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投機のNFTが終わりつつある今、slothでは何をやっているか

こんにちは!けんすうです。いつもがんばっています!

僕の会社はNFTを発行していたりするんですが・・・。今は「sloth」という、きせかえができるナマケモノのプロジェクトをいろいろやっていたりします。

んで「NFTってこういう面があるよね」とか「こういう問題や、こういう胡散臭さがあるよね」というところを解決して、おもしろいことできないかなあでやってたんですが、、

結構いくつか、おもしろい結果が出てきたんですね。

しかし、今やNFTはバブルが終わり、幻滅期真っ只ともいえますし、冬の時代ともいえる状況で、NFTに興味を持っている人がかなり減りました。

今のトレンドは生成系AIです。こっちのほうが「課題を解決しているよね!」感が強いですし、理解も簡単なので、メディアではそちらがトレンドです。

というので、「これは誰も言及してくれないな!」と思ったので、もはや自分で言っていこうと思ったので記事を書きます。技術的な話をほぼなしで書くので、苦手な人でも大丈夫なようにします。

そもそもNFTとは

そもそも、NFTとは・・・というところなんですが。これはもう何度もいろいろなところで説明されていますが、一応、一般論を書いておきます。わからなくても大丈夫です。

NFTはNon-Fungible Tokeの略でして、日本語だと「非代替性トークン」と略されます。

もはやこの時点で、逃げ出したくなりますね。略語でもわけわからなくて、英語のフルの文章を見てもわからず、訳してもわからない。最悪だ。

さらに、これに加えて「ブロックチェーンを利用して、偽造が不可能な形で鑑定書みたいなものがついているデジタルデータだよ」と説明されたりします。デジタルデータって今まではコピーし放題だったけど、鑑定書がついたことで、資産価値を持てるようになったんだよ・・・、みたいな。

は?

というわけで、ちょっと難しいので、「車の仕組みがわからなくても運転できればいい」みたいなのと同じノリでいうと、、

NFTで何ができるようになったかは、「デジタルデータだけど、いい感じで売買できるようになったんスよ」という説明くらいでいいかなーと思っています。

反論として「いや、デジタルデータだって今までの仕組みでもできるでしょ。たとえば、アバターを買ったり、それを売ったりする仕組みを同じサイト内でやることは簡単じゃない?」というのがあると思うんですが、、

大事なのは「共通規格ぽくなっており、みんなが使うような売り買いする場所があって、特に誰の許可なしに、その規格に併せて作れば、簡単に売買するという要素を付け加えられる」ということです。

たとえば「OpenSea」という、NFTのマーケットプレイス、要はメルカリみたいなのがあって、みんなで売り買いをしている場所があるんですが、特定の規格に則ってNFTを作ると、ここで売り買いができるということです。

なので「デジタルのグッズを転売できるような形で売れるね!これはリアルのグッズをメルカリで売れるようなのと同じだね!」という感じが一番初心者にはわかりやすいかなあ、と思っています。

NFTの問題点

で、NFTも問題がいろいろあって。

あまり詳しくない人の印象でいうと、NFTって

  • なんかよくわからん画像が何億円とかついたりした?

  • それがすごい高値で売られたりしてたけど、価値が暴落とかした?

みたいなのがあったりすると思います。

これは正しいです。たとえば、「ジャック・ドーシーの最初のツイートがNFTになって290万ドル(4.3億円)の値がついた」とニュースになりましたが、今は、オークションに出したら、30,814ドル(461万円)しかつかなかった、というのがありました。

4.3億円が461万円まで下がるというのはどういうことかというと、4.3億円が461万円になるということなので、つまりは、とても悲しいです。

しかし、これは僕からしてみたら当たり前で・・・。なぜなら「そのデータに価値を感じる人が少ないから」です。

というので、「なんかわからんが、デジタルデータに価値がつくらしいぞ」から始まって、暗号資産で儲かった人たちが「NFTでまた一山あてるぞ」というので、投機合戦が繰り広げられた結果、すごい値段になったりしたけど、それは「壮大なババ抜き」みたいなもので、最後に一番高値でつけた人が負けるというゲームになってたりしたんです。

んで・・・。とても当たり前ですが、NFTを持っている価値の源泉が、「価格があがるかも」、だけだったら、バブルが終わったらすべて価値はなくなるんですね。

もちろん、「価格があがるかも」というのは価値の一つの基準です。CASIOなら時計は1000円で買えるのに、100万円するROLEXが売れる理由としては「ROLEXはあがる」というのがあるから、とても買いやすいんですね。

だって、CASIOは売れて300円なので、700円の負担ですがROLEXは120万円になるかもしれない、と思ってたら、「-300円と、+20万円を比べたら、どっちが得か?が一目瞭然」とも言えるからです。

ただ・・・、それは「ROLEXの職人が手掛けた精巧な時計である」とか「ブランドのストーリーがある」とか「歴史がある」「愛好家が多い」「つけていると自分の価値があがった感がある」「製品として美しい」などの様々な感情的価値があります。機能的な価値は「時間がわかる」くらいですが、この感情的な価値があるからこそ、価値が落ちづらい。

しかし「価値があがりそう」という価値だけだと、それは単なる投機であり、実態がないものです。

といいつつ、このあたりの境目って非常に曖昧でして・・・。グラデーションになっているので、なんとも言えません。「職人ががんばって作っているから高いんだよ」というのと「NFTで、一個一個、ドットを手作業でやって、500日かけて作ったよ」というのとの違いって何?となったりしますし、「素材のお金がかかるでしょ」といわれても、原価的には大したことなかったりすることもあるわけで。

