「東京」が生み出すネットサービスについての連載、そして超一流クリエーターの仕事

今、TOKYO INTERNETという連載を、PLANETSという媒体でやっているのですね。

第1回 東京っぽいインターネットサービスは「遊び半分」がキーワード
第2回 シリコンバレーのハッカー文化と東京オタク文化の大きな違い
第3回 テキストサイト文化が生み出した「真面目にふざける」ビジネスモデル

どういう連載かというと、

「都市からのメッセージを受けてインターネットサービスは作られる」

という仮説のもと、

「東京では、どんなインターネットサービスが生まれる土壌があるのか、考察していき、未来ではどういうサービスが生まれるのかを考えていく」

というものです。

なぜ「東京」なの?と思うかもしれませんが、今、文化は国家単位というより、グローバルか、都市単位か、というので別れている気がするのですよ。

なので、「日本のインターネットサービス」について話すよりも、東京というローカルな単位のほうがいいんじゃないかと思ったからです。

このあたりは僕の持論でもなんでもなくて、「今、世界はグローバルとローカルに分断されている」、ということは最近すごい言われていたりします。イギリスのEU離脱とか、トランプ大統領誕生とかもその議論対象の一つですね。

グローバルとローカルの間にあって、絶大な影響力を持っていた国民国家は、いまやだいぶ存在感をなくしているなあ、と思っています。詳しく知りたい人は、以下が参考になると思います。

【堀江×康】人工知能、フェイスブック、ネーション、IS
【冨山和彦】「Gの時代」が終わり、「Lの時代」がやってきた

まあ、日本は、一つの国家で一つの文明圏、と言われたりするくらいですし、日本中の文化も東京にガンガン入っているはずなので、日本と東京の違いがわかりづらいんですが、、

なんで書いているの?

で、何でクッソ忙しいのにこんな連載をやっているのか、、というと、目的は2つあります。

1つ目は自分のためです。Sunnychatというサービスを作っていますが、感覚ではなくて、過去の文脈をきちんと言語化した上で作らないとダメだなと思って、その整理です。(Sunnychatを使いたい人はこちら = iOS版 / Android版)

2つ目は、東京には、こういうサービスが生まれる強い土壌があるよ、というのを言語化していくと、これからサービスを作る人が超いいサービスを生み出せるようになるかな、と思っているからです。自分たちの強みを理解していると大きなアドバンテージになりそうなので、そういうものを僭越ながら提供できたらうれしいなと思っています。

「グローバル勢に日本は負けている」「日本はもう衰退する一方だ」という悲観的な意見もあると思いますが、僕は緩やかに衰退しているのは事実だと思いつつ、チャンスはまだ山のようにあると思っているのです。

で、そんな連載をやっているのですが、僕一人が書いて投稿しているわけではないのです。これは、2人のすごい人と一緒に作っているのですが、これがマジすごいな~と思ったので、そこをすごい話したいです。聞いてください。

すごい編集者とは

宇野常寛さんという、有名な評論家の方がいます。スッキリ!とかにもでていたりして、有名なので、知っている方も多いと思います。

その宇野さんがPLANETSの主催者でもあるのですが、彼がこの連載の編集を直接してくれています。

で、すげえな、、思ったエピソードが一つ。

ありがたいことに、僕には連載や出版の話というのはそこそこ来るのですが、締め切り守れない、とか、連絡とかできない、という人間としての欠陥を抱えていて、仕事が義務になると全くワークしないタイプなので、断っていたのですね。

なので、宇野さんから連載してもらいたい的なニュアンスで言われた時に「いやー、実際厳しいかなー」と思っていたのです。

しかし、宇野さんは、僕と喫茶店で待ち合わせて、この連載の依頼をするときに、こういったのですね。

「東京のインターネットについて書いてほしい」

 で、この瞬間に「あ、こういうの書けるな」とか「グローバルではなく、ローカルも出てくる時代だしな」とか「東京とインターネットだとこういうことがあるんじゃないか」とか、「こういう流れで、こういうことを書いていくと、インターネット業界に役立てられるかもしれない」とかバーーと頭に浮かんだのですね。

大げさでもなんでもなく、おそらく1冊の本が書けるくらいのものが頭に浮かんだのです。こうなると、あとはもう書くだけですから楽です。これなら連載が出来ます。

つまり、超すごい編集者っていうのは、たった一言で、本を一冊完成させるくらいのものを、筆者から引き出すことができるんだな、と思ったのです。

たった一言です。すごい。

そのあとも、連載の中身を見てなおしてくれるんですが、その直し方も「ここの文章をこうしてください」とかではなくて、より深い思想に、僕がたどり着けるように、脳を刺激してくれる感じなのです。イメージ的には、脳のボタンを押して、もっと思考が流れてくるようにするというか。それが上記の質問のようにシンプルで、かつ脳からダダーと思考が生まれるような言い方なので、これはすごすぎるなと。

余談ですが、これは優れたインタビュアーとかでも同じで、ぱっとした質問が、想定以外のところから聞いてみることで、頭にバッと答えが浮かんで、言語化できて、自分の思考を何歩も進めてしまったりします。僕の知る限り、IT mediaの岡田有花記者がぶっちぎりでその才能がありますね。

超優秀なドット絵クリエーター

さらに連載のサポートをしてくれる人として、たかくらかずきさんという方がいます。ドット絵業界では有名なクリエーターですが、連載の文章の上に、イラストを描いてもらっています。

たとえば、テキストサイトとビジネスモデル、そしてバーグハンバーグバーグについて書いた

テキストサイト文化が生み出した「真面目にふざける」ビジネスモデル/古川健介『TOKYO INTERNET』

では、以下みたいな感じのイラストがあがってきました。

これがすごいのが、僕が依頼しているのって「この文章にあったイラストをいい感じにドット絵で描いてくれ」なんですよね。ちなみになんでドット絵かというと、東京的、または日本的な世界観を表現するのに、とても適しているからだという理由です。

単に記事を送るだけで、その記事の解釈を非言語化したドット絵にしてくれるのがすごいなと。ドット絵にして、非言語化しているものを、また僕が言語化するのは非常に野暮だな、と思いつつ、説明をしちゃいますと

- 一度テキストサイトは死んだ(その象徴が先行者)
- しかし今その文化は復活しており、そしてビジネスになっている

ということらしいのですね。だから金色が基調(=ビジネス化の意味)なのです。

また、なぜ先行者が中心かというと、

- 先行者は、当時はバカにされ、テキストサイトでいじられた
- しかし、先行者は、日本のWeb上の広告ビジネスの本当の意味の"先行者"になった
- この記事では、ネタをお金にするビジネスモデル、という点で、先行者は象徴的だと思ったので中心に据えた

ということです。また、後光が指しているのも、たかくらかずきさん曰く、

画面って光を放ってるじゃないですか、だならインターネットとかデジタル画面って基本的に後光がさしてるというか、そういう神性があるのではと思っています!

ということなのです。

というわけで

編集者が一言いうことで出てきた大量の思考を、僕が言語化して、それをさらにドット絵クリエーターが非言語化して一枚の絵にまとめる。それを1つのエントリにしていく、ということをやっているこの頃です。

いつものようにブログを書くのとは、また違ったコンテンツになっていると思うので、是非とも読んでみてもらえると嬉しいです!

第1回 東京っぽいインターネットサービスは「遊び半分」がキーワード
第2回 シリコンバレーのハッカー文化と東京オタク文化の大きな違い

第3回 テキストサイト文化が生み出した「真面目にふざける」ビジネスモデル



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