【保存版】セカンドクリエイター時代のIP戦略
こんにちは!
アルという会社で、IPとか、キャラクター周りのことを最近よくやっている、けんすうと申します。
今日は「この時代にIPはどう展開していくといいのだろうか?」みたいな話をしたいと思います。
漫画やアニメ、キャラクタービジネスだけでなく、多くのブランドが「IP化」していると思っているんですが、そうすると熱狂的なファンの活動が大事になってきます。しかし「じゃあコミュニティ作ろうか」となっても、多くの会社はコミュニティなど作ったことがないのでやり方がわかりません。
結果として、「予算かけたけど熱狂度が低いコミュニティが出来上がる」みたいなことが起きてしまいがちです。まあそうですよね・・・。
そこで個人的に注目しているのは「セカンドクリエイターがいかに参加したくなるか」です。セカンドクリエイターと呼ばれる人たちが参加をすると、コミュニティが盛り上がりやすくなり、IPの人気も高まっていく、という流れをよく見ます。
そのことについて書きます!
セカンドクリエイターとは?
セカンドクリエイターとは、要は「単なる消費者ではなくて、クリエイティブ活動にも参加する消費者」みたいなものです。
元々は、キングコングの西野さんが言っていました。
インターネットが普及する前から「同人誌による二次創作」とか、ファンアートみたいなものは盛り上がっていましたが、インターネットの普及により、それが加速しています。
先日、とあるVtuber系の仕事をしている人と話したんですが「日本のVtuberが他国よりも圧倒的に強いのは、ファンによるクリエイティブがあるから」と言っていました。それがあるから盛り上がりが違うと。
例えば、「マリンのお宝」という宝鐘マリンさんのファンアートのハッシュタグがありますが、非常に多くのクリエイティブが投稿されています。このことにより、Vtuberのファンたちは高品質のイラストを楽しめますし、Vtuberからしてみたら、1枚作るのに数万円以上コストがかかるものを、ある意味では無料で活用することができるのでビジネス的な優位性があります。
クリエイターも搾取されているわけではなく「人気のVtuberのファンアートを作ることで、フォロワー数を伸ばしたり、仕事が来たりする」という面もあるので、Vtuberもファンもクリエイターも得をしているという状態ですね。
とはいえ、インターネットを長らく触ってきた人たちからしてみれば「そんなの昔からあるのでは」と思うかもしれませんが、最近、ここが大きく変わろうとしている予感があります。それは「セカンドクリエイターもマネタイズできるようになっている」点です。
セカンドクリエイターがマネタイズをできるようになったことで「好きだから活動する」とか「好きだからつい表現してしまう」から、「インセンティブがあることで、より経済圏が拡大する動きになる」というのが起きているのかなと。
マネタイズできるようになった理由
前提:クリエイターエコノミーの発展
これはまず、前提としていわゆる「クリエイターエコノミー」と呼ばれるジャンルのサービスが増えたのは大きな要因です。
noteで有料の記事を売ってもいい、YouTubeで投げ銭をもらってもいい、pixivFanboxでサブスク課金をしてもいい、などです。
割と昔からあるような感覚がありますが、クリエイターに直接お金を払ってもいいかも?という雰囲気が出始めたのは2018年くらいからです。システム的にはもっと前からあっても、直接課金が許され始めたのは、僕の印象ではそのくらいからですね。
ちなみに2000年代は、ブログを書籍化するだけでも、金儲けだと批判されて炎上したりしましたし、広告を貼るだけでも銭ゲバ扱いされました。2010年代は、広告は許され始めたんですが、クラウドファンディングなど、ファンからお金を取ることは炎上の対象の時もあったりしました。2010年代後半くらいから、推し活ブームなどの影響もあり「直接課金が許される」みたいな感じになったかなあ、と。
オリジナルは難しい
というので、クリエイターがファンから直接課金をしてもいいようになって、多くのクリエイターがそういう稼ぎ方をできるようになったのですが、だからといって「オリジナルのコンテンツで稼げる」というのは難しい行為です。
というのも、クリエイターにとってみれば、オリジナルでお金を取るというのはなかなか大変なことです。まず作品を知ってもらう必要がありますし、そこからファンになってもらう、というのはかなり敷居があるのですね。
そういうことから、少しずつ「セカンドクリエイター的な動きをしていく」というクリエイターが増えていきている気がします。
例えば「ゲーム配信」などはちょっと近いかなと。これも「ゲームのタイトルの知名度とかに乗っかって配信をすると見てもらえる、そして投げ銭などをしてもらえる」という要素が強くあります。そして、ゲーム会社からしてみても「宣伝になるし、盛り上がるからOK」という流れがあります。ある程度のルールを守ってくれれば、どんどんやって欲しい、というゲーム会社も増えています。
今後どういう流れが来るか?
