし、自分たちでもやってみるし、未来についていろいろ予想されていて。

ただ、2年経っても3年経っても、まあすごいんですけど、テレビに比べたら全然すごくない感じがしたんですね。

Akim:うん、うん。

けんすう:結構、時間がかかるねと思っていました。

2010年ぐらいに、テレビ業界の人と話したときに聞いた話が印象的で、「YouTubeは来ると思っていたし、確かにちょっと来たけど、やっぱりテレビのほうが圧倒的に影響力があると分かったので、テレビをがんばっています」みたいに言っていて。

なるほどなと思ったんですけど、結局、芸能人が本格的にYouTubeを始めたのが2018年とかで。なのでやっぱり、イノベーションが起こっていく期間って、多くの人が想像するよりも長いんですね。

Akim:今NFT業界にいる人たちって、アーリアダプターばかりで、すごく考え方がせっかちな傾向にあるというか、「今やりきらないと終わりだ」みたいな感じがあると思うんですけど。

結局、NFTに関しても、僕のお母さんとか、地元の友だちとか、ITにそこまで詳しくない人が普通に触れるようになるまでは、全然まだまだだろうなと。

だから、それまでやる。それまで、居続けるっていうのが何より重要で、他は誤差みたいな感じなのかなと考えています。

けんすう:それはありそうです。これも昔話で恐縮なんですけど、Googleが出たときって、業界の人はみんな「今更、検索エンジンかよ」みたいなことを言っていたんですよ。

もう、散々掘られた結果、ここでビジネスは成功しないと証明された、分かりきったことみたいなイメージが、マジであったんですね。

Akim:うん、うん。

けんすう:検索なんて、ポータルサイトの上にちょっとあって、集客として少し使うだけのものだよね、みたいに思われていたんですが、もちろん全然間違っていて。

Googleが起こした革命は世界を変えたし、ビジネス的にも非常に優れていたわけで。そういう歴史から考えると、今のNFTって、1997年ぐらいのインターネットっぽい匂いがするというか。

Facebooなんかも、人気でしたけど、学生に閉じたニッチなサイトという見られ方でした。当時、ニューヨーク・タイムズとかの記事で見た覚えがあるのが、「こんなものは絶対ビジネスにならない」と書かれているんです。

Akim:うん、うん。

けんすう:「100億PVくらいを目指して、広告を載せたりするつもりなのかな」みたいに、皮肉で書かれていたんですけど、本当にそういうビジネスを目指して、企業として成功しているので。

やっぱり、すごく賢い有識者の人とかが言っていたことは、結構間違っていたなと。

Akim:そうですね。だから僕も、なんか賢い人の話をあまり聞かないようにしています。もちろん、参考にはするんですけど、信じるかどうかは結構、意図的に信じないようにしているときがあるみたいな。

けんすう:90年代に出されたインターネットの本を見て答え合わせするのが趣味なんですけど、当時ギークと言われていた、よく分かっている人ほど外しているんですよ。

すごく現実的な見方をしてしまうんだと思います。一方で、よく分かっていなさそうな、うさんくさい感じのビジネスパーソンが言っていることは結構当たってたんですよね。

Akim:はい、はい。

けんすう:みんなインターネットで好きなときに映画を観るようになるとか、 誰しも自分の動画とかを出して、リアルタイムに生中継みたいなことができるとか、なんでもインターネットで買うようになって、そのうち食料や服も買うようになるだろうとか。

そういうことが書いてあるんですけど、有識者ほど、映画の容量なんてめちゃくちゃ大きいから、回線がどんだけ進化したとしても、 みんなが使うようになったら重くて使い物にならないとか言っているんですね。

オンラインミーティングとかは、ものすごい通信量が必要なので、リアルに取って変わることはないとか、食料や服はやっぱり体験が大事なので、流石にネットでは買わないとか。