多くのNFTなんかは「価値が上がりそうが90%くらいで、画像部分が10%くらい」みたいな感じだったりしたのかなあ、と。

で、それだけならまだしも、NFTプロジェクトの継続的な売上の上げ方が「売買をされると手数料が入る」という形のところが多かったんです。

どういうことかというと。たとえば、100万円分のNFTを一次販売します。これはプロジェクトに100万円そのまま入ります。ただ、一度売り切ってしまえばそれで終わりですよね。

そのあとは、「そのNFTが、マーケットプレイスで売り買いされたら、◯%入ってくる」みたいなのが収入源だったりしました。まあ、このあたりもいろいろあったんですが、ざっくりと「そういう感じだった」と思ってください。

そうすると・・・。基本的には「ガンガンと売り買いされたほうが得」という状況だったんですね。これは、マーケットプレイス側も売買手数料で稼ぐモデルだったので、同じです。

なので、OpenSeaでは「total volume」という欄が一番最初に出てきます。全取引量な意味ですね。たとえば、「marimo」というプロジェクトだと、224ETHらしいです。

つまりは、、、5600万円くらい売り買いがされています。

多くのNFTプロジェクトも、マーケットプレイスも、このように「なるべく売買させる」方向がビジネスモデルだったので、どうしても、投機的な要素が強くなってきた・・・、というのがあるんじゃないかと思っています。

slothでやったこと

んで・・・。

これって「このまま持つのか?」というと、まあ確実に価格が下がってきたら逆回転しますよね。

実際、主要なNFTの価格が落ちたり、OpenSeaの取引高はここ2年で最低になったらしいです。

とはいえ、NFT市場自体が全然だめ!というわけでもないんですが・・・。ここでは長くなりすぎるので、以下のmiinさんのスレッドを読んで見るのがいいかなと。

なので、slothプロジェクトをやるときは、まず、ここから離れたビジネスモデルを考えないといけないなーと思っていました。

つまりは「投機的なNFTではないものを作る」です。

そこで「slothは、あくまでデジタルグッズみたいなもの」という割り切りのもと「きせかえができるNFT」というので立ち上げました。

簡単にいうと「NFTとNFTを合成することで1つのNFTを生成する」というのをやっているんですが「本体と衣装を合成して、きせかえができる」という形にしています。

PFPといったりしますが「プロフィールに画像を設定するためのNFT」が売れやすいとか言われていましたが、、ユーザー体験的には、特定のNFTをプロフにしても「そのNFTをプロフにしているだけで、特に自分のアイデンティティを感じない」というのがありまして・・・。

自分できせかえをしたり、時期やその時の気分によって変えられる、というのがいいなーと思っています。何より楽しい。

これだと、「衣装をどんどん作ると、それを追加で売ることができる」というのが可能になります。

NFTの本体自体は5000体あるので、ゆっくりと売りつつ、衣装のほうの販売数を増やすことで、継続的な売上ができるという感じですね。

つまりは「投機的な商品として、売り買いをしてもらわなくてもいい」という形です。

さらに、いろいろなIPや企業ともコラボができます。たとえば、鷹の爪団の吉田くんとか

企業だとVoicyさんとか

こんな感じでコラボをすることで、売上を折半できたりします。

結果としては、本体の売上はかなり少なく、衣装が多くの売上になっています。

特にのびてる感はないグラフです

多くの識者の方から「それは難しいんじゃない?」とアドバイスいただきましたが、この冬の時代に、継続的に売上があがっていて、しかもtotal volumeが3ETHという「めちゃくちゃ売り買いされていない」という状態になっているのはいいなあ、と思っています。

売り買いのされなさが異常

というので、ここまではある程度、計算通りでよかったなと思っています。

次の打ち手

次の打ち手としては、2つありまして

  • 衣装をどんどん充実させる

  • 本体も増やしていく

です。

衣装はわかりやすいですね。さらにいろいろなところとコラボしていきますし、衣装自体も増えていきます。最近だと「すろコレ」という、季節などにあった衣装などを作っていたりします。

ハロウイン衣装

そして、次は本体です。

slothは、汎用的な「きせかえNFTシステム(仮)」みたいなのでやっているので、実は本体も規格にあわせれば、服を着せ替えることができるのです。

なので、取り急ぎ「お金を使わなくても本体を持って、きせかえを楽しめる」みたいなものを作ろうと思っています。「どっぺる」というので10/05(木)の12時から配ろうかなと。

さらに、この本体を一緒に作ってくれるところとか、IPさんともお話をすすめており・・・。そうすると「きせかえができるNFTを作れて」「衣装の資産は最初からたくさんあって」「自社キャラクターでそれを展開できる」ということが可能になるかなーと。

本体と衣装が両方とも、すごく増えてきたら、かなり面白いんじゃないかと思ってすすめています。

というわけで

まあ、とにかく頑張って、あれこれすすめているこの頃です。

おそらく「いろいろなグッズの多くは、だんだんとデジタル化していく」という流れは不可逆で、そのときに「独自規格や、一つのサイトでしか売買できないのは不便だし、いちいち独自マーケットプレイス作るのだるいから、NFTを使おうか」となるはずなので、そのあたりの展開は、こっから10年20年くらいかけて普及していくんじゃないかなーと思っているこの頃です。

日本が世界に向けてのコンテンツになれるポテンシャルがある数少ない領域だと思うので、がんばります!

よければ買ってみてください〜!では!

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