上記のゲームの例だと「自社で、ゲームのコミュニティを作るのは難しいが、ゲーム配信や、ファンブログなどで活動をしてくれる人は助かる」みたいなのがどんどんと進んでいっています。この流れは今後、ますます加速するかなと。
では、今後、セカンドクリエイターはどうなっていくのか?というのを予想しますと・・・。
トークンコミュニティ
まず「ユーザーからの課金や広告で稼ぐだけじゃなくて、トークンのようなものをもらえる」みたいな形は増えそうです。
slothというブロックチェーンを利用したキャラクターを展開しているのですが、
これのコミュニティは、フィナンシェというトークンが発行できるサービスを使っています。
その結果「何か作品を作ったりすると、トークンがもらえる」という流れができました。
これにより、二次創作や漫画などが多く出来上がりました。作品はもう700件を超えているそうです。運営者も全然把握していません。
ゲームを作っている人もいるそうです。
また、もはや好き勝手にビジネスをしていい雰囲気になって「どこでもslothというキャラクターぽくなれるシールを販売する人」が出てきたりもしています。
最近では、本丸の「着せ替えができるNFT」というところの、「本体や衣装も自分で作っていいよ」としたら、爆発的に衣装が増えました。
僕のアイコンもsloth準拠なので、セカンドクリエイターが作ってくれた衣装を着ることができます。
「いやいや、こんな流れ、二次創作界隈ではよくみてきたよ」と思うかもしれませんが、これのポイントは、slothという、「さほど人気がないキャラクターで行われている」ということなのですね。
めちゃくちゃにファンがいたら「そういうのをやってくれる人もいるかな」と思うのですが、このslothの場合、「セカンドクリエイターの活動自体で、キャラクターが盛り上がってきている」というのが重要なポイントかなと思っています。
グッズを作って売れる時代?
そんなこんなもあったので、「Fanspire(ファンスパイア)」というサービスも初めてみています。
簡単にいうと「IPが登録をして、こういう感じでグッズを作っていいよ」とすると、セカンドクリエイターがグッズを作って売れるみたいなやつです。Tシャツとかパーカーとかを作って売ることができます。
セカンドクリエイターのアイデアやセンスで勝手に作られちゃうのですが、ファンも気に入ったデザインのグッズを買えて嬉しいし、IPも勝手に盛り上がってくれるし、一部のお金が入る、クリエイターも好きなIPのグッズが作れるし、なんならちょっとお金も入る、という形にしています。
ちなみに少しずつIPも拡大しているのですが、よければ以下から登録してください。
お金儲けでは純粋さが失われるのでは?
さて。「経済的なインセンティブがあるから活動する」、という人がいると経済インセンティブで、稼ぎたい人が入ってくるので、よくないのでは?と思う人もいると思います。これは一面では正しい指摘です。
一方で、ファンコミュニティの中でセカンドクリエイターの活動は行われるわけなので「お金儲けしか興味がなくて、作品へのリスペクトがない人」というのは比較的、見つけやすいというのがあります。すぐバレちゃうんですね。
さらにいうと、「お金儲けでも別にいい」というのもあります。例えば、会社で働いている人の多くは「給料がもらえるから働く」というのは大きな理由だと思いますが、だからといって「お金儲けで働いている人の仕事はだめだ!」とはならないですよね。
「好きだったらお金はいらないはずだ。そして好きじゃないと良い仕事なんてできない!お金をもらわずに仕事をしろ」と言われたら、ほとんどの人は辞めてしまうはずです。
また、世の中にあるグッズ達の多くも、当然、ビジネスとしてやっているわけです。それらのものが、お金儲けだから全てダメかというと、そうではありません。むしろ、ほとんどの商品が「リスペクトを持って、真面目に作られている」のはずです。
というので、むしろ「インセンティブが適切に動く方が盛り上がる」というのは間違いないかなーと。
というわけで
色々な作品やIPが膨大に出てくる時代に、目立つのは至難の業になってきた時に、セカンドクリエイターにどう参加してもらうのか大事になるかなあ、と思っています。
今後のこの流れに注目してみると面白いかなと!
では!
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