なんかそういう、よく分かっている人ほど現実的なことを言っちゃうんですけど、そういう問題は意外とすぐ解決されちゃうっていうのはおもしろかったですね。

Akim:技術的なところは世界で一番賢い人が担当すれば、それだけで一気に世界中のあれこれが変わっちゃうので。

NFTでもそういうことって、普通に起きるんじゃないかっていうのは思っています。

「所有」がキーワード

けんすう:今のNFTがどうなるかは分からないですけど、「デジタルデータの所有」は確実におもしろいと思うんです。

結構、所有に関しての本や論文を最近読むんですけど、所有って結構難しいというか、曖昧なんですよ。

レンタカーは所有感がないけど、リースにするとみんな所有感を感じるようになって、掃除をするようになるとか。そういう研究データがあるんです。

Akim:おもしろいですね。

けんすう:そうなんです、所有権は移ってないんですけど、所有感が出ると行動が変わる。

だから、ブロックチェーンがどうとかは、結局、普通の人はよく分からないけど、NFTだったら所有感が強くなるみたいになると、おもしろいんじゃないかと。

marimoというNFTをやったときは、名前を付けられるようにしただけで、所有感が出るようになったりとか。

marimoには名前がつけられる

そういったいろんな部分で、デジタルデータに所有感を持たせることは、今後もできそうなので、そこを突き詰めていくとおもしろそうだなという気はしてますね。

Akim:そうですね。僕も本当に、ピュアにその一点だけに注目しているというか。ベリロンはかわいいとか、好きっていうだけで買っていく人たちが増えると思っています。

けんすう:かわいいですね、ベリロンは。

Akim:長い、かわいい、おもしろい、それだけみたいな感じで。その上で、買うと、同じようにベリロンが好きな人たちとコミュニケーションできて、それも楽しいみたいな。

なんか、「こういう仕組みがあるからおもしろい」みたいなことはいくらでも言えるんですけど、究極的には、「なんかおもしろいから欲しい」みたいな状態を目指していきたいと思っています。

けんすう:どこかの部族の話で、なんかでかい石が、お金的な役割になるんですけど。何かを買うとき、その石の所有権を渡すらしいんですね。

ただ、口頭で「あげる」というだけなんですよ。それで、そのでかい石がどこにあるかというと、海の底に沈んでるらしくて。

要は、動かせもしないし、なんなら本当にあるかどうかもよく分からないけど、取り引きが成り立つのがすごくおもしろいなと思って。

Akim:おもしろいですね。でも、NFTってほとんどそんな感じですよね。

けんすう:「なんで20万円も出してまでこれが欲しいんですか」って言われたときに、説明ができないのが、やっぱおもしろいなと思いました。

Akim:よく考えてみたら、この土地が1000万円みたいな話も、かなり訳が分からないと思うんです。その土地が自分のものみたいなことが、概念としてあることが。

それって、究極的には、カルチャーとか、雰囲気とか、すごく曖昧なものでしか保証されてないなと思うんです。まあ、法律で決まっているとは思うんですけど。

けんすう:ネイティブアメリカンの人とかは、土地を所有するって概念がなくて、「あの土地を売ってくれ」って言われたとき、「神様が作ったこの土地を人間が所有できるわけないじゃん」みたいに言うとか。

Akim:なんか、資本主義のお金とかの取り引きって、大体は所有しているもののやり取りじゃないですか。

実はでも、その所有であったり、やり取りするっていう概念自体が、実はものすごく曖昧だったりするなと。

だから、なぜ売れるかみたいなことももちろん、考えたほうがいいとは思うんですけど、とりあえず前に進むほうが大事みたいには思っています。

現実的に考えすぎると、よく分からなくなりますし、逆になんか変なことしちゃう気がしていて。

けんすう:ピーター・ティールの先生だった人の授業の話を読んだんですけど、所有の本質とは「模倣すること」みたいな話があって。

その話を聞いて、Facebookを見たときに、模報の欲望をめちゃくちゃ刺激するから、「これはめちゃくちゃ来る」と思って投資したみたいな話があるんですよ。

モテてる異性は魅力的に見えるとか、 全然欲しいと思っていなかったものだけど、隣の人とか憧れの人が持っていると欲しくなるとか、それまで全然気にしていなかったのに、同僚の年収がすごく上がると自分も上げたくなるとか。

かなりの部分が、実は模倣によって成り立っているという話で。欲しいという気持ちのうち、生理的欲求とか、生存本能に関係ない部分においては、ほとんどが真似であるっていう話です。

Akim:あー、なるほど、おもしろいですね。そうすると、ベリロンは、「おれも長くなりたい」とか、「長い仲間になりたい」みたいに気になってくるとか。

けんすう:そうですね。なんかちょっと仲間に入りたい感じの長さ。

Akim:最初はちょっとだけ気になって、だんだんいてもたってもいられなくなるみたいな感じにしたいなと思っています。

けんすう:ベリロンを買って、アイコンに設定すると、ポテトが付与され続けるみたいな施策を打つといいかもしれませんね。

Akim:それ、ちょっといいですね、やります。今聴いている方で、ベリロンを持っている人は、ぜひアイコンにしておいてください。

さいごに

けんすう:というわけで、だらだら話した結果、質問が0という感じで時間になりました。

Akim:じゃがりこのコラボびっくりってコメントしか来ないですね。でも、僕はすごくおもしろい話でした。

けんすう:やっぱり、長いとかゆっくりって本当に大事だなと思うのが、3ヶ月とかかけて作ったプロジェクトで、 プレセールとかやって、初日にバーって完売しましたなのか、完売しませんでしたなのかで、それだけが結果のように感じてしまう。

初日に完売しなかったというだけで失敗みたいになってしまうのは、すごくもったいないと思っていて、初日に5個しか売れなかったとしても、がんばったものの良さをちょっとずつ、一生懸命伝えていって、ファンを少しずつ増やして、というふうに売っていければ、それは素晴らしいことだと思うので。

こう、簡単に諦めてもらいたくないという気持ちがありますね。

Akim:みなさん、ロングを大事にしてください。

けんすう:最後に何か告知したいことはありますか?

Akim:あの、じゃがりこのキャンペーンをやってます。じゃがりことベリロンがコラボしておりまして、長いお菓子だったので、コラボせずにはいられないということで、してもらいました。

けんすう:コラボせずにはいられないって、いいですね。

Akim:コラボせずにはいられないですよねという話になって、やらせていただきました。

けんすう:すごい、そんなことあるんだ。

Akim:限定のNFTを100名様に無料で配るというので、抽選でリツイートとかしてくれた人から抽選になっています(※現在は終了しています)。ぜひ皆さん参加してください、お願いします。

けんすう:我々からも、slothというプロジェクトをやっておりまして。

着せ替えができるんですよ。例えば、音楽好きだったら、ヘッドフォンをしているslothをプロフィール画像にするとか。自分のslothに自分の好きな服を着せることによって、より自分のアイコン感が出るんじゃないかなと思っているので。 

あとは、いろんな企業とコラボを進めていますけど、好きなブランドだから着せるとか。それこそ、じゃがりこを手に持ったナマケモノにすることで、もう一段階、自己表現をリッチにできないかなと思っています。

一般販売でゆっくり売っていて、 8400個ぐらい売れたのかな。本体とアイテムを合わせて、一日30個くらいずつを売っていくみたいな、苦行のような売り方をしています。

興味がある方、あの、助けると思って買ってください。以上です。

Akim:あと、僕からもう一個だけいいですか。ベリロンも新しいコレクションがもうすぐ出ますんで。

けんすう:それ、聞いてないですよ?

Akim:だって、言ってないですよ?

けんすう:どんなやつなんですか?

Akim:ベリロンを、イーサリアムで、フルオンチェーンで1111体出します。 ベリロンのドット絵のいつものアニマルズで、違う種類のやつが出ます。

でも、一気に出るわけじゃなくて、なんか34体とかずつ毎日出るみたいな感じです。

けんすう:全部、手で描いてるんですか?

Akim:描いてますよ、一体一体。

けんすう:大変じゃないですか?

Akim:まあ、大変ですよ。でも、チームで描いてます。僕だけじゃないです。

けんすう:一年に100体ずつ出て、11年とかかけて売っていくみたいな、そういう感じですか?

Akim:流石にもうちょっと短いです。半年から一年くらいかけて、ミントが終わるんじゃないか、というイメージです。

途中でプレゼントしちゃったりとか、ポテトと交換しちゃったりとか、イベントの景品とかにしちゃったりとか、いろんなやり方で、いろんな人の手に渡っていけばいいなと思っています。

けんすう:いいですね、楽しみです。それでは、時間が過ぎちゃいましたが、長い分には許されるということで。

今日は終わりたいと思います。本日は皆さん、ありがとうございました。

Akim:ありがとうございました、またお願いします。皆さんも来てくださって、ありがとうございました。


というわけで、ベリロンのAkimさんとの対談でした。

対談の中でも紹介していますが、きせかえできるNFT「sloth」は一般販売中です!

着せ替え機能も公開しました!衣装やアイテムを自由に着せ替えて、あなただけのslothをぜひ育ててみてください。

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